EP.6-9 Ensemble 9
♪きっと、これからも君は
誰かの胸の中で
大切な宝物になるのでしょう
言いかけた「好き」の言葉
あの時聞いた、綺麗な歌声。
緑さんが最初の音を発した瞬間に、観客から歓声が上がった。
僕が詞を書きながら想像したよりも、何十倍…
いや、何百倍も綺麗な歌になっていた。
♪Ah... 君の声を今聞きたくて
涙が止まらなくなるのは、何故?
思わずタンバリンを叩くのを忘れるほど、聞き入ってしまった。
自分で作った詞ではあるが……
……それ以上に、緑さんが僕の詞を歌ってくれているという喜びと、
そのあまりの綺麗さで、我を忘れていた。
(縁くん!叩いて!)
緑さんが口だけを動かして、僕に呼びかける。
それを見てようやく、タンバリンを叩き始めた。
♪きっと、これからも君は
誰かの胸の中で
大切な宝物になるのでしょう
言いかけた「好き」の言葉
Ah... 君の声を今聞きたくて
涙が止まらなくなるのは、何故?
気づいたら、観客も僕のタンバリンに合わせて、手拍子をしていた。
その場にいる人たち全てが一つとなって、作り上げられる音楽。
「人間最後の日」には、十分すぎるぐらいの光景だった。