6-1.盗賊団と現人神
俺は、俺はもしかしたら、この世にある「掟」というものを破ってしまったのかもしれない。
俺は、薄汚い泥棒だ。当然お宝には目がない。その時も、伝説の秘宝目当てでその場所に向かっていたのだ。
そこは不思議な場所だった。次元の狭間たちの先には、こんな場所があったのか。首が痛くなるほど背の高い建物がたくさん並んでいる。緑が全くない。路地裏に入り、入り組んだ道を抜けたら、そこにいかにも宝箱な感じのする箱があった。何が入っているのだろう?宝石?金銀財宝?何かの機械?興奮した俺は、その場で箱を開けてしまった。
それが始まりだった。
突然、目を突き刺すような眩い光が差して、私は悲鳴を上げた。
「...?」
誰かいる。
「誰...?」
「ウワアアアァッ、団長、箱から女の子が‼」
恐る恐る私は声がした方向を見る。そこには赤いマントをまとった男がいた。
「君は...?」
私は意を決して言った。
「私はジネヴラ。アルカンドーレの末裔のジネヴラ。」
幾千年もの間眠っていたせいで、体がうまく動かない。箱から出ようと勢い余って私は彼の方向に飛んでしまった。
私に押され、彼が仰向けになる。
「うっ...重っ...」
慌てて私は起き上がり、彼から離れた。
「ご、ごご、ごめんなさい!」
「い、いいよ、大丈夫...」
この出会いこそが不幸の始まりだった。
つづく