第6話 メタの試練
『決心したみたいだな。なら、着いて来い』
メタは、無言でハデスの後ろを着いて行く。
『着いたぞ』
『これって……綱渡り?』
メタは、綱に足を置こうとすると綱がグラッと揺れ怯えた。綱より下の方を見ていると落ちたら、完全に死の方向へ行くようなそんな感じだった。
『こ、これを渡るんだよね…?』
『ああ』
(って、いつ渡ったの!?)
メタが綱の方を見ていたときにハデスは、向こうにいた。
『ボクがこっちに集中していた時にあっちまで飛んで行っただけか…。よし…渡ってやる……!』ボソッ
そして、1歩歩み出した。1歩ずつ歩く度に綱がグラッと揺れるがメタは、バランスを取り集中しながら、綱を渡っていく。
『や…やっと半分……;』
気を抜いた瞬間、バランスを崩してしまった。
『うわあああぁぁっ!!!』
勢い良く落ちていく。エリーを守ったときみたいなのと同じ感じだった。
(一か八かやってみるしかない……!!)
メタはここで飛行をしようと決意する。羽に意識を集中し、風と仲良くするような感覚でやってみると、羽がパタパタと動き出し、うまく飛べた。
『行けた……!』
うまく飛べるようになり、メタは自由に飛び回っていた。そんなとき、ハデスが『合格だ』と言う。メタはハデスのところまで飛んでいく。
『…もしかして、ボクがうまく飛行できていないから…そのために……?』
『別にそういう訳でやったんじゃない』ボソッ
(ツ、ツンデレ…;)
『お前は、もう大丈夫だ』
『え?』
唐突すぎて困惑していたメタだった。
『んな訳ないだろ!!』
『デスヨネー;』
『ちなみに、あそこにあるドアを開ければお前は蘇生できるからな。ま、試練を達成したらの話だけど…』
『んで…次の試練は何なの?』
ハデスは、悩み始める。
『え、何も考えていないの?;』
『…あいつが……………の能力を持つことになるんだな……』ボソボソ
(…………?)
ハデスが何か考えていて『おーい?』と声を掛けるが、答えてくれない。
『ちょっとー!!!! 無視しないでよー!!!!』
『…………………………』
もうハデスが何も反応してくれなくて『はぁ…何かやってられない…剣の練習とかでもするべきだったなぁ』と飽き始めたが、今の一言にピクッと反応した。
『お前、剣士を目指してるのか?!』
『そうだけど………』
『それなら、お前にピッタリな奴がいる』
『それってホント!?』
メタは目を輝かせていた。
『ああ…連れて行くから待ってろ』
(結局、待つのか…;)
メタが下を向いて溜め息を吐いた。顔を上げると、ハデスはいなくなっていた。
『まあ、待ってる間、飛ぶ練習でもしようかな…』
剣士を目指すための修行ではなく飛行練習をする。メタ曰く『忘れないうちにやっておきたい』だということ。
〜数時間後〜
『遅いなぁ…』
数時間経ってもハデスは帰って来ない。まるで、忘れ去られたかのようだった。
『うーん…』キョロキョロ
メタは何かないか探すけど、何も見つからない感じだったその時、ハデスがメタの後ろにいた。
『あ、遅い! どこに行ってたの!?』
『ははは、悪りぃ…異空間でさまよっていたんだ;』
『全く、お前は昔から変わってないな』
ハデスと話していたのは、メタにとっての憧れの人だった。