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小説「
ドタバタ料理コンテスト!
」を編集します。
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作者名
桜木ハル
タイトル
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内容
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ここはあきれかえるほど平和な国・プププランド。広大な宇宙に浮かぶポップスターにあるこの王国では、住人達は自由気ままに、しかし争うことなく暮らしていた。 そんなプププランドで、最近ちょっとおかしなことが起きていた。 「あーあ。もう家の中で遊ぶのも飽きちゃったなー」 そう言って、カービィはゲームのコントローラーを半ばイライラした様子で床に置いた。 「持ってるゲームも全部クリアしちゃったしさ。データ消してやり直して、またクリアしたから消して……今何回目だっけ?」 「さぁどうだろ? 10周くらいはしてるんじゃない?」 読んでいる本から目を上げず、ワドルディはあいまいに答えた。 「だいたいさぁ、こんなに雨ばっかり降ってるのが悪いんだよね。ワドルディが泣いた時よりひどいや」 「カービィだって! この前アイス床にこぼした時、このくらいざあざあ涙流して泣いてたじゃない。僕のを分けてあげたのに、まだ泣いてるんだからさぁ。ほんと食い意地張ってるよね」 「なんだとう!」 ブンッ! と突き出されたカービィの拳。ワドルディはそれをひらりと避けて着地した。怒りに任せて体当たりしようとしたカービィは、そのまま勢い余って壁に激突した。 「あいたたた……何やってんだろ、僕は」 たんこぶの膨らみ始めた頭をさすりながら、カービィは窓の外に目をやった。鳴りやまぬ雨の音。近くの空も、遠くの空も、そのまた遠くの地平線近くの空も、どんよりと重たい灰色の雲に覆われていた。梅雨でもないのにおかしいなぁ……。 その夜、カービィは慌てた様子のワドルディに叩き起こされた。季節外れの大雨は、どうやら川を決壊させてしまったらしい。カービィたちの家も洪水に巻き込まれるかもしれないということで、ワドルディと一緒に丘の上のデデデ城に避難した。 翌朝二人が目を覚ますと、城の中はすし詰め状態になっていた。連日の雨で、みんな気晴らしが欲しかったのかもしれない。山の上や海の中など、洪水とは関係ない場所に住んでいる人たちも、カービィたちのいるこの大広間に集結していた。 驚いてしまったのはデデデ大王のほうだ。川の近くの数十人くらいを泊めたつもりが、広間をうめつくす人、人、人! 何百人もの人々を前にして、デデデは腰を抜かした。 「なんぞい! この騒ぎは!」 あたふたと自室に逃げ帰ったデデデは、部屋を掃除していた家来の一人に言った。 「私にそんなことを言われましても……。大王様がおっしゃったんじゃないですか、みなさんを城に泊めるって」 「わしはこんなに大勢を泊めるなどとは言ってないぞい! とにかく、関係ない奴はとっとと追い出すぞい!」 その時。 バアン! 「だいおーう!」 「うわ、何をする……ぐぇっ!」 部屋の扉をぶち破って、カービィが突進してきた! 「カービィ! 何するぞい! 危うく頭をぶつけるところだったぞい!」 「えへへー、ごめんねー」 そう言って笑うカービィ。全く反省していないようだ。 「ねぇ、大王もこっち来てみんなと遊ぼうよ」 「みんなと、って――」 デデデはその続きを言うことができなかった。彼の視線の先にあったのは、大広間で好き勝手に遊び回る人々の姿だった。 「なんじゃこりゃぁぁああああ!!?」 割れた窓に散らばるガラス。美しいカーテンは無残に引き裂かれ、床一面は絵の具や糊でベトベトに汚れている。自慢の家具は削られたようにガッタガタ。その近くに落ちているいびつな木彫りの像は、もしかしてその家具のなれの果てか……?! 「お前ら一体どんな遊びをしたんだ! こんなのはすぐやめるぞい! ここはわしの城、好き勝手は許さんぞい! やることは全部わしが決めるぞい!!」 「やだよ、僕サッカーがしたい」 「僕は野球!」 「いいえ、あたしたちはお絵かきがしたいの」 「おれたちは鬼ごっこをしてたんだ。そっちこそ邪魔をしないでくれ」 「ええい、いっせいにしゃべるな! だったら公平にくじで決めるぞい!」 みんなは配られた紙にしぶしぶ自分の希望を書き、箱に入れた。全員が入れ終わったのを確認してから、デデデは箱の中身をかき回し、そのうちの一枚をえいっと取り出した。 そこに書かれていたのは―― 「りょ、料理コンテスト……?」 突然開催が決まったにもかかわらず、暇を持て余したプププランドの人々に、コンテストは快く受け入れられた。コンテストのルールは、くじで選んだ参加者3人の料理を、同じくくじで選んだ審査員3人がそれぞれ審査し、最終的に会場の全員が試食して優勝が決まるというものになった。 参加者の3人は、コックカワサキ、アドレーヌ、カービィ。審査員は、ワドルディ、メタナイト、そしてデデデ大王に決まった。 「テーマもくじで決めるぞい! テーマは……『プププランド自慢の食材を使った創作料理』に決定ぞい!」 デデデがテーマを読み終わると、華やかなファンファーレが鳴り、コンテストの始まりを高らかにうたい上げた。 材料として用意されたものは、マキシムトマトや無敵キャンディー、元気ドリンクにさつまいも、様々なフルーツなど、いずれもプププランドを代表する食べ物や食材ばかり。これらの材料を好きに組み合わせて、参加者オリジナルのおいしい料理を作り出すことが、このコンテストの課題だ。山と積まれた食材を前に、カービィの腹の虫は思わず鳴いた。 「こら、カーくん。今は食べることじゃなくて作ることを考えなさい」 アドレーヌがたしなめる。 「分かってるよ、そんなの。アドレーヌこそ、僕の料理をつまみ食いしないでよ」 「もちろん。負けないわよ、カーくん!」 二人がそんなやりとりをしている間に、コックカワサキはあっという間に料理を作り上げた。 「できたー! おれのはこれ! 激辛カレーライスを元に作った、『激甘カレーライス』だよ〜!」 「おお、これはうまそうぞい! わしは甘いカレーが大好きぞい!」 デデデは大喜びでカレーを食べた。 しかし―― 「うげぇ〜! 甘すぎて舌が溶けるぞい〜! ノドが! ノドが焼けるぅうう〜!!」 デデデはその場にのたうち回り、甘い甘いと叫び続けている。その後何杯も水をおかわりしてやっと落ち着いた。 「どうやら大したことなかったみたいね。次は私の番よ!」 アドレーヌはマキシムトマトを手に取り、包丁を彫刻刀のように、色とりどりのソースを絵の具のように扱い、華麗なステップで料理を完成させた。 「普通の料理じゃつまらないでしょ? だから私らしいアートな料理で勝負することにしたの!」 そう言ってアドレーヌが差し出したのは、食べ物にはあり得ない色をした、トマトのような形の何かだった。 「どう? 名付けて『マキシムトマトとアンニュイな雨の昼下がり』!」 その奇抜な色合いに、ワドルディは目を回した。 「いや、まずそうなのは見た目だけで、味は全然違うかもしれない」 メタナイトはその怪しい料理を戸惑うことなく口に入れた。 途端に表情をゆがめ無言になるメタナイト。その様子を見て、デデデは恐る恐るスプーンを近付け、少しだけすくうと口に入れた。 「まずい……ぞい……。もはや食い物の味じゃないぞい……」 「この色……何入れたらこうなるの……」 ワドルディも複雑な表情をしてアドレーヌの料理を食べた。 「次は……カービィか……。カービィは何でも食べるからなぁ……きっと味覚もおかしいから、どんな料理が出てくるか……」 静まり返る会場。重苦しい雰囲気の審査員たちをよそに、カービィは目を輝かせ、意気揚々と料理を運んできた。皿にはふたがかぶせてあり、何が入っているのかは分からない。ステージの真ん中で立ち止まり、一度会場全体を見回してから、カービィは勢い良く料理のふたを取った。 「じゃじゃーん! これが僕の料理です!」 ほとばしる光の中、皿の上の物体はぐんぐん大きくなって―― 「ま、魔獣だー!!」 なんと、現れたのは料理ではなく、巨大なナメクジのような姿の魔獣だった! 「何これ気持ち悪い! これは僕の料理じゃない! さっきはこんなのいなかったよ!」 魔獣を見て、メタナイトは剣を抜き叫んだ。 「こいつは『アメフラシ』だ! 普段は目に見えないくらい小さいが、暑くなって居心地が悪くなると巨大化して暴れ回るんだ!」 「どういうこと!?」 「恐らく食材の中にまぎれ込んでいて気付かなかったんだろう。そのまま焼いたり煮たりしたから、我慢できずに出てきたんだ!」 メタナイトの声に反応して、魔獣が襲いかかってきた! ガキン! 間一髪。メタナイトは剣で相手の攻撃をはじいた。 「カービィ! 最近の長雨はこいつのせいだ! 早く倒さないとプププランドが水に沈んでしまう!」 でもどうやって? そう言いかけたカービィに、カワサキは何かを投げつけた。 「カービィ〜! おれのフライパンを使え〜!」 「りょーかいーっ!」 フライパンを吸い込んだカービィは、コックをコピーした。そこに隙が生まれた。魔獣の攻撃を食らい、カービィは数十メートルも吹っ飛ばされた。動けないカービィに、再び魔獣アメフラシが襲いかかる! 「危ないッ!」 バシィッ! ワドルディが躍り出て、パラソルでカービィを守った。 「カービィ、僕も戦うよ! 大丈夫、絶対勝てる!」 「ありがとう、ワドルディ!」 差し出された親友の手を取り、カービィは立ち上がった。 再び魔獣の攻撃! 今度はメタナイトが盾となり、敵の動きを止める。すかさず斬り付け、そのぬめぬめした皮膚に鋭い傷を負わせた。魔獣は動けない。 「カービィ! 今だ!」 メタナイトが叫ぶ。それを合図に、カービィとワドルディは武器を構え、敵のほうに向き直った。お互いに目配せしてタイミングを見計らう。そして―― 「うりゃぁぁぁあああああっ!!」 二人は一体となって敵に突進した! ギャオオォォオオオオンッ!! すさまじい咆哮と共に魔獣の姿は消え、雲の切れ間からは太陽が顔を覗かせた。 こうして、プププランドはあきれかえるほどの平和な日々を取り戻した。 やはり雨は魔獣のせいだったのか、今日もプププランドは雲一つない青空だ。ほどなくして洪水もおさまり、川はいつもの穏やかな流れに戻った。なんとなくトゲトゲしていたみんなの心も、うっとうしい雨から解放されたことで穏やかになった。 ただ一人、デデデ大王を除いては。彼は城の修理に追われ、すっかりやつれてしまったという……。 〜おしまい〜
投稿者コメント
ハルです。久々に小説を書きました。 これは、あしかのほびぃの連携サイトである「イルカ探検隊」に提出したものの加筆・訂正版です。 あしほびの方々にも気軽に読んでいただけるよう、ここに投稿しておきます。 カービィが主人公の、とにかくドタバタした喜劇を目指しました。 自分で「ドタバタ」ってタイトルに入れる時点で終わってますが(おい) それではごゆっくりお楽しみください。
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