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小説「
第七話 バトルウィンドウズ
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作者名
ディン
タイトル
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内容
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「電撃!!」 ケケの掌から放たれた電撃を、ブレイドは剣で一刀両断する。 電撃は真っ二つに割れると、そのまま地面に大きく叩きつけられ砂ぼこりが巻き上がる。 それと同時にブレイドはケケに最接近、ケケの掌にはまた電気が帯びて、小さな球体になる。 「ケケちゃん、電撃使えるのか」 「魔導士目標にしてるって言ってたからな。 ただあれだけじゃブレイドはいなせん」 ケケが放った電撃の球体、片手から勢いよく放たれたそれに、ブレイドは剣の面の部分でガードしつつ、左足の蹴りをケケの前に放った。 ケケは、電撃でまとった腕でそれをガードすると、ブレイドの足の鎧も発光する。 ブレイドはすぐさま後ろに飛ぶと、ケケと距離をとる。 「……なるほど、相性はちょっとこっちの分が悪いね」 ブレイドはそういうと持っていた剣の柄の部分を握りしめる。 剣はみるみる形を変えて、細長い棒になると、それをケケに向かって振るう。 「よぉお!!」 横撫でで一振りするとケケは両手でそれを受け止める。 彼女の掌が棒を受け止めた途端、電撃はそのまま棒を伝い、発光し真っ黒に焦げた。 が、前にブレイドの姿がない。 ケケの視線を棒に誘導していた彼女は、横からケケを拳を掲げて力いっぱい振るった。 「ぐっ!!」 ケケはすぐさま片手を離し、腕でブレイドのパンチをガードする。 ただ、勢いと力だけはブレイドが上だ。 ケケはすぐさま吹き飛ばされ、そのまま地面にたたきつけられる。 「おいおい、ブレイド稽古にしてはやりすぎだ!!」 「やりすぎ? 戦闘の機会で情けもクソったれもないんだよ!? あんたらケケを甘やかしちゃ駄目さ――それに、この子は七彩の宝玉を目標にしてたんだろ!?」 地面からたたきつけられて、立ち上がったケケはブレイドの話に耳を傾ける。 ブレイドはいつになく真剣なまなざしでケケをかばった男たちにも口を開く。 「七彩の宝玉、あいつらはほぼ無傷で世界にある四つの穴を調査したって逸話を持つ、おそらく全世界のギルドで一番強い連中さ。 ティンクルばかりが入団条件というのも、あいつらだけのコンビネーションで戦うからなんだろう……つまり――」 「個々のレベルもかなり大きくて、単独でも上級レベルのクエストを数時間でクリアーできる。 それが、七彩の宝玉」 ケケが立ち上がって、掌に電撃を溜めこんでいる。 弾けるようなその音と、増幅する電気の球体は野球ボールほどの大きさになった。 「それが、私が憧れた。 みんなが憧れた最高のギルド」 「それに少しでも近づく前に、私みたいな引退した老兵なんぞに押されてたら世話ないさね」 ブレイドは持っていた棒を構えると、直立するケケに相対する。 「その電気ボールを、投げるつもりかい? 弾き返してやろう」 「いいえ、ブレイドさんには投げません。 これは――」 そして、ケケはその電気の球体を空に向かって放り投げた。 球体はブレイドの頭上に到達すると弾かれて、電気の槍が降り注ぐ!! 「降らすものですから!!」 「おお!!」 「あの細かい電気の雨はさすがに弾き返せない!! ブレイド、魔法でガードしろ!!」 「――くっ」 さすがにこれもブレイドは想定外だったようだ。 棒から手を放し、魔法陣が浮き出ると電撃はそこに降り注ぐ――かと、思われたが。 ケケの放った電撃はその魔方陣に直撃する前に先細り、自然に消滅した。 それに、誰もが目を白黒すると、静寂が辺りを支配した。 「……」 「……ケケちゃん?」 みんなの視線はケケに集まった。 彼女は少しばかりバツの悪い顔をして、舌を出しておどけた。 「ご、ごめんなさい――今の技まだ練習中で……あはは」 「ははっ、でもここまでアタシを追い込んだら、まあ合格って事にしておこうか」 ブレイドは魔法陣を解除し、棒から戻った剣を鞘に戻すと肩を揉んで酒場に向かって歩き出す。 横にいたケケの肩を抱いて、野次馬だったみんなにも声をかけた。 「みんなぁ!! ケケは立派な魔導士さ!! 次あの白球がこの子を誘わなかったら、そん時は全員あいつをタコ殴りしようか!!」 「おお!! もうケケちゃんの力はすごいって俺たちがお墨付きしたからな!!」 「あ、どうしてもっていうなら、俺たちと一緒に組むってのはどうだ」 みんなが酒場に戻って、また活気が戻る。 ケケはブレイドの手を離してもらうと、ブレイドに声をかけた。 「ありがとうございます、ブレイドさん」 「なぁに、礼はいいから今日は飲もうか!! ケケの勇気と未来に乾杯ってことで」 「おうよ!! ケケちゃん、こっちの席来い!! 飲もう!!」 ボヘッドとバヘッドの二人は椅子を強く叩いて、ケケを誘う。 しかし目の前にはブレイド一人でケケの姿は見当たらない。 「女の子のお化粧は長いのさ、待ってやんな」 「お化粧〜〜!? 酒場のおばはんならまだしも、ケケちゃんはそのままでも十分きれいだぁ」 「お前と一緒にするんじゃねえ、おばはん!!」 酒場のボルテージが大きく盛り上がる。 ブレイドもその桃色の甲冑から見え隠れするどす黒い怒りを漏らしつつ、カウンターの上にのぼり男たちに向かって骨を鳴らす。 「よぉし、覚悟はできてるだろうね、お前たち?」 「やべえ、プッチン来た」 「プッチンだ」 トイレの中でも、酒場の騒がしさは聞こえないこともない、ケケは苦笑いをしながら掌を水道で洗いその騒音を聞いていた。 「みんな、楽しくていい人たちだなぁ」 ケケは七彩の暴食のこの空気がとても楽しいものに日々思えてきていた。 彼女はポケットから絆創膏を取り出すと掌に一枚張り付ける。 「もっと強くなるように、頑張らなくちゃ」 ケケの掌は、電撃の影響か真っ赤に腫れあがっていた。 第七話 バトルウィンドウズ 穴の中は、スノウの言ったとおりに平面画面の巣のようだった。 バトルウィンドウズは、その画面からスライム、人形、魔法使いと次々と展開をしては先行していたメタナイツの残党に襲い掛かる。 「ぎゃああ!! きたぁ」 すでに戦意を喪失しているなどもお構いなし、メタナイツのメンバーに無慈悲にとびかかるそれに割り込むように、サファイアは氷でまとったパンチでいなして牽制する。 「早く行け!!」 サファイアの言葉を聞くや否や、彼らはすぐにバトルウィンドウズの届かない奥に消えていく。 その場に残ってるのは、サファイアとスノウ、マルクとピッチにまだ逃げきれてないメタナイツのメンバー。 「こいつら、全然攻撃が効かないのサ」 「全部すり抜けちゃうみたいだね」 ピッチの言葉の通り、バトルウィンドウズが画面内にこもっているとすべての攻撃はまるで蜃気楼にでもつかむようにすり抜けている。 こうなれば、もうこちらの攻撃は一切届かない。 最初に出てきたグランドドラゴンも、こちらに接近して攻撃を仕掛ける。 「あいつか――さっきのやつら食ったの」 サファイアはグランドドラゴンに向かって走っていく。 グランドドラゴンも、自分が戻る画面があるのかサファイアに迷うことなく突進する。 サファイアは右手に氷の刃を作り出し、グランドドラゴンの首の上に飛び上がる。 そのまま、一閃。 「全部吐き出せっ」 見事に分断されたグランドドラゴンの首、食道や肉付きが見える輪切りの首元からは光ると、そのままグランドドラゴンの亡骸は蒸発した。 「うわぁ!! 死ぬかと思ったダス!!」 「あんた、感謝する」 中にいたメタナイツのメンバーも消えたグランドドラゴンの中からそのままの姿で現れた。 サファイアは背を向けたまま、彼らに言葉をかける。 「早く逃げろ、あんたらの船はどこにあるんだ?!」 「そ、それが――」 「さっきにドラゴンの仲間に、食われちまったダス」 それをすぐ近くで聞いたスノウも、少し冷や汗を浮かべる。 穴の外で待機している白の騎士団の援護も、スノウの合図次第で突撃させる予定だが、帰還手段の確保も大事だ。 『どうする、スノウ』 幸い無線はつながるようだった、フロスからの連絡を受けてスノウは穴のずっと上――空を仰ぐ。 「これじゃあマルクくんの翼とかでも時間が食いそうだね」 「飛べないこともないけど、あの距離を全員担いで往復して帰るのは、しんどすぎるのサ」 マルクの言葉ももっともだった。 穴は海上とここまで何百メートルも差があり、これを往復するのはさすがに気が滅入る。 マルクでも一度に担げてせいぜい二人まで、それをメタナイツの不特定のメンバーも入れたら十往復はくだらない。 「フロス、予定変更だ。 キミたちは他に穴とつながってる場所がないか探してほしい」 『そっちはそっちで出口を探すって事か』 「ああ、ひょっとしたら楽な出口があるかもしれない――それに、ここは例の四つの穴だ。 これで何か成果を上げれたら――」 「ふふふ、この僕の人気もさらに急上昇、町中どころか国中の女の子がボクのうわさを聞いてキャーキャーモテモテになるかもね!! あーっはっはっは、いやいやスノウは体が一つしかないのに引っ張ったって……」 『……はじまったか』 無線の向こうでフロスたちの溜め息がこぼれる。 スノウのこのお調子ぶりには、彼らも相当手を焼くよくある事なのだ。 そして、サファイア達はメタナイツも逃げた奥に足を踏み入れていた。 暗がりだが、ほのかに照らされる花の光が彼らの足元をしっかりさせる。 「こんな海の底の洞窟に、光る花があるなんて」 ピッチも物珍しそうにそれを見ている。 金色に輝く花の光は、ここが先ほどのバトルウィンドウズのいた場所と同じとは思えないほどきれいだった。 マルクとサファイアも、その光を頼りに歩いていく。 先頭に立つマルクは、少しいぶかしげにつぶやいた。 「あの白玉、放置してよかったのか」 「ああなったら、しばらくはテコでも動かねえからな。 とりあえず書き置きもしておいたし、すぐに合流できる、それよりまずは」 ほのかに光る花の数が、増えてきた。 それはまるで海中深くとは思えないほど、明るくて。 「うわあ……めちゃくちゃ綺麗な石や床だね」 ピッチも思わず見とれてしまった、青系統に輝く鉱石と水晶に囲まれた広々とした空間。 「さしずめ、水晶の畑――って呼べばいいのか。 確かに、こんなところに来たらこの水晶持ち帰るだけでも大金持ちなのサ」 マルクは、地面に生えていた一本の水晶を引き抜いた。 指紋やくすみも、何もないその美しい水晶は、確かにみんなが欲しがるお宝だと彼は見とれる。 「これが、四つの穴の一つ――」 サファイアも、その美しい光景にただ見とれるだけだった。 しばらく、黙っていると彼らの背後から声が聞こえてくる。 「おーい!!」 「あ、さっき逃げ込んだメタナイツのひとたち」 ピッチの言うとおり、遠くからメタナイツの面々がこちらに駆け寄ってきていた。 彼らの無事を確認するとサファイア達も一安心する。 「よし、とりあえず後はスノウと合流してこいつらを返すのサ、そのあと探索をやって――」 「あんた達、よけてくれぇ!!」 メタナイツの声色が変だ。 サファイア達もその言葉を聞いた途端、メタナイツの面々は斧や槍を振るってこちらに襲い掛かってくる。 「何!?」 サファイアも思わず飛び上がり、斧を回避するが、すぐ横からはトゲ付きの鉄球が襲い掛かる。 サファイアはそれに反応が遅れ――直撃した。 「サファイア!!」 ピッチもすぐに壁に打ち付けられたサファイアのもとに駆け寄る。 頭から一筋の血を流してるサファイアは、目を白黒させながら目の前を見る。 「お前たち、いったい何のつもりなのサ!?」 マルクも戦闘態勢に入る。 しかし、サファイアを襲ったはずのメタナイツたちは涙をこぼしながら、武器を構えて三人の前に立ちはだかる。 「助けてくれぇ……身体が、言うことを効かない!!」 「あんた達、にげろぉ!!」 何が起きてるのか、わからないが彼らが何かに操られてるのは理解ができた。 マルクは、彼らからの攻撃を間一髪で飛翔して回避すると、距離をとった。 「この洞窟の、呪いか何かかな!?」 「ケケみたいな気楽なこと言ってんじゃねえ……あれ見ろ」 サファイアの指さす先、――空を飛んでるマルクよりずっと上にバトルウィンドウズの画面が。 その青画面からは糸に垂らされた人形が映っている。 「何、あの人形……あいつらが、メタナイツを?」 「ああ、そうだ!! あいつに会って、攻撃した途端、俺たちの身体が動かなくなっちまった」 ピッチの言葉に呼応するように、メタナイツたちも泣きながら訴える。 空に待機しているマルクも、それを聞いて難しい顔をする。 「どういう意味なのサ、とりあえずあいつを消せば、いいんだろ」 「マルク、待て。 お前までこいつらと同じ目に合えば、今の俺とピッチじゃスノウが来るまで耐えられねえ」 サファイアの言うとおり、現状はかなり厳しいものだった。 周りには、動きが制限されているメタナイツ。 彼らはサファイア達を攻撃するように仕向けられている。 それはサファイアに鉄球をぶつけられた時から自明だ。 現状、動けるのはマルクとピッチ。 サファイアはまだその場から立ち上がれず、マルクが彼らと同様の状態になれば、ピッチ一人で戦わなければいけない事になる。 「サファイア、血は大丈夫なのか?」 マルクは空に浮遊しながら、サファイアの様子を見るが――とてもじゃないがいつものサファイアのように動き回れるとはいいがたい。 すると、メタナイツの鉄球がマルクに向かって一直線に。 サファイアを襲った、あの鉄球だ。 「おっと、あぶねえ」 マルクはそのまま真下に落ちるように着地するとサファイアとピッチのもとに合流する。 それと同時に、サファイアは二人のそばにやってきて手を地面につける。 「二人とも、絶対離れるな!!」 サファイアがそう言うと、三人を覆うように氷の壁が地面から飛び出した。 やがてそれは三人をしっかり囲い、ドームのように屋根ができて完全に防御の体制に入る。 操られたメタナイツたちは、出来上がった氷の根城に攻撃をする。 だが、そこには傷一つつかない、きれいな壁のままだ。 「――とりあえず、ここでサファイアの傷を治しつつ、作戦を練るのサ」 ドームの中、三人が顔を見合わせて作戦会議ができるほどのスペースがあるそこは、メタナイツの攻撃も一切届かない。 「あの白玉が、こっちに来るまでメタナイツをどうにかするのが先決なのサ。 マルク砲でぶっ飛ばしても構わないけど」 「ギルド同士の面倒な争いになりそうだよねえ……過剰防衛だってあっちのマスターにどやされたら、後が面倒だし」 ピッチの心配どころはそこだった。 メタナイツのギルドマスターがどんな者かは知らないが、彼らを救助できなかったら何か嫌みの一つや二つ言われそうなのはご免だ。 「正直不本意だけど、それも考えなきゃいけないのサ。 ウチのマスターにも迷惑をかけるのは嫌だし――」 サファイアも、傷を抑えつつドームの隙間からメタナイツの様子を伺う。 彼らの後ろには、操り人形が下りてきている。 「あの人形、余裕しゃくしゃくって感じでムカつくな」 「そこは100パーセント同意なのサ。 それと、さっきから気になってたことがあったのサ」 マルクの言葉に、ピッチも一つ頷いた。 彼の違和感も、マルクと一致しているようだった。 「入り口にはたくさんいたバトルウィンドウズが、この水晶ばっかの場所では、一体しかいないよね」 そう、彼らを襲っていたバトルウィンドウズと全く同じ姿をしている彼――と呼んでよいものかわからない――は一人だけ。 横穴の入り口付近にいた、ウィンドウズの群れはここまで襲ってきてないのだ。 それに、このエリアにももっといるものだと思っていたが、サファイア達が会ったのはとうとうあの一体だけだった。 「……さしずめ、あいつらの親玉ってやつだろ。 ここの主みたいな」 傷口を抑えつつ、サファイアも隙間から見るとメタナイツの面々がまだ氷のドームに攻撃を加えていた。 もう、内部からも亀裂が見える。 「あの白玉が来るまで持ちこたえられねえ――マルク、アローアローをやれるか」 「あのバトルウィンドウズを、攻撃する気か」 マルクの不安は一つある。 それは――メタナイツの言葉にあった。 ――攻撃をした途端、俺たちの身体が動かなくなった―― 「サファイア、分かってるのか。 万が一ボクが操られたら、ケガしてるお前とピッチで――メタナイツとあの窓とボク三つの戦力が一斉に相手するのサ」 「あ、そうか。 それまでならスノウが来てくれるまで待ってたほうがいいよ、サファイア」 サファイアは、笑っていた。 マルクとピッチに真意を伝えるために。 「違う、バトルウィンドウズを攻撃するんじゃない。 狙いはメタナイツだ」 一方、スノウは自分ひとり置いてきぼりになっていた事に気が付いたのか、奔走していた。 「ああ、なんてことだい!! 僕一人置いていくなんて、ひどいじゃんサファイア!!」 『お前があほな事してたからだろ』 無線から容赦なくくる突っ込みに、スノウは歯ぎしりしながら我慢する。 正論だからである。 彼は何も言えなかった。 「しっかし、サファイア達も勇敢すぎるよね〜。 中に何がいるのかわからないのに、いきなり突撃するなんて―― ああ、ヒーローってこういう時に遅れてくるものなんだよね。 わかるかい、フロス!!」 『知らん』 見事に両断。 しかし既にスノウはスイッチが入っているのか、ウフフと笑いながら妄想をこぼしだす。 「ぐわー、もう駄目だー!! 死んじゃうー!! そんな時にさっそうと現れるのは、白の騎士団のトップランカースノウ様!! サファイアも、マルク君もピッチ君もボクの登場に待ってましたと大歓声!! きゃースノウ!! 待ってたのサ!! かっこいいー!! いやぁ、この場にケケちゃんがいないのが残念だけど」 『お前が呼ばなかったんだろ、危険だからって』 無線の容赦ない突っ込みも、スノウは織り込み済みだ。 出口が見えてきた、その先は、サファイア達の待つ場所だ。 「さぁ白の騎士団のスノウ様ここに参上!! 仲間の大ピンチにさっそうと現れ、大活躍を見せるボクの雄姿を、とくとご覧――」 スノウの見た光景、そこは氷のドームがいくつもできている大きな広場。 周りには雨のように降った矢がいたる場所に刺さっているが、メタナイツの姿はどこにもない。 そこに立っているのは、サファイアとマルクとピッチ、そしてバトルウィンドウズだった。 マルクは、氷のドームの横に立つと少しばかりいたずらっぽい笑みを浮かべていた。 「申し訳ないけど、事が終わるまでそこで待っててほしいのサ」 「ああ、そのほうがいい――俺たちもあんた達をこれ以上傷つけたくない」 「さて――」 サファイアは、氷の刃を生成して画面に浮いているバトルウィンドウズに突き付けた。 額から流れる血を拭って余裕を見せる。 「さっきまでの痛み、何千倍にもして返させてもらおうか、無機物」 スノウは、遠くからそれを眺めて身震いした。 「――なるほど、あの人にだいぶ似てきたね、サファイア」
投稿者コメント
ロボプラにも似たような敵だったり、アドレーヌやドロシアみたいに他のキャラを使役するボスって好きです。
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