あしかのらいぶらりぃ
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執筆者: 麻疹騙り/投稿日時: 2015/09/30(水) 11:57:28
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本当の本当の最終話です。完結です。
長かった……。
EP.8-2 The End 2
ガタン、と金属が叩き付けられる音がした。

先ほどの紳士が鉄板に“戻った”のだろう。



最期に、一つだけ思い残すことがある…………


……緑さんに、会いたい。

せめてこのままの姿でいいから、会わせてほしい。


再び言葉を交わそうとか、手をつなごうとか、
そんなことは望まないから。



元の姿に戻るとき、緑さんが言いかけた言葉……



−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

『…ありがとう…………私も……』

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−



何を言おうとしていたのだろう。それだけが知りたかった。

悔いにも似た思いが、小さくなった体を包んでいく。




そして、ふわりと体が宙に浮いた。

グレーのエプロンをつけたあの悪魔が、僕を持ち上げていたのだ。

その右手には、銀色に光る包丁が握られていた。



「えーっと……まずは…………お前だ」


僕がかつて見ていた料理本と似たような本を片手に、悪魔が僕に語りかける。

僕の声はもう、誰にも届かない。



包丁の冷たい感触が伝わって来た。

悪魔が僕に包丁を当てがっている。


もう、逃げも隠れも出来ない。覚悟を決めるしかなかった。





「キャベツさんよ……お前が一番、面白かったぜ」




また生まれ変わったら、もう一度…………


会えるよね……緑さん……………





また、いつか―――――――――――――――――








ざくっ、という身が切られる音。僕が聞いた、最後の音だった。





そして、





僕の意識は、そこで途絶えた。

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