6日目:締め切り前の漫画家
リセン「はいどうも〜、ツッコミのリセンです。」
エナム「ボケのエナムで〜す。」
リセン「2人合わせて、」
エナム「『殺される、あの襲い掛かる締め切りに』、略して『KAOS』で〜す」
リセン「そんな略じゃないだろ。締め切り前の漫画家そんな感じかもしれないけど」
エナム「手塚治虫大先生だってそんな気持ちだったでしょきっと」
リセン「まぁ、確かにそんな気はするね」
エナム「というわけで、締め切り直前の漫画家になりたいんだ〜」
リセン「この話の流れで締め切り前の漫画家になりたいっていう奴ヤバイだろ」
エナム「漫画家になって編集長の前で『終わってません!』って笑顔で言いたいんだ〜」
リセン「そんな奴即打ち切りだよ」
エナム「あと完成間近の原稿にインクこぼしたいんだ〜」
リセン「そんな奴確定でドMだろ」
エナム「というわけで、僕締め切り直前の漫画家になるから、原稿を取りに来た担当の人役をやってくれない?」
リセン「いや、まあいいけども。」
エナム「マズイな〜、今夜締め切りなのにまだ半分も終わってないよ〜」
リセン「すみませーん!原稿を取りに来ましたー!エナム先生いらっしゃいますかー?」
エナム「うわ〜、担当の人来ちゃったよ。どうしよ〜。」
リセン「返事がないなぁ。まさか留守か夜逃げか?」
エナム「そうで〜す。今屍になってて居留守なのでまた一週間後来てくださ〜い」
リセン「返事返ってきてるじゃねーか!いるだろ絶対!
というか屍になってて居留守はわけわからねーよ!
とにかく入りますよ!」
エナム「あっ、待ってください!
入るのは勘弁してください!
見られたくないものが今散乱してるんです!」
リセン「見られたくないもの?」
エナム「中学生の頃の黒歴史ノートが15冊ほど散乱してるんです!」
リセン「見られたくないものってそういうことかよ!
てか多いな15冊は!!
いやもう関係ないんで入りますよ!」
ガラガラガラ(戸の開く音)
リセン「まったくこんなに散らかってるのかよ・・・
えーと、何々、『我が名は重要龍インポータントドラゴン、参単現のsを司りし者』
って、地味にダッサイなおい!!!!
よりにもよって何でimportantチョイスしてるんだよ!もっと他にあっただろかっこいい英単語!!!」
エナム「sometimesとか?」
リセン「それも対してかっこよくはないだろ!
いやそれはどうでも良いんですよ先生!
原稿は今どこまで進んでるんですか!」
エナム「あと1ページだけで終わるから、待っててもらえるかな?」
リセン「ちなみに今何ページ目ですか?」
エナム「3ページ目。」
リセン「漫画3ページで終わらせる気ですか!?
ソードマスターヤマトの最終話じゃないんですよ!?」
エナム「いや〜、短い方が読者の方も読みやすいじゃん?」
リセン「だとしても短すぎますよ!
先生の作品毎回10ページくらい使うのに今回だけ3ページだと色々狂うんですよ!」
エナム「大丈夫。締め切りまであと6時間。後3時間で残り7ページ描いてやるさ。」
リセン「えぇ、頼みますよホントに」
3時間後
エナム「よし!120ページ描き終わったぞ!」
リセン「いや多すぎですよ!!!どんなペースでこれ描いたんですか!?
1ページ当たり1.5分しか掛かってないですよね!?」
エナム「うん。かなり手を抜いたよ〜!」
リセン「怒られてしまえ!
というかこんなには要らないですって!
10ページで良いんですって!」
エナム「じゃあこれとこれとこれと・・・
これでいこう!」
リセン「えーっと、じゃあ後はベタ塗りだけですかね。」
エナム「そうだね〜。
あっ、申し訳ないんだけどベタ塗り手伝ってくれないかな〜」
リセン「あ〜あ、はいはい分かりましたよ。」
2時間後
リセン「あと1時間だってのにベタ塗りまだ半分も残ってるじゃないですか!!!!
どんだけ塗る部分あるんですかこれ!!!」
エナム「10ヘクタール」
リセン「広いな!?紙10ページ分の面積余裕で超えてますよね!?」
エナム「いや楽したかったからさ〜」
リセン「あとあとこうなるの分かってましたよね!?」
エナム「いや、君なら1分で1ページ終わるかなって」
リセン「最初っから私任せですね!?
最低ですね!?」
エナム「締め切り前なんだよこちとら!!!」
リセン「痛っ!?ちょっとインク投げつけないでくださいよイラついてるからって!
しかもこのインク何故か旨いし
・・・えっ?」
エナム「え、まぁそりゃ旨いでしょ中濃ソースだし」
リセン「インクに中濃ソース使う奴があるか!!!!」
エナム「えっ、いや毎回インクこれ使ってたけど」
リセン「どおりで先生の漫画何か美味しそうな匂いするなと思ったわ!」
エナム「眠いときに寝ぼけてインク飲んじゃった時の対策にもなるしね〜」
リセン「なりませんよ!
あぁ、もうこのままだと間に合わない!
あとこの漫画のベタ塗り2時間かかるんですよね!?
ホントにどうするんですか!?」
エナム「そうだねぇ〜、それ以上かかるかもね〜」
リセン「んな悠長に言ってる場合か・・・」
エナム「まぁ、ホントなら2時間かかるんだけども、」
リセン「何ですか何かあるんですか?」
エナム「完成したものがこちらとなります」ドスッ
リセン「完成品あるなら先に出せキュー○ー3分クッキングか!いい加減にしろ!!!」
エナム「どうもありがとうございました〜」
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〈補足コーナー〉
・締め切り前の漫画家そんな感じかもしれないけど
何ならこれ書いてる作者の2Yも同じ心境である。21:40時点で半分しか書き終わってないんだぞ。
・完成間近の原稿にインクこぼす
絶望オブ絶望。
・屍になってて居留守
へんじがない、ただのしかばねのようだ。
・中学生の頃の黒歴史ノート
男子は中学生の頃に何かしら黒歴史を残していることが多い。作者もそう。
・重要龍インポータントドラゴン
とても重要なドラゴン。何が重要かは知らないけどとにかく重要。
・sometimesとか?
時々龍サムタイムズドラゴン。
・ソードマスターヤマト
ギャグマンガ日和のネタ。最終話に3ページしか貰えなかった。
なお、同じく最終話だった四コマ漫画の『どっこいおむすびくん』は4ページ貰えた。
・じゃあ後はベタ塗りだけですかね
作者は漫画ができるまでの過程を知らないため、「あとはベタ塗りのみ」という状況はあり得ない可能性はある。詳しい人求む。
・10ヘクタール
10万平方メートル。B5用紙がざっくり5万平方ミリメートルなので10枚あっても50万平方ミリメートル。つまり200億倍ほどの差がある。
・インクに中濃ソース使う奴があるか!!!!
いない。特濃ソースならあるかもしれないが(ない)