あしかのらいぶらりぃ
はじめにお読み下さいこの小説を修正する最近のコメント・評価キーワード検索
設定メインページに戻るサイトトップに戻る
大 中 小
執筆者: 麻疹騙り/投稿日時: 2015/08/22(土) 05:38:10
投稿者コメント:
最近不眠症気味の麻疹です。
ほとんど寝られていないせいか体が色々おかしい。
頭も回らない……誰か助けてー!!
EP.6-1 Ensemble
人間として過ごす、最後の夜。

窓の外には、美しい月が白く輝いている。



あの日以来、月を見る度に思い出してしまう。


月明かりに照らされた、緑さんの姿。

目から零れる、大粒の涙。

左肩のあの湿った感触――――――――――――――――


最後に、緑さんの心をほぐしてあげられるような、
何か良い方法はないだろうか。


「どうしようかな……」


テレビでも見れば、何か参考になりそうなことがあるだろう。

そう思ったが、緑さんはもうぐっすりと眠っている。
起こしてしまうわけにはいかない。


「うーん……」


何の気なしに机の引き出しを開けると、4・5枚の紙が入っていた。

見覚えのある模様。


僕は見たことがあった。

緑さんが、この紙にオリジナル曲の歌詞を書いているのを。


「……そうか、歌か」


思えば、僕らの出会うきっかけ……「縁」になったのは、
歌だった。


歌で始まった僕らの関係が、歌で終わっていく―――――――

――――不思議と、悪い気はしなかった。


僕の事なんて、別に忘れてくれても良かったけれど、

せめて、せめて……僕がこの世界に生きていた証を、
形にしたかったから。


「緑さん、喜んでくれるかな」

この作品についてのコメント/評価 (0)
 前の話へ  次の話へ 
(c) 2010, CGI Script by Karakara