EP.1-6 Trigger 6
「分かりました。じゃあ、1つ目……」
少し考えた。色々なことが浮かんできたが、
真っ先に浮かんだのは―――――
「……作りすぎで、捨てられる運命のキャベツを、
減らしてほしい」
僕が一番恐れていたことだった。
人間の勝手で、野菜としての役割を奪われて、
ゴミと混ぜられ、捨てられる。
それだけは耐えられなかった。
いつ彼らの仲間入りをする羽目になるのか……
……考えるだけでゾッとする。
「おやすい御用だ」
悪魔はそう言うと、ぱちんっ、と指を鳴らした。
雲の動きがぴたっと止まり、周りの人間たちも止まる。
「な……何をしたんですか!?」
「まあ見てろって」
風の動きも人の気配も、何も感じられない。
どうやら、時間を止めたらしかった。
悪魔は畑の端っこに向かうと、
積み上がった大量のキャベツに向かって
何やら呟き始めた。
むにょむにょとよくわからない言葉を唱えている。
悪魔の言葉が終わると、大量のキャベツたちは、
一瞬でなくなっていた。
「さあ、願いは叶えたぞ。2つ目の願いを言ってみな」
色々と疑問は浮かんだが、
聞き入れてくれなさそうだったので良しとした。
「2つ目の願いは……」