あしかのらいぶらりぃ
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執筆者: テーリィ/投稿日時: 2018/05/14(月) 09:24:19
投稿者コメント:
大・復・活!!(ぇ めちゃくちゃ遅くなってすみませんでした、更新再開していきまっせ!
歓迎パーティーの偵察兵
ふと、カービィの背後で風を切る音がした。
「あ、メタナイト!やっほー!」
そう呼ばれた仮面の剣士はバルコニーに着地し、蝙蝠のような羽を畳んだ。
「すまない、今到着した」
「みてみて!今日のおしょくじかいのおりょうり、たくさん作ったよー!」
メタナイトが目をやると、そこには大きなテーブルいっぱいに野菜や肉の大皿、スープの鍋などが整然と並べてある。
「...ほう、随分と腕を振るったようだな」
中でも誘惑的な香りを放つデザートの類に平静を保ちつつ、彼はカービィをねぎらった。尤も、それらの大半が目の前にいるピンク玉の胃袋に消えることは、想像するに容易かったが。
「オイラも頑張ったよ!」
隅のテーブルの陰から、グーイがぴょこんと顔を出す。
「っ...そなたは、...グーイか」
「あ、いちゃダメだった?」
「いや何、ただ、そなたが居るという事は...何処か近くに...」
ない首を傾げるカービィとグーイを前に、騎士は「いや、何でもない」と言葉を濁した。
「カービィ。そなたは彼女らとの再会をさぞ心待ちにしていたのだろう。今日は存分に楽しんでいくといい」
「もーちろん!」
「これはグーイもだが、最低限のマナーは守ることだ。あとカービィ、コックカワサキを元に戻してやれ」
「あ...そうだったね!」メタナイトの言葉に、カービィはコック帽を被っていたことを思い出した。彼はくるんと宙返りをし、コックの能力を外した。
「ふぇ〜...ピンクのちょうちょだ...」
意識のもうろうとしているカワサキを、グーイは舌で引っ張って城の医務室へと連れて行く。
「では、私はデデデ大王に用があるのでな。また直ぐに会おう」
「大王なら、おしろのもんのほうにいるはずだよー!」
「そうか、助かる」そう言い放ち、メタナイトはバルコニーから城門の方角へと滑空していった。
「さてと...ぼくもみんなをお出迎えしたいな!」
カービィもまた、宴会場を後にし、城門へ急ごうとした。−−が、視線を感じ、直ぐに足を止める。
誰も居なくなったはずの広間で−−ほくそ笑む何者かが、テーブルの影に。


「フレンズの諸君!!よくぞここ、あきれ返るほど平和なプププランドに来てくれた。今日はこの、デデデ大王様が存分にもてなしていってやろう。ありがたく思え、そして楽しんでいけ!」
「大王様...お言葉ですが、いささか高飛車すぎると思います」
「む、そうか?お前に言われた通り、オレ様の自然体でやってみただけだが」
デデデ大王とバンダナワドルディは、城のエントランスで対面する際のリハーサルを行っている。もちろん、他に人影はない。
「(やっぱり、大王様に自然体とか言わなきゃ良かったかなぁ...)大王様、ボクが言った『自然体』というのは、あくまでも緊張せずに、相手もリラックスさせられるように、という事ですよ」
「うーむ...バンダナ、ちょっとお前も歓迎の言葉を考えるの手伝ってくれないか?」
「はいはい。えーと、まずは、フレンズの皆さんを今日お迎えするのは、何故でしたかね?」
「(...ヤベェ、言ったそばから忘れちまった)オレ様の偉大さを示すためだったか?」
「もーっ、違いますよっ!皆さんとの親睦を深めるためです!
...んー、大王様の立場から考えて、カービィさんがあちらでお世話になったことへの感謝を込めてみてもいいと思いますが」
「そうかねぇ...じゃこんなのはどうだ?
フレンズの諸君!!忙しい中、よくぞこのプププランドに来てくれた。オレ様はここの国王・デデデ大王だ。いつだかはここのカービィが、諸君らに世話になったようだ。その礼も兼ねて、予告通り食事会を開こう。是非とも楽しんでいってくれ!」
「なんだかちょっとありきたりな気もするけど...その調子です大王様!
ん、もしもし?」バンダナワドルディのトランシーバーが鳴った。
「はい、ええ...えーと、開門許可ですか?
...大王様、皆様方とポピーさんがご到着なさったそうで、警備のワドルディたちが開門許可を求めています。いかがいたしましょう?」
「そりゃ、開けるに決まってるだろ!オレ様、心の準備はバッチリだからな!」
「...だそうです!開門お願いします!」
大きな音を立て、城門の隙間からそよ風が差しこんできた。
「皆さん、デデデ城に到着です!あっ、そしてこちらが、ここの城主にしてプププランド国王・デデデ大王様でございます」
「お会いできて光栄です、デデデ大王様」
(しかし揃いも揃ってデカイな...ここじゃオレ様より大きな奴てのはあんまり見かけないってのに...城を大きく作っておいて正解だった。いや!今は歓迎の言葉に専念せねば...)
「大王様ー...?(あーあ、やっぱりこの人何だかんだであがってる...)」
デデデは「国王」として、余所者を正式に国に迎え入れたという経験はほぼない。あるとしたら、旅人だった頃のカービィとか、その彼とともに星をひょっこり救ったグーイくらいだ。
「あー、オホン!失礼した。いかにも、オレ様こそプププランドの国王、デデデ大王だ。えーと......先日は我が国のヒーロー・星のカービィが...そちらで世話になったようだな(あれ、いつの間にオレ様はカービィを褒め称えてるんだ?)」
「カービィさん、本当に有名なんですね!」「ヒーロー、の通り名か...いつか手合わせしたいものだな!」
「オホン!そこで、だ。その礼も兼ね、今日は予告通り食事会を開こう。是非とも楽しんでいってくれたまえ!(ふーっ、何とか言い切った...)」
「フルル、あんまり食べすぎちゃダメよ。この後もライブはあるんだからね」「わかったー」「お前の『わかった』は信用出来ねーからなー...」
互いの緊張が解け、和やかな雰囲気が起ころうとしていた。ちょうどその時だった。

「わーーーー〜っ!!」
叫び声が城中に響いた。
「!?」「何今の声!?」
「カービィの声だ!何があったんだ...」
直後、逃げるように走り回るカービィと、それを追いかける黒い影が、一同の目に映った。
「ダークマターーっ!!ダークマターなんでーーー〜っ!?!?」
それはオレンジ色のヒレらしきものを揺らめかせ、一つの大きな目でピンク玉の走る先を見据えていたが、やがてエントランスの群衆に気付いた。
「セルリアン...!?」
「遅かったか...奴はセルリアンではない、ダークマターだ。
奴らは幾度となくこの星や他の平和な場所を侵略しようと、一族で攻め込んできた。大王の軍隊さえ、奴らには敵わなかったのだ」
「メタナイト!?お前いつからいたんだよ!」
「挨拶は後だ、大王。この状況をどうにかせねば...」
「でも、小さくて弱そうだよ?わたしが爪でやっつけちゃうよ!」
「待て、サーバル!」飛び出そうとしたサーバルを、メタナイトが制止した。
「あの大きさから見るに、奴は一族の下っ端。だが単体の戦闘力こそ低い代わりに、生物に憑依して仲間割れを誘うのが得意だ!」
彼の言葉が終わらない内に、ダークマターはフレンズたちのもとへ向かってくる。
『わあっ!』
「いよいよ手がつけられないな...
...大王!なぜ笑っているんだ!?現にダークマターがここにいるんだぞ!奴らの脅威は君も大いに知っているだろうに−−」
メタナイトが言う通り、デデデ大王は攻撃に跳びのきながらも、何故か笑みをこぼしている。
「オレ様がまた取り憑かれた、とでも言うか?いやなに、ちょーっとだけ、アイツに歓迎のアトラクションに付き合ってもらおうかと思っただけさ。
おいお前、ちょいとそれ貸せ」
「わっ...」デデデ大王は何事かと駆けつけてきたワドルディの一人から、短剣を取り上げた。
「カービィ!これを吸い込めー!」すかさず彼はそれを高く投げ、反応したカービィはそれを口に含む。
「剣を...飲み込んだ!?」
「ただのマジックショーなんかじゃないぞ。さあ、星のカービィの活躍、とくと見よ!」
見ると、カービィはいつの間にか黄緑色の帽子を被り、手には鋭い剣を構えている。
「そっか...カービィさんの『コピー能力』ですね!」
「ありがと、デデデ!じゃあいくよー!」
“ソード”の能力を得たカービィは、勇気凛々と暗黒の敵に向かっていく。
彼が剣を掲げると、桃色の光が切っ先に集まり、
「“スカイエナジーソード”!」
三日月形の衝撃波が命中し、敵は大きく怯んだ。
対するダークマターはカービィの大きなエネルギーを感じ、高速で移動しながら黒紫のレーザーを数本放つ。
「たあっ!“スピニングソード”!」カービィは床を蹴り、縦横に回転して広がる光線を弾いた。
「すごい...!」
着地したカービィは足を止めずに、残りの光線を剣で捌く。ダークマターの次の攻撃用意が出来た時には、すでにその真下にいた。
ここぞとばかりにダークマターが目を細めると、そのヒレがちぎれ、弾丸となってヒーローへと向かう。だが、一瞬遅かった。
「“切り上げスラッシュ”!!」
着弾する寸前にカービィは再び飛び上がり、敵の体を剣で打ち上げる。
「からの〜っ...“メテオエンド”っっ!!」
重力に任せて刃を振り下ろし、一刀両断。ダークマターは黒いもやとなって、消滅した。

それから再び楽しい時間がやってきた。
「み...見事だった!カービィよ、是非とも我が軍に来てくれ!」
「いーや、うちの軍にだね!こっちのほうが数的不利を食らってるんだしさ!」
素晴らしい活躍を見せたカービィが、ライオン・ヘラジカの両軍からスカウトされたり、
「...カレーの匂いがするのです」
「お前がその手に持っているのは、プププランドのカレーなのですか」
「ああ、そうだけど、これは、その...」「つべこべ言わずにわれわれに寄越すのですよ」
「おいちょっと待てカワサキ、それって...」
「今夜食堂で出そうと思ってた...激辛カレーライスが...」
「こっ、これは......
か、か、辛、からいのれすぅぅぅ!!!!!」
「博士っ!わっ、われわれの口から、ひ、火がああ〜っ!!」
「やめろ〜っ!!城が火事になるー!!」
...なんて事があったり。


「デデデ大王。今度の君の機転には、大いに助かった。だが......ダークマターの再来は由々しき事態だ。それに、もし彼女らの宇宙にも奴らが手を出すならば、それは大きな混沌をもたらしかねないだろう」
空になったパフェグラスを片手に、仮面の騎士は冷静に王へと告げる。
「わかってらい。約束するぜ、こっちもこっちで何か対策を練ろう。だが...お前はどうしてカービィたちにこのことを言わなかったんだ?」
内心、デデデ大王もあの存在に対して恐怖を抱いていた。割り切って行動を起こすことができたのも、ダークマターが弱い部類のものであり、またカービィを信じることができたためだったのかもしれない。
「彼らの楽しみたい気分を壊したくなかっただけだ。私としても、あのタイミングで奴が来ることは予想もできなかった」
「そーいうこった。だから今はオメーも楽しんどけ」
そう言い放ち、デデデ大王は再びごちそうをかき込む手を動かし始めた。

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