第5話 血に染まった戦艦
バンワドやエリーが何とか秋桜を守ることに成功し、そして、真実を話していた頃、メタナイトは部下が心配でハルバードへ向かって行った。
「ペンダントのありかを教えろ。見逃してやったりはするぞ」
「し、知らないよそんなの!」
「ほう、我に逆らうのか」
何者かが、水兵に向けてナイフを向ける。そして、水兵を串刺しのように刺していった。
「ああああぁぁぁあっ!!!!!」
刺した部分から鮮血が吹き出し、辺りに飛び散る。それを見たメタナイツ達は恐ろしくなり、身動きを取らなくなった。
「ワドルディ、しっかりしろよ!」
「う…っ…………」
ワドルディは完全に意識を失っていた。無理に起こして傷を開けないようとする為に体を揺らすことはしなかった。
「こいつみたいになりたくなければ、ペンダントのありかを教えろ」
「し、知らないものは知らないダス!」
「他を渡って下さい!」
「そうか、教えないんなら…こいつみたいにみんなまとめて…死ね!」
そして何者かが襲いかかって来る。メタナイツ達は武器を構えて対抗する。
「はああああぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」
「面構えはいいようだが…所詮は我の敵ではないな」
キイィィィン………!
「なっ…防がれた…!?」
「フッ、甘いな」
「いや、甘いのはお前だな…」
「なに…?」
ジャベリンの攻撃を防がれたが、これは作戦の1つだったらしい。背後はがら空きだったのだ。それを狙うかのように3人が襲いかける。しかし…
キイィィィン……!
「「「「なっ……!?」」」」
がら空きでチャンスだったのが見事に弾き返され、全て水の泡となった。
「惜しかったようだな。言っただろう、所詮は我の敵ではないと」
「くぅ……!」
「もう少し相手したいが、そんな暇ではない。これで終わらせよう」
「「「「……!?」」」」
そして、彼は何か構える。それは、切り札のような技みたいな感じだった。
「【暗焉斬】!!!」
ザシュ!! グサッ!!
「「ああああぁぁぁぁっ!!!!!」」
「「ぐああああぁぁぁぁっ!!!!」」
その技によって、メタナイツはゆっくりと瞳が閉じ、倒れていく。ハルバードは血に染まっていった…。それを見たバル艦長はハルバードから抜けて行った。
「1匹逃げたが、まあいい。これで、999体目か…あと、1体でも殺せば我は更に強くなれる…そして、この世界も終わる。フハハハハハハ…ハーッハハハハハハ!!!!」
*
「メタナイト様、一体どこに……」
ハルバードから抜けたバル艦長は緊急事態に陥ったことを報告しようとするが、肝心のメタナイトがいない。
「メタナイト様ー! いらっしゃいますかー!!!」
「…地上から探してみるのはいいが、一体ハルバードはあそこのままなのだろうか。む…?」
メタナイトが上空から探している所、バル艦長を見かけ、声をかけてみることにした。
「バル艦長、どうしたのだ」
「メ、メタナイト様! どうしてここに!?」
「嫌な予感がしてな。それより、メタナイツ達は?」
「それが……」
メタナイツがやられたことを彼に報告する。するとメタナイトが「案内してくれ!」と急ぐように叫ぶ。
「は、はい。こちらです!」
(無事でいてくれ…メタナイツ!)
*
「メタナイツ、大丈夫か… !?」
時既に遅し。メタナイツ達の意識はもうなくなっていた。戦艦は血に染まっていて、希望はどこにもなかった。
「そ…んな…メタナイツ…! しっかりしてくれ、メタナイツッ!!」
「メタナイト様………」
(ほう、なかなかのチカラがありそうだな)
「お前がこいつらのリーダーか」
「…………………………」
メタナイトは敵を睨み付けるような目で振り返った。
「お前だけは…」
そして、姿があの時のように瞳が赤く染まった。
「絶対、許さない…。メタナイツの仇として、お前を倒す!」
「フッ、面白い。では、スタートといこう」
仲間が倒れていったのに許せなくなり殺意に目覚めたメタナイト。果たして、メタナイトは何者かが分からない敵を倒すことは出来るのだろうか。