暗い森の中で
「…王国が裏の人間に何の用だ?」
「そう身構えなくてもいいです。
貴方と話をするために来ただけですから」
チッ…メンドくさい奴に目つけられたな。
さっさとずらかるかな…
「悪いが今はよしてくれないか?生憎…機嫌が悪いんでな。」
愛用の短刀を鞘から抜き相手を切りつける。
大抵の相手はこれでアウト。
しかし…こいつは王国の奴だったというのを忘れていた。
「遅いですね。」
短刀を降り下ろした所に奴はいない。
チッ…一体何処だ…?
「せいやぁっ!」
後ろからの殺気に気づく。
ちょ…ヤバ…
ヒュン!
「…チッ。」
直撃は免れた。しかし…
「よりにもよって翼をかするとはな…」
空の民にとって一番大切なのは
大空に羽ばたく為の翼。
飛行能力のコントロールができるのも翼のおかげなのだ。
「翼をやってしまった事には謝ります。しかし我々も急いでいるのです。」
…不味いな。こうなったら…
「砂塵烈風!!!」
砂嵐を作りだし目くらましを試みる。
どうやらうまくいったらしい。
私は空に飛翔し、遥か西に逃走した。
「逃がしたか… 。」
と…通信機がプルルと音を発する。
噂をすればなんとやら…
どう報告しようか…
『カネリオ!どうだったか?』
「残念ながらにがしてしまいました。」
『…そうか。戻っていいぞ。』
「分かりました!」
さて、かえるとするかな。
バサッ!!!!
森には誰もいなくなる。
残ったのは漆黒の羽根と黄金に近い黄色の羽根。
また森は静かになる。
この森の名前は眠りの森。
季節も眠る丑三の森。