あしかのらいぶらりぃ
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執筆者: ディン/投稿日時: 2023/06/02(金) 22:34:56
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 ぴんくの あくまが はねるとき
 ボスてきたちは きょうふにおののく…

彼らは結局、あの悪魔には何度も挑み何度も後塵を喫してきた。
ある時は何等分にも分け、ある時は手足をも奪い、ある時は…。
しかしあの【悪魔】は何度でも蘇り、何度でも彼らに襲いかかる。 そう、プレイヤーが飽きるまではずっと、ずーっと…。
最終話 けっきょくぼくがいちばんつよくてすごいんだよね
「結局、星のカービィなんだからな。 あいつが活躍しなきゃゲームじゃないし」
時にはそうやって放棄する者も現れた。

「俺たちはあいつの引き立て役が一番なんだな」
時にはそうやって諦める者も多くいた。

「もうなんだっていいのサ。 付き合いきれんのサ」
全てに絶望し、流れのままに流されようとする者もいた。

 全てはあの怪物、神童、豪傑ーーそんな言葉では片付かないような、悪魔とも形容しがたい存在に組み伏せたのであった。
彼らがどれだけ工夫を懲らそうが、どれだけアドバンテージを奪い取ろうが、悪魔は何度でも彼らの想像を超えていく。 そう、全てはーー。


星のカービィが 「主役」 だからだ。




「そうか、またヤツが来るか」

カービィのゲームには比較的楽にゲームを進行しつつ、アイテムを回収できるステージがある。 これは以前のお話でも紹介した折だ。
今回もカービィはそのステージをひたすら往復している。 使い慣れたコピー能力を獲得し、作業ゲーのごとくステージを周回する。
もちろん、敵キャラ達もそれに合わせてスタンバイする。 カービィにまたやられる為にーー? 否!

「もうこれ以上俺たちをボロ雑巾のように攻撃させてたまるかよ!」
「へっへっへ、俺たちだってもう覚悟はできてるんだぜ!」
そう言ってるワドルディら雑魚キャラたちは頭にボンバーを構えて立ちはだかる。 カービィもろとも、自決して大ダメージを与えてやろうという魂胆だ!
「ダメだ! ワドルディ! そんな事してお前の家族はどうなる」
中ボスのボンカースは、彼らを心配してやってくる。 だが、ワドルディたちはそんなボンカースに掌を突き出しーー声を振り絞る。

「わかってる、わかってるよボンカース!」
「だけど、俺たちだってカービィをしばきたいんだ!」
雑魚キャラたちは、カービィに吸い込まれるか、空気弾やスライディングで星に散る運命。 中ボス以上のボンカースとは、ワケが違う。
「ただ、吸い込まれて終わりなら!」
「ただやられておしまいなら、せめてダメージを1つでも与えてお前に引き継いでもらうぞ!」
ワドルディ達の覚悟は、本物だった。 ボンカースも、固唾を呑んでその決意の言葉を耳にする。
「ワドルディーー」


「カービィが来たぞー!!」
ステージの端から、先頭集団から号令が飛んできた。 それと同時にみんなの叫び声と突撃の合図が鳴り止まない!
「いくぞ!」
「ボンカース! 俺たちが敗けた後は頼んだぜ」
ワドルディ達もカービィに向かって気合の入った声で突進する! ボンカースが彼らを止める間もなく、姿が見えなくなる。
「…ワドルディ、わかったぜ。 お前たちのその決意、オレが! ステージボスの大王様も、受け継いでくれる!!」





 そう、カービィにやられても、次の敵がカービィに挑んでくる。
いつかカービィも体力を疲弊し、負ける時が来るのだ。
カービィだって、彼らと同じ人の子。 カービィのコピー能力だって、彼らと同じ能力なのだ。

相性の悪さ、修練の数、体力の差。 全てにおいてカービィが常に圧倒できるわけではない。 いつかはカービィを超える敵が出てきて、カービィを倒してくれる。

「来るか! カービィ」
ボンカースはハンマーを構えて、ルームガーターとしてカービィと相対する。 彼もまた、カービィを超えるかも知れない、その運命を持った男なのだ!!!


  運命がーー


  実力が、チート的存在を、超えたらの話、だが。



 頭のウィスピーウッズの葉が生い茂り、その上のはピクスがクルクル旋回している奇怪な姿。
背中にはゼロツーの羽が不気味に羽ばたき、HR-Eのハサミが両手に揃ったその姿。
申し訳程度にミラクルマターの模様が頬と、ヨガン模様のスカートはまさに欲張りのオールスター。
星のカービィ64で、特別な手段でしか見れないぼすぶっちカービィだ。

「いやぁ、何度も同じステージ周回するの飽きちゃうからね。 こうやって簡単に攻略できるコピー探してたら、こうなっちゃった」
その笑顔、悪魔の如し。 カービィの無慈悲とも情け容赦も無いとも言える姿に、ボンカースは構えたハンマーを床につけた。 彼の目には、うすら涙が浮かんでいた。



「ーーお前残機いくつあるんだよ」
「まだ315ぐらいあるかな」






 君はゲームをプレイする時、周りの敵キャラの気持ちって考える?
少しでもゲームを楽にしたいな。 そんな気持ちで頑張ってる時でも、ちょっとした瞬間でもいい。
カービィのゲームじゃなくても、無敵に近いプレイアブルに挑んでいくCPUに、寄り添ってくれたら嬉しいな。 約束だよ。


「カービィをしばきたい!!!」
「次こそはしばけるといっすねー」


  桃玉しばき隊へようこそ!! おしまい☆

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