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小説「
第十三話 人類の選抜
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作者名
ディン
タイトル
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内容
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「もうほぼ七彩の宝玉、あるいはそれを名乗る会社はクロ。 これは間違いないのサ」 マルクはガレキを蹴りながら言い放った。 彼の足元には、気絶したヘビーナイトがそのまま倒れこんでいる。 マルクのその確信したような言い方に、サファイアはすこし不服そうに語気を強める。 「言い切れる確証は」 「こんなでかい土地を、こんな作業員を総動員させて、監視もつけれるなんてそれこそハルトマンのような大富豪や国家レベルの組織でないと不可能なのサ」 そうだろう、とマルクは辺りを見渡しながらサファイアに促した。 スチールオーガンの鉱山には色々な種族の作業員がまばらに見えている。 彼らはみんな、クエストボートにあった依頼できたギルド関係の者だった、これを一気に召集できるのはかなりの力の持ち主なのは間違いない。 「ここが、国有地やよそ様の私有地だったらすぐにばれて大問題なのサ。 それこそ、スチールオーガンでオリハルコンを探してきてくれって依頼をした奴はすぐに警察に消されちまう」 マルクの推理に、サファイアは口をはさむ。 マルクの考えてる中身を、見通すかのように。 「つまり、そんな事をできる組織は国家権力か七彩の宝玉ぐらいだというのが、お前の考えか」 「そんな感じなのサ。 まぁ、絶対七彩の宝玉とは言い切れないけどね」 マルクの話をすべて聞いたうえで、サファイアは俯いて一つ息を吐いた。 彼は顔を上げ、すぐに前にいた作業員たちに問いかける。 「お前ら、ここに来たのはいつからなんだ」 サファイアの問いかけに、作業員たちは互いに顔を見合わせる。 一人ずつ、挙手をしてサファイアの問いに答えた。 「俺は、十日ほど前。 クエストの依頼で」 「おいらは、二十日ぐらいだ」 彼らの中には、もう一か月ほどここでオリハルコンを探している者もいた。 マルクは、携帯を取り出して警察のページを開いた。 「あったあった――確かに、ここ数日で失踪届が何件か来ているのサ――ここにある奴、お前たちの名前で結構なんだネ」 携帯の画面を突き付けると、何人かは首を縦に振った。 これで、彼らがここにずっといる理由は分かった。 「クエストで、人を集めて――オリハルコンメダルを探す人手の確保か」 「そう考えるのが自然なのサ。 頭のいい奴は嫌いじゃない」 そこに、一人の作業員が口をはさむ。 マルクの話に、至極もっともな疑問を持って。 「ま、待ってくれ。 さっきからあんたはこの作業場は七彩の宝玉の場所だって確信を持ってるけど、証拠はどこなんだ!? そもそも、七彩の宝玉って昔に解散したはずじゃ」 その質問に、マルクは携帯を取り出した。 そこに開かれた電子メールには、ある画像が添付されている。 「ここに来る少し前に、ウチのチームの仲間がよこしたメールなのサ。 サファイア、お前の携帯にも届いてるはずなのサ」 「え、オレにも!? ちょっと待て――ああ、ピッチの」 サファイアはマルクに言われて慌てて携帯を取り出した。 そして電源ボタンを押すと携帯の画面が光りだした。 「お前、携帯はずっとオンにしなきゃ携帯にならないのサ」 マルクは呆れたように呟いた。 慌ててメール画面を開いたサファイアの新着欄には、相当数の新着数がある。 「えーっと、ピッチ、ピッチ――あった、これか!!」 サファイアが開いたその電子メール――そこにあったのはサファイア自身も見覚えのあるものだった。 「……これは、七彩の宝玉の旗!?」 「ピッチとケケは、最初に砲撃を受けた時に離れ離れになったがそう遠いところにはいないはずなのサ、つまり――」 「このピッチの送った電子メールの中身こそ、スチールオーガンで七彩の宝玉が何か企ててると確信できる唯一の物的証拠!!」 マルクの言葉に、サファイアは口を真一文字に紡いで、顔を上げる。 作業員たちに踵を返し、携帯の画面――七彩の宝玉の旗の画像を突き付けた。 「おい、この旗があるのはどこだ!? 誰かわかる奴はいないのか!?」 第十三話 人類の選抜 ピッチとケケは七彩の宝玉の作業事務所の前の駐車場で、いまだに車の中に隠れている。 リボンの号令の後、作業員は自分たちの足で動き出したのか、エンジンがかかって車が走る気配はまだない。 「まさか、七彩の宝玉もオリハルコンメダルを集めていたなんて」 ピッチは冷静を保ちながら携帯を忍ばせて目の前の風景を撮り続けてる。 作業事務所、リボンたちの姿、そして作業員たちの姿一つ一つをくまなく。 「でも、サファイアが最初に会った時に言ってたよね……七彩の宝玉は、ずいぶん前に解散したって」 ケケは、サファイアとピッチに初めて会った時のことを思い出していた。 そう、その時にサファイアは確かに――。 ――七彩の宝玉は5年前に解散した。 当時のケケにとって、七彩の宝玉はまだ存続してたものだと信じていた彼女にとっては衝撃的な一言。 サファイアとの邂逅だったこともあってケケはよく覚えていた。 「ボクもサファイアにはそう言われてたから、信じられないよ」 ピッチは冷静な口調でケケに同調し、息を殺しひそめている。 まだこの周りに敵対者がいれば二人は真っ先に人質になるのは間違いない。 「スチールオーガンのど真ん中で、こんな建物作って現場作業員も動員してるんだもの、七彩の宝玉もかなりオリハルコンメダルにご執着なんだね」 「で、でもなんで七彩の宝玉が今更オリハルコンなんかに!?」 ケケの言葉に、ピッチは首を横に振る。 ピッチはケケを戒めるように、違うよと一言付け加えた。 「七彩の宝玉も、別に特別な集団じゃないよ。 ケケみたいなファンは夢を見ちゃうんだろうけどね――シンプルに考えたらいいんだよ」 「シンプル?」 ケケは、その言葉に思考を停止させる。 しばらくの静寂の後に、ピッチは口を開いた。 「ぼく達がここに来た理由は、オリハルコンでケケの魔力を媒介するガントレットを造る為――きっと、あいつらも同じだよ」 答えはいたってシンプルだった。 相手もケケの目的と同じものを持っている、少なくとも――。 「魔力媒介のための何かを――造る為」 ケケの答えは、当たらずとも遠からず。 ピッチは散っていく作業員の足元を眺めながら呟いた。 「ここまで作業員がいると、滅茶苦茶オリハルコンを必要としてるみたいだね。 金で作業員を集めて、一気にオリハルコンを独占しちゃおうって話だ」 「ど、独占……!!」 ケケは喉を鳴らして、ピッチの話に終始耳を傾ける。 ピッチは自分の考えを整理して、最後に口を開ける。 「これは、僕のイメージだけど――オリハルコンを集めて、ガントレットみたいなものをたくさん作って、ケケみたいな魔力が暴発しちゃうような人にそれを売りつけたら――相当な金になるよね」 ピッチの答えは至ってシンプル。 オリハルコンで金策、それが実現すれば七彩の宝玉はかなり潤うのは間違いない。 ケケは、信じられない顔をしてピッチに問いかける。 「そ、そんな――そんな事をする理由って」 そうして――ここまでやり抜く理由は――ケケの問いかけに対する答え、ピッチが口を開こうとした、その時だった。 「素晴らしいわ。 たったそれだけの情報でそこまで推理しちゃうだなんて」 ピッチとケケが潜って隠れていたトラックが動いて外の光が飛び込んだ。 二人を見下ろすように一つの影――リボンが、そこには立っていた。 「褒めてもらって光栄だね。 七彩の宝玉の幹部さん」 ピッチは強気な顔でリボンを見上げながら言い返す。 目の前に立ち尽くすリボンの横には、作業員たちが立ち並んでいた。 数は数えきれない、とてもピッチとケケでは突破できそうにはない。 「死ぬ前に一つ質問いいかしら。 そこのお嬢さんの質問の答え、聞かせてもらって」 リボンは、笑顔を浮かべてピッチを顎で指名した。 ピッチは、しばらく黙っていたがリボンをじっと見て口を開く。 「月並みの答えだけど――世界征服とか? それとも、ハルトマンみたいなお金稼ぎ?」 ピッチのその小馬鹿にするような答えに、リボンは不快な顔をして舌を打った。 その様子を、ケケはかつておぼろげな記憶の底から、覚えていた――。 ――アドレーヌと、一緒の反応だ。 もっとも、アドレーヌはあからさまに不快感をあらわにして、世界征服というワードに拒絶を示したが。 「まぁ、いいわ。 あなた達はきっとピンクさんの人類の選抜の考えには不適合ですもの」 リボンは柏手を打ち、作業員に合図をする。 彼らはいつの間にか武器を手に持って戦闘態勢に入っている。 「ここの作業は、徳を積むための作業です。 私たちの理想郷のためには、オリハルコンメダルから出る魔力エネルギーは絶対に必要なのですから」 その刹那に、リボンの横に一筋の電撃がほとばしった。 彼女の顔をかすめた電撃は、そのまま背後にいた作業員を素通りし、鉄の壁に衝突する。 ケケだ。 彼女は掌から電撃を発射させ、武器を持った作業員たちをけん制させるために先制打を放っていた。 「近づいたら、次は本気で当てます」 ケケなりの時間稼ぎだった。 サファイアとマルクが来るまでの、ほぼ逃げ道がないケケとピッチ二人が助かるには時間を稼ぐしかない。 リボンは、赤く一筋できた頬を指でなぞった。 彼女は懐から、青白く光り輝く石を取り出した。 やがてそれは大きくなり――リボンを少し凌ぐ大きさになると、リボンはそれに左手を合わせた。 「可愛くないわ。 これも使うのは疲れるのだけど――」 リボンの右手には、オリハルコンメダルが。 メダルを強く握ると、それは黄色く輝き始めリボンの真下の地面が隆起する。 「な、何!?」 ケケもそれに驚き、慌てて一歩引きさがる。 その瞬間に、背中に人肌が触れて止まった。 「間に合ったか!? ケケ、ピッチ!!」 「サファイア、マルクさん!!」 サファイアとマルクが、少し息を上がらせて到着していた。 走ってきたのか、肩を上下にしながらサファイアはケケの前に一歩出てリボンに相対する。 マルクは空に飛び上がり真下を見下ろした。 リボンの足元には、巨大な岩石の怪物がスチールオーガンの地中から飛び出してきていた。 「なんなのサ!! あれは」 マルクの疑問に、岩石の怪物の視線がマルクに標準を合わせた。 次の瞬間、岩石でできた巨大な掌がマルクに向かって飛び出していく。 「マルク!?」 ピッチの叫ぶ声が、聞こえる。 マルクは間一髪でそのパンチを回避し、空中で体勢を整える。 「ご安心を、カスってすらないのサ!!」 一か所に集まるサファイア達を、リボンは確認していた。 彼女は、マルクを襲った掌の上に乗って、その少し上には目や口だけの顔の識別パーツが何もない空に浮かんでいて。 「オリハルコンメダル一枚でも、これだけの怪物を操作できるのよ。 素晴らしいでしょ」 リボンは、自慢げに笑いながら片手を掲げる。 怪物は、リボンに倣うように彼女を乗せてない掌を振り上げていた。 「四つの穴の守護神、ワムバムロック。 私が、あなたの新たな主です」 リボンは、振り上げた掌で拳を造り、サファイア達にめがけて振り下ろす。 ワムバムロックは、それに倣うようにサファイア達に、攻撃を開始した。 「あなた達の徳を、監督してあげます。 人類の選抜を始めます」 リボンは、誇らしげにサファイア達を見下して言い放った。
投稿者コメント
【人物紹介】 人名:スノウ 性別:男 年齢:??歳 所属:白の騎士団 種族:ティンクル 魔法:アイスやフリーズ系 【MEMO】 伝説のギルド『七彩の宝玉』に属していた白いティンクル。 『白の騎士団』のリーダーであり再会時はサファイアを何かと気にかけていた。 彼の特技はサファイアとほぼ一緒。 サファイアとの会話の中にはかつて同じギルドに所属してたのを仄めかしているが、それが関係するかはまだ不明。
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