ノート5僕らの一人。
気の影から出て、剣士達を狙う。
とんっ、といい、麻酔は命中した。
「キャメル!」
「うん!」
二人は走ります。走り続けます。
途中で丁度良さそうな洞窟を見つけ、其所で休むことにした。
「お疲れ様。御休みなさい。キャメル」
レイは一人呟く。が、既にキャメルは眠りに堕ちた。
……………
『まま、目が、見えないの。片方しか。』
その時から、お母様達は、私を避けた。
『あら、可愛らしい御嬢様ですわね』
とか言われても、皆、
『でも、この子、左目が盲目なんですよ』
とか言われる。
『御兄様っ……!』
『妹の方が下だろ?』
と、笑いながら開いた目は、鋭かった。ナイフの様に。
私は自分の部屋に隠っていた。
『この家族はね、仲好しなのよ…』
あれは、今考えると、馬鹿だったと思う。兎とか、猫とかの縫いぐるみを家族みたいにしていたのだから。
『おままごとしよう。』
コップに水を注いだら、縫いぐるみに持たせると、直ぐに、溢れる。
『……溢れちゃった…』
縫いぐるみを触ると、手から、風の様な物が出て、縫いぐるみが乾いた。それが初めて使えた魔法。
あれから、私は部屋から出てこなくなった。
私が泣いても、居なくなっても、死んでも、皆は悲しくならない。
『髪の毛切るね』
人形の女の子の髪の毛を魔法で出したハサミで切る。
髪の毛が床に落ちる。
『誰か助けてよ私、何かした?まま、ぱぱ、御兄様………』
ぼやき、手に抱えた人形の首元にハサミを突き付ける。
『そっか、世界は壊れないんだ。』
でも、
『手元のは壊せるんだ!』
人形の首を切る。
壊しちゃった。でも、私は王族なの!人形なんて沢山あるのよ!
『次は……名前付けてあげる。』
熊の縫いぐるみに針と銀の糸で[000]と施す。
『貴方の名前は[000]だよ!』
もっと。もっと欲しい。
これは、私が3才の時の話。
この世界では、2才で物心が出来る。
1年後_______
『誰も居なくなっちゃった……』
縫いぐるみ達は全て壊した。
『寂しいな……』
本を開くと、意識を封印させる方法があった。
『○○○○○○○○○○○○○○←(それっぽい呪文を入れてねー!)』
目の前が光り、バタっ、と倒れた。
私は随分眠っていた。人間からしては、6年程。が、私達からは11ヵ月だろう。
『家出、したい。しよう。』
と、立ち上がった。