EP.7-2 Farewell 2
「縁くん……」
「所詮、無理のある話だったんです。僕にもう少し包容力があったら……あなたを、ロールキャベツみたく包んであげられたのに」
人間としての生活の中で、唯一の心残りだった。
緑さんのあの涙を、拭ってあげられなかったこと。
「ううん、気にしないでよ。十分だよ……縁くんがいてくれて、良かった」
僕を気遣ってくれる緑さんの姿。柔らかい笑顔。
この笑顔に惹かれて、この笑顔に恋をしたのだと、改めて感じていた。
「ありがとう……大好きでした!」
初めて声に出して伝える、心一杯の想い。
「あなたの、そのカラッとした性格が、トンカツっぽくて大好きでした!!」
不必要なまでに大きくなる声と、溢れ出す涙。
最後の最後、今までずっと言えなかった感情が、涙と共に溢れ出していくようで―――――――――――――――
「縁くん…ありがとう……」
滲んだ視界で、目の前の緑さんを見つめる。
涙のせいか、その美しい姿がよく見えないけれど……
聞こえて来る声の調子では、泣いているように思えた。
「…ありがとう…………私も……」
緑さんが何かを言いかけた、その時。