5話「記憶の謎」
5話「記憶の謎」
宇宙の彼方のどこか。ホーリーナイトメア社の本社である。
というか、本当にこりない会社だなホントもう。
「…で、どうなった?例の≪本≫の件は。」
ただっぴろい会長室。どこから飛んできたかわからない声が響く。すげぇエコーする。
「…それが……」
数名並んだ幹部の一人が、恐る恐る話した。スマブラ界に送った中型宇宙船が撃破されたこと。せっかく別の世界で強奪した「第1項」がなくなったこと。そして、調べによると…
「…すでに≪本≫は、4冊全て…己を完成させる為に必要な存在達の手に…渡ったと…」
沈黙。やべぇ殺される。幹部は焦った。
「………ほぉう。」
声の主の姿は誰にも見えない。どこにいるか、何を見ているのかは目を凝らしても見えない。会長室の奥深くにいるのだろう。深い闇に閉ざされている。
「カービィか?その≪本≫の選んだ者とは。」
「いえ。カービィは今、冒険の方に追われているのは確認済みです。」
「だろうな。だからこの時期にしたのだ。…では、誰だ?」
「…複数の世界から集まった4組の勇者です。…会長。」
幹部は震えながら、言った。
「≪本≫は自ら4つに分かれて彼らのもとへ現れたのです。つまり…すでに≪本≫の記憶は自我を持ち始めているのかもしれません。『自分自身の元へと帰る』という自我を…」
幹部たちが去った後、例の会長…ナイトメアは、誰とも言わず、つぶやいた。
「まぁ、≪本≫があったとしても、ファイルが全て集まらなければ、その勇者達とやらも≪本≫に記された言葉の意味さえ理解することはできんのだ。すでにファイルのほとんどは我がホーリーナイトメア社が持っている。
…それに、ファイルが集まるうちに、≪本≫自体もこちらへ引き寄せられざるをえないのだ。」
ナイトメアは、ほくそえんだ。計画は順調である。
スマブラ界の片隅の小さなカフェ。我らが4組の勇者達が囲むテーブルの上には、形もサイズも違うけど、4冊の本が並べてある。少なくとも、元は1冊だったことは事実のようだ。
「こっちの…僕たちの赤い≪本≫にはロゼッタの力で文字がうかんだけれど…他の3冊はどうだろう?」
来太に言われ、ロゼッタは「やってみるわ」と一つ一つの本に手をかざした。
マルス達の青い本には『彼ラハ行カン 私ノ元ヘ』
六花達の緑色の本には『導ク記憶ハ コノ書ノナカニ』
そして、マルク達の黄色い本には『全テノ運命ハ コノ書ノナカニ』
「えーっと…」キービィは、4つの文を続けて読んだ。
4クミノ勇者タチ 集マリテ
彼ラハ行カン 私ノ元ヘ
導ク記憶ハ コノ書ノナカニ
全テノ運命ハ コノ書ノナカニ
「…どういう意味なのサ?これ。」
「『彼ラ』ってあたいたちのこと?」
「そうみたいね。」と六花。
「つまりはこの本が私たちを導くということか。」これはメタナイト。
「『私ノ元ヘ』ってどういう意味?『私』って誰?」これはミクだ。
「…たぶん、この本の持ち主…というか、記憶だっけ?その主は、何か重大なことをこの本の中に封じこめられてしまったんだよ。」
岐部の一言に一同、あーなるほどという顔をした。
ファイアーエムブレム♪てーごわいシュミレーション♪
唐突に歌が流れた。
「あ、電話だ。」マルスは懐から何か取り出した。
「なにそれ。スマホ?」
「そうだよ。スマッシュホールド、略してスマホ!」
「え…」
「どうかした?」
「いや、なんでもない。スマホにも色々あるのね…」
痛感。
「よいしょっと…えーと、あ、ピカチュウ。どうしたの?」
ピカチュウからだ。
「マルス、今どこにいるピカか?対戦表からも外されてるピカけど…」
ピカチュウはスマホ(もちろんスマッシュホールドの方)片手に対戦モニターに目を向けていた。
「うん。今は『喫茶 横スマ』にいる。あのね、話せば長くなるけど…」
くどくど。事情説明。
「ふーん。」
「って何その反応。一応、僕だって勇者の一人に選ばれたんだからね!」
この2人、いつもこんな感じである。
「あとさ、今の話で思い出したピカけど、」
手元にあるクリアファイルに目を移す。
「さっき中庭いたら空からクリアファイルが落ちてきて…」
ピカチュウが言ったそのとき。突然、クリアファイルが光を放った。すごいまぶしい。
「ピカっ!?」
周りのファイター達も驚いてファイルの方を見ている。
次の瞬間、光がファイルから舞い上がった。飛び去っていく。
ピカチュウはあんぐり口を開けてそれを見てるしかなかった。
「おーいピカチュウ!大丈夫!?」
スマホごしに、マルスの声。
「えーと、ピカ。たぶん10秒以内に何か飛んでくるから。」
「え?」
ピッカーン!!!
飛んできたし。
「本当に飛んできた!」
「でしょピカ。」
ピカピカ。ピカチュウ並みに輝く光球がテーブル中央でふわふわ浮かび…赤い≪本≫に飛び込んだ。
しばらくすると、光も消えて、元に戻った。
一同「・・・」
「たぶんそれ、その記憶ってやつピカよね。…もういいピカ?じゃあなピカー。」
ツーツーツー
来太が本を開く、なんと、「4クミノ勇者タチ集マリテ」次のページに文字が浮かび上がっていた。
「みんな!見てこれ!」
キービィが言う。全員が覗き込んだ。
≪第一項≫
記憶封じしファイル開き、この書にすべておさめし時、私は眠りから目覚めるだろう。
思えばかつて、あの人は私によく言っていた。「あなた達は世界を護る人。もし私たちが死んでしまっても、どうか護り続けて、この世界を。」
でも、どうやら、護りきることはできなかったようだ。あの人のくれた≪バックアップ≫と呼ばれる力のおかげでこうして記憶だけでも逃すことはできた。あとは記憶の力で、今どこにあるかわからない私の本体を見つけ出してもらうだけである。
まぁ、望むことならば他の3人もどこかに。せめて≪バックアップ≫でも残っているといいのだが……。
「なによこれ。どういう意味?あたいにはわかんないわ。」
「なんなのサ?この≪本≫の持ち主がが4人いるような文章。」
「えーっと、ともあれ。≪私≫っていう人の他に3人。つまり、記憶の持ち主は4人ね。本も4冊。1冊につき、1人の記憶のバックアップってこと。」六花が推測。
それが今一番周到な話だろう。
「ちょっといいかしら。」ロゼッタが本を取り、手をかざした。
「見える……でも、この風景…スマブランド?」
「スマブランド!?」←ルイージ
「よーし。次はスマブランドだ!みんな行くよー」
一同「オー!!!」
(来太くん…ここまでお疲れさま。)
「…この声。夢の中にいた人?」
みんながカフェを出たあと、扉に手をかけていた来太は、声を聴いた。夢の中で聞いた声を。
(次はスマブランド…マスターハンドには気を付けるのよ…いいね?)
「…はい!」
来太はドアを開けた。ってか、別にかっこいいシーンでもないが。
「うふふ…来太くん、ちゃんと夢の内容を理解してくれたんだね。にしても。どこぞのマゾっ気男子とは大違いというか…性格似てると思ったのに。…そういえば、例の人は今どうしてるだろ。今日も宇宙最速目指してるのかなぁ。あの天才天馬騎士さんも、それ追いかけてるのかなぁ。
…でも、そろそろ追っ手が来てもおかしくないよ…私たちだって立派な≪本≫の関係者だもん。」
どこにあるかわからない、月影の水面に移る少女。はおるマントは…ナイトメアのマントと酷似している。
「さて…おなかすいたし、食べよっかな。」
ぱっこん。黄桃缶を開いた。
彼女が、勇者たちと合流するのは、しばらく先の話である。
【【一言コーナー】】
…っつーことで、ナイトメア社も動き出したり、≪本≫の持ち主のあれこれだとか。こんなかんじかな?
テスト前に大急ぎで書いたので。ミスおおいかな…
いやーマルクとチルノは発言が個性的で書きやすい!「〜が言った。」って書かなくてすむ!(しょーもな)
そして、なんか最後のところ…伏線ですね。「黄桃缶好きの魔導師」「マゾっ気の男子」「天才天馬騎士」「宇宙最速を目指す」ご察しの通りですね。麻疹騙り氏どうすればいいかわかんなくて天馬騎士です!変更してくださってけっこうです。(*^^*)
次はメタファン氏!お前のホームグラウンドことスマブランドでのお話だ!!