あしかのらいぶらりぃ
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執筆者: 2Y/投稿日時: 2021/01/29(金) 02:13:46
投稿者コメント:
どうもディンです。テーマ3のクリスマスの後日談です
全然クリスマス要素無いかもしれないですが、時系列的に後日談です(強気)

後はブルブルスターに住んでた人は何故居なくなったのか、も個人的なテーマとして取り入れています

これで3つかけました…多少脱線してるかもしれなせんがご容赦を。ダメなら書き直します(笑)
後は、時間があれば皆さんの作品にコメントをしていきたいです。 頑張ります
テーマ3:クリスマスの後で
『緊急警報、緊急警報。 左後方からホーリーナイトメアの魔獣の大軍の存在を察知。 距離600』
「来たか、ホーリーナイトメア」
群青のマントを翻らせて、仮面の騎士は五芒星の金色のエアライドマシンに座して黄金の剣を携える。 後方には仲間が、前方には目を疑うほどの敵の群れ。
幼い星の戦士が目覚めるまでの間、銀河では平和をかけた戦いが行われていた。 仮面の騎士『メタナイト』が率いる戦士一個団とホーリーナイトメアの衝突はその一つだ。
「魔獣を殲滅せよ!!」
「星の戦士どもを抹殺しろ!! 宇宙は我らホーリーナイトメア社が手中に」
宇宙に広がる眩い星の輝き、ひょっとしてそれは遠い戦士たちの戦いの後かもしれない。 これはそんな事も知らない、平和な星の物語。



ーーそのはずだった。



 ポップ星雲、ここはメタナイト達銀河騎士団とホーリーナイトメア社の争いからさほど離れていない宇宙。 それでもそこには様々な惑星が存在しそこの人々は宇宙の争いなんてつゆ知らず平和を謳歌してる。
砕け散った様な不思議な惑星に、水の雫の様な不可思議な形の惑星、顔の入ったハートの惑星と沢山の星々を横切りながら、金色の五芒星の小さな宇宙船が一つ。
その宇宙船はようやく人一人が入れる程度の大きさだった。 透明な半球体のカバーの中に、ひび割れた仮面をつけた群青の騎士が息絶え絶えだった。
「情けないものだ、敗走とは」
メタナイト。 先の紹介の男は闘いに敗れ、仲間も散り散りに逃げてきた。 彼が指示したのだ。 「なんとしても生き延びろ」と。
メタナイトは宇宙船の燃料残量を確認する。 もうすぐ尽きそうなそれを見ると、彼はめぼしい星は無いかと見渡した。
「住民に理解をもらえたらいいが」
そう言ってメタナイトはある球体の星に宇宙船を接近させた。 真っ白な惑星は、いかにも寒そうなそれだった。

ーーポップ星雲系 第五惑星 ブルブルスター。 ある学会ではそう名付けられている。

 ブルブルスターの分厚い雲を抜けると真っ白な雪原が宇宙船の窓からも確認できた。 ぽつぽつと雪原から生える針葉樹も雪化粧し、宇宙船ごしからも身震いを錯覚してしまいそうだった。
宇宙船を降下させようと、平地を目指すがあたりに集落も見当たらない。 着陸できても原住民と会えなければ燃料補給もへったくれも無い。 メタナイトは誰かいないかとぐるりと宇宙船から外を見渡した。
すると、右手に一際大きな針葉樹が見える。 そこだけが不自然に白い灯りが灯されたのが見えた。 メタナイトは息をはっと呑むが、高度を落としつつその針葉樹へ目指した。
「誰かそこにいるのか」
あの光は明らかに自然現象では無かった。 メタナイトは自身の勘という物を信じて宇宙船を針葉樹の林の中に潜り込ませる様に、降下していく。
巨大な針葉樹の中に、まだ背が半分ほどの針葉樹がそこにはまばらに生えていた。 多分、最近植えられたばかりだったのだろう。 しかし、その中の一つがまさにメタナイトの興味をそそるそれだった。
彼の目はあっという間に『それ』に吸い込まれていく。 それはみるも綺麗な雪原も、空に伸びる様に大きな針葉樹も視界から一気に外れるほどに、主張している。

「ーーこれは」
まだ若い細い若木、白く輝く星の様な花が綺麗に針葉樹に飾り付けられ、電飾の様に輝いている。
その温かい光に、メタナイトは宇宙船から飛び降りて、一歩また一歩と針葉樹の下に足を進める。 仮面の奥の瞳は既にそれに釘付けだ。
「気に入りましたか」
メタナイトの背後から声が聞こえた。 思わず身震いし振り返ると、真っ白な毛むくじゃらの姿をした一人の老人が歩み寄って来る。
「旅の者ですな、ようこそブルブルスターへ」
「突然の訪問、不躾ながら失礼する。 私はメタナイト」
メタナイトはマントを正し、老人に頭を下げる。 老人は腰の後ろに手を回すと、メタナイトに返事を返した。
「存じております。 銀河騎士団のメタナイト卿。 私はこの近辺の村の住民のワンパです」
ワンパ、そう名乗った男はメタナイトの横に並ぶとメタナイトと共に花が輝く針葉樹を見上げた。
「この針葉樹は我が村で今年一番育った若木です。 力強く、そしてたくましく育ってくれました」
「道理で、とても存在感を感じる」
メタナイトは針葉樹に飾り付けられてる花に目を向けた。 「アレは、この木に咲いた花では無いな」
「お察しの通り、これは我が村のクリスマスの祭りで飾った、『ポップフラワー』と呼ばれる花です。 この年一番育った若木にだけ備える、いわば王冠みたいなものですね」
ワンパの言葉に、メタナイトは嗚呼と声をあげた。 彼は今まで戦いの場に明け暮れていて、すっかり失念していた。
「そうか、この星にもクリスマスの文化はあるのですな」
「ええ、子供たちも毎年楽しみにしています。 クリスマスが終わった後、この若木が更に立派に育ってくれる様に祈って、ポップフラワーを飾るのです」
ワンパは雪原に落ちる白く輝く花ーーポップフラワーを拾い上げてメタナイトに手渡した。 先ほどまで冷たい雪に落ちていたとは思えないほど、暖かい光が溢れている。
「美しい輝きだ。 心がホッとする」
「ええ、私も大好きな光です」
ワンパとメタナイトはポップフラワーの輝きに目を細める。 メタナイトも、その光をじっと見つめては、覚悟を決める。

「ワンパ殿、私は銀河騎士団の戦士。 日々戦いに明け暮れ、勝っても負けてもまた戦火に飛び込むやも知れぬ」
「存じております」
「ただ、宇宙には私たちの戦いも一生知る事なく、暮らしていく子どもたちがたくさんいる。 このポップフラワーの輝きに目を輝かせ、明日を楽しみにして生きている」
メタナイトは、ポップフラワーの持つ手と逆の手で握り拳を作る。 その手は、彼の武器の剣を幾度も振るい、相手を斬り捨ててきた拳だ。
「魔獣も知らない子どもたち、そんな彼らの未来を守る為に、この命投げ打つ覚悟で戦って来たがーーポップフラワーとあの針葉樹に思い出させていただいた」

 ーー来年も、立派に。

「命を投げ打つ。 などと言ってはいけない。 命を繋げるために、私も今を生きていかねばならない。 明日も、明後日も、未来のために」
メタナイトの言葉に、ワンパは目を細めた。 それではーーと、ワンパはメタナイトに声をかける。
「それでは、未来のためにお願いをもうしたい。 来年も、来てくれますかーーできれば祭りの時に」
「私もそれをお願いしようとしていたところです。 この針葉樹の成長をまた見たいので」
「ええ、それではーー」




  ーー来年、メタナイト卿がお越しになった時に。


  ーーここがすぐにわかる様に、この若木の飾りは大事に飾り続けないといけませんね。




 クリスマスに限らない。 世界にあふれるイベントや行事は、人々が楽しみ、語り繋ぐ事で続いていく。
語り続ける人がいる限り、クリスマスも国ごとに意味は違えど脈々と受け継がれて続いていく。
クリスマスの後には、またクリスマスーー。 みんな、新しいクリスマスに胸を膨らませて期待に胸を抱かせる。

「こちらホーリーナイトメア軍、銀河騎士団の反応見当たりません」
「まだここは手付かずの様だな。 都合が良い」
ブルブルスターの針葉樹林、真っ赤な業火が燃え広がり、黒煙が空を覆う様に立ち込める。
真っ白な雪原は鮮血が広がり、電飾は配線が引きちぎられ木々に垂れ下がる。
ホーリーナイトメアの兵士たちがメタナイトも見上げた針葉樹をあっという間に切り崩し、土地を踏み荒らす。 彼らの手には、食料が入った袋が握りしめられていた。
「これだけ有れば、食料には困らないな」
「魔獣達も食い意地がすごいからな。 カスタマーサービスも、食料供給だけは怠るなと言っていた」
兵士たちは業火が包む村の中で、不敵に笑い続けていた。 彼らの足元には、悲劇が起きてもなおお構いなしに、輝く自然のポップフラワーが力強く生えている。 このポップフラワーは、もう摘み取られ針葉樹に飾られる事はない。
もう、この星にクリスマスはやってこないのだから。





 ブルブルスター

冷たい雪とふわふわな雲でいっぱいな真っ白な星。
あんまり寒くて、住んでた人はみんな引っ越しちゃったんだって。

この作品についてのコメント/評価 (2)
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