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小説「
第十四話 巨大磁石
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作者名
ディン
タイトル
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内容
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「素晴らしい。 ワムバムロック、これほどまでとは」 リボンはワムバムロックの掌の上から見下ろしている。 彼女の視線の先には、降り注ぐ岩石を回避するサファイア達の姿。 ワムバクロックは、岩石を自在に操りサファイア達を牽制している。 これは彼女の想定以上の働きだった。 「右手ばっかで攻撃してたら、意味ないだろ」 サファイアは痺れを切らしたか、ワムバムロックに急接近し飛び込んだ。 ワムバムロックはサファイアに応対しようと岩石の手を伸ばしたが、それより先にサファイアの氷刃が岩の付け目に切り込まれる。 「おおっ」 ケケの歓声が聞こえる。 サファイアは氷刃を次々振り下ろし、それはワムバムロックの岩石の手の岩石を次々分離させる。 やがてそれは指の付け根あたりまで、ごっそり削れた。 「よし、ワムバムロックの戦力はこれで分断されーー」 ピッチの柏手も束の間だった。 すぐさまサファイアの横から、ほぼ無傷のワムバムロックの手は小虫を払うように横に撫でる。 そしてそのままサファイアは。 「サファイア!!」 ピッチがすぐに飛んで彼の近くにまでやってくる。 サファイアは殴られた衝撃でスチールオーガンの岩壁に打ち付けられるが、すぐさま起き上がった。 「あら、もう片方の手で撫でただけよ。 ワムバムロックも私たちと同じ二つ手があるもの」 リボンは嘲笑うかのように呟いた。 そして裏付けるように、確かにワムバムロックはサファイア達に視認できるように両手を彼らの視界に持ってきた。 「オイオイ、さっきサファイアが切った右手がもう復活してるのサ……」 マルクは苦虫を噛み潰すようにしかめっ面でそれを見ている。 彼の目の前に見えるのは、ほぼ新品の状態にまでになった右手――サファイアの努力はものの数秒で無と消えているではないか。 それで引き下がるわけにはいかない。 とマルクは大きな口を開いてワムバムロックに標準を定める、マルク砲だ。 「その手邪魔だから、まずは消し炭にしてやるのサ!!」 マルクの口から巨大なレーザー砲が放たれた。 だがワムバムロックの手は軽々と上昇し、マルク砲の攻撃範囲から離脱すると握り拳を作り、そのまま突貫する!! 「狙いは、弱い者からって勝負の鉄則よ」 リボンの指差す先、それはワムバムロックの『ロケットパンチ』の射程圏内だ。 ケケの姿がマルクの目に飛び込むと、マルクは真っ先に叫んだ。 「ケケっ!! 逃げろ」 ケケは両手を前に突き出し、電気を展開する。 この場を凌ぐために、電撃でワムバムロックのパンチの軌道を逸らそうとして――。 彼女は、正面からまともにぶつかった。 「キャアア!!」 ケケの悲鳴が、ワムバムロックのパンチの着弾地の砂ぼこりから聞こえてきた。 それは岩壁付近にいたサファイアとピッチの耳にも届いてる。 サファイアは、今までにないほど、声を荒げてワムバムロックに向かって走り出した。 「あの野郎!!」 第十四話 巨大磁石 「う、うぐっ」 ワムバムロックのパンチを喰らったケケは、地面に叩きつけられた衝撃で、息を詰まらせる。 ゴロゴロとその衝撃のまま地面を数回転がると、うつ伏せの状態でそのままに。 「お、おい!! 駐車場から人が飛んできたぞ」 ケケが飛ばされた先、それは作業場だった。 スチールオーガンでオリハルコンを発掘していた作業員たちはケケのもとに駆け寄り、慌てて彼女を抱え上げる。 「おい、嬢ちゃんしっかりしろ!!何があった」 その刹那に、作業場からも聞こえるほどの地鳴りが響いた。 作業員全員が、その方角を見ると砂と埃の混じった煙が狼煙のようにあがり――ワムバムロックの僅かな姿が、目に見える。 「あ、あれは……なんのバケモンだ!!」 「嬢ちゃん、あんなのと何やって」 作業員やみんながワムバムロックに注目する中で、ケケは掌にあったカケラに気がついた。 彼女の掌にあったそれは、まるでなにかの皮のようにひらべったい。 「こ、これって――ワムバムロックの、手の皮」 指でつまむと、それはいとも簡単に割れてしまう。 パラパラと粒子になったそれはずっとケケの手にくっついてる。 掌を地面に向けても、少しは砂はこぼれ落ちるが未だにケケの手に定着している。 しばらくそれを凝視していたケケはすぐさま立ち上がると、ワムバムロックの方角に目を向ける。 そこには――マルクのアローアローをことごとく反発させるワムバムロックの掌。 「チクショウ、なんでいきなり矢が反発し出したのサ」 マルクは反射してくる自らの矢を回避しては苛立ちを隠さない。 しかしケケはその様子を一部始終見逃さなかった。 「――そうか、鉄粉!! ワムバムロックはスチールオーガンの地中から出てきたっ。 スチールオーガンがオリハルコンや鉄鉱石の産地なら、鉄はたくさん含まれてるはず、きっとあのワムバムロックにも」 ケケはすぐさまに立ち上がると、作業員の一人の手を引いた。 強引に作業員を引っ張ると、叩きつけられた身体の痛みもお構いなしにケケは叫ぶ。 「ここで一番砂があったり、鉄鉱石が採れる場所はどこ!?」 「ば、場所!?」 「さて、もうそろそろ飽きてきたわね」 ワムバムロックの掌に乗ってるリボンはあくびをしてそう呟いた。 ワムバムロックが相手をしていたサファイア達は砂だらけで、戦況は明らかだった。 「クッソ、斬っても斬ってもすぐにくっついてキリがねえ」 サファイアは氷刃を展開するが、それももう既に先細りしていた。 溶けかけの刃は今にも消えそうで限界だ。 「ケケがいたら回復魔法でなんとかなるはずなのに――ピッチ、お前ケケを探してきてほしいのサ」 「それ、ずっと考えてたんだけどね。 すぐに手を先回りされちゃって通せんぼなんだよね」 マルクの提案に、ピッチは残念そうに答える。 ピッチが飛び上がると、それに対応するようにワムバムロックの手が飛んでくる。 「ハハッ、万事休すなのサ」 「大丈夫よ、あなた達もすぐにあの女の子のもとに向かわせてあげるから――ワムバムロック、トドメを」 リボンが、ワムバムロックに指示を与えようとしたその瞬間、ワムバムロックの頭部に電撃が飛んでくる。 リボンがその方向に目を向けると、ケケが鉱山の頂点から電撃を掌に溜めている。 「へへーん!! あんなヘナチョコパンチ、簡単に回避できたわよ」 「ケケっ、お前無事だったのか」 サファイアが鉱山のケケに視線を向ける。 そこにいる彼女は先ほど攻撃を受けた痛ましさが見えないほど、挑発的だった。 「ケケ、あんまり無茶するんじゃないのサ」 マルクも突然豹変してるケケの態度に大声で彼女を呼び止める。 だが、リボンとワムバムロックは鉱山にいるケケに目を向ける。 「ここまできてごらん!! 怪物」 「――最初に死にたいそうよ、やりなさいワムバムロック!!」 リボンの指示通りにワムバムロックは動き出した。 ケケの元に真っ先に飛び出したワムバムロックを、サファイアとマルクとピッチの三人も走って後を追う。 「あのアホ!! 頭打って気が狂ったのか!?」 サファイアは足元に氷を張ってスケートの要領で滑る。 だがしかしそれも気晴らし程度のスピード稼ぎにしかならない。 ケケとワムバムロックの距離は、三人のそれとは違い確実に詰まって。 「ダメだ、間に合わないのサ」 「――ケケっ」 ピッチの、そのすがるような声が出た途端だった。 ワムバムロックの巨体が崩れる、いや何かに引き寄せられるように降下している。 「な、んで!?」 リボンも何が起きたのか分からないと、ワムバムロックの肩から飛び上がって羽を広げる。 彼女一人空中に離脱するが、ワムバムロックの降下は止まらない。 「――これは」 リボンが見た光景、それは発掘した鉱石や岩のカケラをこれでもかとばかりに発掘場のど真ん中に放り投げる作業員達。 まるでゴミのようにかき集められたその岩の塊に、ワムバムロックは引き寄せられている。 そして、その岩の塊の正面には、ケケが地面に両手を合わせて座っている。 両手からは大量の電撃が放出され、鉄鉱石の山に留めなく電気を送っている。 「ぐぬぬ…もっと、もっと鉄鉱石持ってきて!!」 「お嬢ちゃん、お前その手焼けてるぞ!! 大丈夫か」 「いいから、あの怪物地面にくっつけるから鉄鉱石もっと持ってきてえ!!」 ケケの叫び声の後ろから、作業員達が次々に発掘した鉄鉱石をワムバムロックの真下に放り込む。 ある作業員は、とっておきのあるものを。 「おい、オリハルコンメダルも使えるのか」 「ぶち込んで!!」 ケケの許可を得て、作業員達は発破かけてオリハルコンメダルを鉄鉱石の山に放り込む。 ワムバムロックは、一気にその山に引き寄せられ――磁石のようにくっついた。 「よっしゃあ!! 怪物の動き止めたぞ」 「サファイア!! マルクさん、ピッくん!! トドメ刺してぇ」 地面に落ちたワムバムロックを封じるように、氷が一気に取り囲む。 手、頬、顎と地面と接着させるように氷が展開するとそれは一気に固まった。 「なるほど、即席巨大磁石か」 ワムバムロックは、そこから逃げ出そうと指を細かく動かそうとする。 が、そこからは至近距離でマルクがアローアローを一点集中で突き刺した。 「ケケはピッチのあの技まだ見てないはずなのサ――まあ、こんな巨体ぶっ壊すのはあいつじゃないと無理なのサ」 そして――ピッチ。 ワムバムロックの顔面に、その“重み”は衝突する。 「もう一気に終わらせるから最初から全開で――ぶっ潰す」 メテオストライク。 ピッチのとっておきの必殺技はワムバムロックの顔面を粉々に砕いて、着弾する。 見事に割れたワムバムロックは、断末魔をあげる暇もなく、二度ともとには戻らなかった。 それを、空に避難していたリボンは恨めしそうに眺めている。 苦虫を噛み潰すような表情で、哀れな姿になったワムバムロックを睨んだ。 「どうして――いったい何が」 「スチールオーガンの鉱石は、鉄がたくさん含まれてるから」 ケケは、立ち上がってワムバムロックの残骸に足を向ける。 やがてその前に立ち止まると、動くことのないワムバムロックに手を触れる。 「この怪物は、スチールオーガンの地中から出てきた。 だから、この怪物の主成分も鉄だって思ったの」 「ケケ、どこでそれに気づいたの」 ピッチはワムバムロックから飛び立ってケケの前にやってくる。 ケケはそっと、ワムバムロックの手の残骸に触れると答えた。 「最初に吹き飛ばされた時、ワムバムロックの破片が私の電撃を使った後の掌にくっついてたの、多分鉄分と電撃が上手いこと噛み合って磁石みたいになっちゃったんだろうなって」 賭けだったけどね。 ケケは笑ってごまかすように付け加えた。 何はともあれ、もうワムバムロックは動くことはない。 そしてそれは――。 「貴様ら、何勝手に持ち場を離れて――」 サファイアとマルクがのしたヘビーナイト。 作業員達に一喝を入れようとした彼が見たのは、岩の怪物の残骸と、それを取り囲むケケやサファイア達、後ついでに作業員のみんな。 「……」 それは、ヘビーナイトに誤解を与えるのに十分な理由づけだった。 知らない内にヘビーナイトは作業員達に恐れをなし、踵を返す。 「こ、今回は見逃してやらぁ」 「は? 見逃す? こいつ何か言ってるぜマルクさん」 ヘビーナイトを足止めするように、サファイアは彼の足元に氷を張って動きを封じ込めていた。 マルクは、ヘビーナイトと同じように、作業員達をこき使っていた連中を次々蹴り飛ばして連れてくる。 「残念ながらお前たちがここでやってたのは、世界が禁止してる奴隷の使役なのサ。 全員ブタ箱行きだから覚悟しとけ」 マルクの爽やかな笑顔は、ヘビーナイトに絶望に与えるのに十分すぎるトドメだった。 そう、この一連は知らない内にスチールオーガンの反逆の成功の意味も持っていたのだ。 そして―― 「見て!! マルクさん、ピッくん、サファイア!! 見つけた、これでしょ!! オリハルコン」 ワムバムロックの下敷きになった鉱石をかき分けて、ケケは一枚のオリハルコンのメダルやカケラを手に持って大手を振っていた。 彼女の笑顔は三人を安堵させるに十分だった。 「とりあえず依頼は終わったが、エアライドマシンもぶっ壊れたし、あの女はどこかに逃げてるし――」 サファイアの言う通りに、リボンは既にどこにも姿は見えなかった。 マルクとピッチはサファイアの横に並ぶと、スチールオーガンの全景を眺めては黄昏る。 「どうやって日付変わるまで帰ればいいんだろうな、今から」 「ここから最寄りの警察って、何分で着くんだろうね」 「後、駅もなのサ――」 ピッチは携帯を取り出して地図を展開していた。 スチールオーガン、得た物はこれからの彼らにとっては大きいが、失ったものもある意味デカい――。 リボンも、また今回の失態は彼女にとってもデカイはずだ。 スチールオーガンのどこかで、身を隠している彼女は背後からの気配に気づいていた。 「あなたは――ま、待って!! まだ私は“人類の選抜“を失敗していない――」 リボンが見たその先。 巨大な爆弾は導火線に火がつけられており――そのまま彼女の先で。 ――そして。 「くっそう、またオリハルコン落札間に合わなかったか」 ネット上のオークションサイト。 ここでもギルドは日頃から資源の確保を行っているのだ。 とは言っても半ば裏社会の取引のような物。 簡単には手に入らないレアモノや薬物まで取り扱っている。 警察やギルドでも取り締まれない様に警備も厳重と言われる。 「それにしても、またオリハルコンの落札者はコイツか――20億フェルトとか言う大金注ぎ込んでるから、絶対富豪か資産家だろ」 KINP RYBIK 「何者だ。 こいつ」
投稿者コメント
お久しぶりです。先日感想コメントをいただいて嬉しくて舞い上がったので続き投下します。 ストックもそこそこ尽きてきてるので、本格的に書かなければいけないです。プロットは大体できてます。 が指がすらすら動いてくれるかどうかが問題ですが。
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