黒翼のモノ
「タッチ!つぎおにね!」
「おーし!皆捕まえてやるぞ!」
「逃げろー!」
遠くまで子供達の声が響く。
ったく、少しは寝かせてくれと言いたいところだが相手は子供だ。
「少しは我慢しろということか。」
自分で言って置いて結局我慢できなくなったのはいうまでもない。
「私ちゃんとタッチしたよ!」
「俺はされてない!」
「したってば!」
「されてない!」
気がついた頃にはもう遅い。
喧嘩はヒートアップしていた。
お前等は何で直ぐ喧嘩するんだ。
これじゃあ眠れない。
「とりあえず、静かな所に移動するかな…」
翼を広げた瞬間、周りの目が冷たくなった気がしたがそんなのはどうでもいい。
さて、飛ぶとするかな。
漆黒の翼は空へと舞い上がり消えた。
少し遅れて、何かが跡を追うように空に飛びたった。
追跡されているなんて気づかなかった。
気づいたのは森におりた時。
寝かせてくれ、頼むから。
「しつこい男は嫌われるぞ?」
誰もいないはずの森の中に声が響く。
「おどろいたな。気づかれてたのか。」
木の側から男が出てくる。
男は黄金に近い黄色と翼をもっていた。