第二の人生の育て方
キャスター「…ここで速報です。昨日起こった無差別殺人事件の犯人が発表されました。犯人の名前はソードナイト。繰り返し申し上げます。昨日…」
…無差別殺人事件と言う言葉に私は反応した。
ついに、私が乗っ取る予定だった教団が行動を起こしてしまったのではないかと…
私の名前はクーザー。カルト教団を乗っ取ろうとしている者だ。
しかし、今、私はかなり悩んでいる。
内容は、少し前に私は女性に告白された。
しかし、私はその告白を断りたい。
理由は、私がまったく好意を持っていないからだ。
まあ、それじゃ、断れば良いじゃないかと思うかもしれない。
しかし、話はそう単純ではない。
その女性は、乗っ取る教団の教祖にえらく気に入られている。
そして、私はその女性に教団の乗っ取りを協力してもらっている。
つまり、私が女性の告白を断れば、教祖に教団の乗っ取りの事を言って来るかもしれない。
そうなれば、計画は全て終わり、第二の人生を失敗してしまう。
…結果、断る事は不可。事実上選択肢は一択だったという訳だ。
その女性と付き合うしかない。しかし、第二の人生にかなり影響されてしまう。
ちなみに、返事は次に会った時だ。あれから、私は教団には行ってない。ゆえに、まだその女性とは会ってはいないのだ。
プルルルル…プルルルル… 携帯電話の音
クーザー「もしもし?」
ガニョッキ「おう、俺だ。ガニョッキだ」
クーザー「…もしかして、あの事件って教団がらみだったんですか?!」
ガニョッキ「おい、ソードナイトって言う奴は俺達の教団にはいない。落ち付け。とにかく、用件を話す。教団へ来い。教祖から話があるようだ。って言ってもお前だけじゃない。教団のメンバー全員が今、教祖の所に向かっている。それじゃ、なるべく速く行くんだぞ」
電話が切れた…
しかし、行くしかないだろう。よし、腹は、もう決まっている。
そして、教祖の所に…
クーザー「…結構、集まっているな」
ガニョッキ「ああ、それだけ、今の世の中に不満を持っちまっているのさ。平和なのに…」
アポロ「お久しぶりです。クーザーさん…」
クーザー「…どうも」
アポロの様子がおかしい気がする。
そう思っていると、その女性は来た。
カニル「あら?クーザー。やっと…会えましたね」
クーザー「もうすぐ、教祖がお見えになる。話は後にしよう」
カニル「忘れたのかと思ってしました。フフ…」
何か、不気味度が増しているのは私だけだろうか。
教祖が台に上り、話し始めた。
教祖「皆さん!私の独自の調べで!大変な事が分かりました!それは、我が教団の幹部。サーキブルが記憶喪失になったのです!それも、我が教団の記憶のみ!」
周りが騒ぎ始める。
とは、言ってもサーキブルの記憶喪失については、もう知っている。実際に調査を私達が行ったのだから。
あんだけ、騒いといてこれだけかよ…
まだ、家に居た方が良かったな。
教祖「そして、サーキブルを記憶喪失にした犯人を突き止めた。
その犯人の名前は…ソードナイトだ。彼は、サーキブルの経営しているバーの唯一の常連客だ。そして私は彼に、尾行を付けさせた…何故ならサーキブルの経営しているバーに、常連客なんていない。だって、皆、客は死ん…おっと、勢い余って口が滑る所だった」
ガニョッキ「おいおい…マジかよ。無差別殺人事件の犯人と同じだと?」
教祖「そして、彼は、とある組織に入っている事が分かった。そのとある組織はデデデが極秘に直接、組織したらしい!こんな偽りの秩序を守るために、デデデは秘密結社を創立していたんだ!我々の本当の秩序を潰すための目的で!」
アポロ「何か…妄想に入って無いか?教祖」
クーザー「あぁ…平和が一番の秩序なのに、教祖は偽りって言っているからな。まあ、とにかく、話を聞こう」
教祖「そして、ついに、デデデ率いる秘密結社は行動に出た!幹部のサーキブルを何らかを使い、記憶を操作したんだ!だから、サーキブルは教団の記憶だけ無くなっていたんだ!記憶を操作させた目的は、我々の教団の崩壊のためだ!本当の秩序をデデデは消し去ろうとしているんだ!」
ガニョッキ「教祖様…デデデは行方不明です。無差別殺人事件の後から姿が見えなくなっています」
教祖「殺人事件…?何を言っている。この偽りの秩序にそんな物があるはずないだろう。あったとしても、必ず隠蔽されるはずだ。だって…偽りだからな!」
アポロ「教祖様。このニュースを見て下さい」
アポロが教祖に無差別殺人事件のニュースを見させる。
教祖「…そうか、ついに目覚めたのだな。どうやら、ソードナイトはこの偽りの秩序を壊すために行動に出たのだ。だから、偽りの秩序の象徴であったデデデ城を破壊した。ついでに、偽りの秩序にしがみつこうとした、哀れなゴミ共と、共に…壊した。素晴らしい!彼は救世主だ!さあ、今こそ行動に出るのだ!偽りの秩序を破壊するのだ!デデデの創った秘密結社を破壊するのだ!…そうか、これは!きっと!あのお方の霊能力!そうだったのか!あ〜はッはッはッはッは!」
教祖の笑い声と同時に、多くの人々が外に出て何処かへ向かって行った…
クーザー「…恐ろしいな。洗脳という物は自分までもおかしくしてしまう」
教祖「おい!君達も行けよ!秘密結社を潰すんだよ!あ!カニルはここに居て大丈夫だから!」
ガニョッキ「クーザー、アポロ。早く行くぞ…」
アポロ「おい、何でカニルだけここに居て大丈夫なんだ?」
教祖「…お前、この私に口答えするのか?」
ガニョッキ「おい!アポロ!やめろ!取り返しのつかない事になるぞ!」
クーザー「取り返しのつかない事だと?…どういう事だ?」
アポロ「お前が誰だろうと!関係無い!俺、知っているぞ。教祖はカニルの事が好きなんだろ?だけどよ…お前ごときにカニルを任せる訳にはいかないんだよ!カニルを守るのは俺だけだ!お前じゃない!カニル!待っていろ!必ず君を助ける!」
カニル「アポロさん…何言っているの!教祖様に…逆らったら!」
教祖「貴様はドリームアイランド送りだ。即刻な!(アポロを何処かに連れて行こうとする)」
クーザー「アポロ!…クソッ!体が…動かない!?どうしてだ!」
教祖「君は霊能力を、舐めすぎなんだよ。君達は次に逆らったら…送ってあげるからな(そう言って何処かに行く)」
しばらく、経ち…
ガニョッキ「体を動かせる…あれは、一体何だったんだ…」
カニル「…アポロ。私、洗脳されていたんですね。今、全てを思い出しました」
クーザー「これから、どう行動するか、考える必要がありますね…」
私のこれからの第二の人生は、とんでもない方向へ向かっていく。
そして、これはまだ、第二の人生の序章でしか無かったのだ…
第二の人生の育て方 続