あしかのらいぶらりぃ
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執筆者: ロウ/投稿日時: 2014/03/24(月) 08:27:21
投稿者コメント:
突然の小説っすよ小説。
今回は、ある人の過去話をちょっとね。
あのキャラクターはあの人に上げたけどそれは結婚してからだからその前までは俺のもの?(ぇ
ではごゆっくりどうぞ!
(移動させただけです。)
Episode5 〜Rays Liner 〜切れない絆〜
店内は興奮で溢れかえっている。
その一見するとバーのようだが、この店にはお酒は置いていない。
そう、ここはカフェだから。
コーヒーの匂いとお客さんの"群れ"。その前には一つのステージ。
カフェのステージで行われるライブは毎回たくさんのお客さんが来てくれる。
「みんな〜今日は集まってくれてどうもありがと〜!!」
"あの子"にくれたこの笑顔で私はマイクで話す。
「え〜今日は、私の親友に届ける歌をね、歌おうかと。まぁ今日はいないかな?まぁいいや。
"その子"は私に光をくれたから、今度は私がみんなの光になる!ってわけで聞いてください。…『Rays Liner』」

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5年前の私は、今とは全然違う、勇気の無い女の子だった。
友達を多くは作ってなく、趣味は"音楽を聴くことと歌うこと"。
流れに流されながら生きる。それが私の生き方だった。
そんな自分が嫌いで、いつか変われる時は来ないかとため息をつくばかり。

高3夏のオープンキャンパス。音楽系の仕事をしたいからそういう専門学校に行きたいなと浅はかな考えで見学した。
しかしこれが運命の選択なんて私はまだ知らなかった。
ファッションや音楽などの総合的なデザインの専門学校で、サウンド学科やボーカル学科の見学は私の心をがっちり掴まれたのだ。
「ここに行こう!!」
それから私は推薦を受け、面接と作文によりなんとか合格した。
2009年春、高校を卒業し私は専門学生になった。
「うわぁ〜やっぱり緊張するなぁ…。高校のときの友達もいないし…友達出来るかなぁ…。」
あの頃の私は、今で言うティレちゃんのようだった。

春は駆け足で進みあっという間に過ぎ6月のある日。
友達という友達はまだいなかった。ただのクラスメイトとしてだけ。
私は今、人気の無い公園にいる。
「ここなら、誰もいないかな。」
大きく息を吸い込むと次の途端一気に吐き出した。ある歌に乗せて。
歌を歌っている時はとても気楽でいれる。
まるで全てから解放されたように。
歌い終わった後、どこかから手を叩く音が聞こえる。
焦って後ろを振り返るとそこには一人の女の子がいた。
年は私と同じくらいで色白、セミロングのピンクの髪が綺麗な女の子だ。
「あっ、ごめんごめん。たまたま通りかかったらちょっと聞き入っちゃって。」
笑いながら彼女は話しかけてきた。
笑顔がとても可愛らしくて似合っていた。
「凄くきれいな声でとっても上手だった!!!うん、とっても!」
「あ、ありがとう、ございます…。」
急に緊張して上手く舌が回らない。
「じゃあね〜。またいつか歌聴かせてね〜。」
ピンク髪の女の子は手を振ってどこかに去っていった。
歌を褒められたのは初めてだった。
いつも一人で歌を歌って、他人には聴かせる事なんて無かったから。
「私…私、褒められたんだよね!」
自然と顔が笑顔になる。そしてなんだか勇気が沸いて来た。

それから少し経って7月。
「暑い…。」
暑がりな私には一番苦手な季節である。
半袖の服の胸元を掴み風を体に取り込んだり手で仰いだりしながら専門学校までの道のりを歩いていた。
「お〜い!!」
後ろから女性の声がする。
周りの人はあまり多くなく少なくも無かった。
私には知り合いは少ないのでまぁ私ではないかと思ったが一応振り返ってみた。
するともう近くに人影があった。
「やっぱりあの時の子だ!!」
そう、後ろから呼んでいた人は私に用事があったのだ。それも無理は無い。
なぜなら私もその人物を知っているからである。
忘れもしない。6月のあの公園で私の歌声を褒めてくれたあのピンクのセミロングの人だ!
「へぇ〜。"君も"ここの学生だったんだ。」
君もという言葉に少し疑問を感じた。
「うん、私ファッション学科。君は?」
「ぼ、ボーカル学科です。」
「おぉ!!やっぱり!そうじゃないかと思ってたんだ!へぇ〜。運命だね!」
私も凄い嬉しかった。だけど上手く言葉にならない。
「あっ、時間!じゃあまた!!」
「…また。」

その日の授業が終わり帰る準備が整った時、ある人が教室を訪れた。
「あっ、いたいた。」
そう、あの子だ。
「一緒に帰ろう!!」
出会ったのは今回で3回目だがまさか一緒に帰るとは思っていなかった。
「ごめんね。急に誘ったりして。」
「いや、大丈夫です。全然。」
「実は朝会えたのがとっても嬉しくてつい…。」
「…私も、嬉しかったです…。」
「もう〜タメでいいよ〜。同い年なんだから〜。」
「そんな急に…。」
「逆に私が気を使っちゃうよ。あっ、まだ自己紹介してなかったね。私『京子』。」
「…ライナです。」
「ほら、また敬語。歌ってた時みたいにリラックスしてリラックス!!」
深呼吸をして気持ちを落ち着かせた。
「あっ、メアド交換しよっか。」
「えっ!?」
突然すぎる提案に落ち着いたばかりの気持ちは再び焦った。
「だってもう私たち友達じゃん?だから。」
「うん…。」
その後それぞれ別れ、家に帰っていった。
「友達か…。」
それから毎日一緒に帰り、色々話もした。
次第に私は心を開いていき、タメで話すようになった。
夏休みは一緒にカラオケに行ったり海に行ったりした。

そして秋、私に恋が訪れた。
相手は他の学科の男子。なんと向こうから告白されたのだ。
最初は戸惑ったが一応OKを出した。
「やったじゃんライナ〜。」
「うん!でもまさかだよまさか。私にも恋が訪れるなんて。」
ここは京ちゃんの部屋。そう、一人暮らしである。
「京ちゃんはいないの?」
「ん?好きな人?私年上が好きだから同じ年の男とはあわなくてね〜。」
「なるほど、年上派なんだ。」
このようにガールズトーク出来るまで私は変わっていたのだ。
その後は彼がいるので京ちゃんと帰ることは無くなったが、このようにたまに京ちゃんの家でガールズトークすることが増えた。

雪の散らつく冬がやって来た。
「うぅ〜さっむいねぇ〜。」
「うん…。すっごい寒い。」
京ちゃんと一緒に登校していたある日。
彼が学校の入り口に立っていた。
少し話があるといってきたのでじゃあまたと言いながら京ちゃんとは別れた。
彼の一言で私は固まってしまった。
その一言、それは『俺と別れてくれ』だった。
それ以降彼はごめんと言って私の返事を待っている。
「大丈夫だよ。うん!別れはいつかはあるし、ほら、私こんなもので傷つくようなものじゃないし。」
ちゃんと笑えているかがギリギリな笑顔を作った。
「ごめん…。」
そういうと彼はきびすを返して立ち去ろうとする。
「ちょっと待ちなさいよ!」
私の後ろから声がする。
「京ちゃん?」
さっき別れたはずの京ちゃんが後ろに立っていた。
「なんか嫌な予感すると思ってそこで見てたのよ。」
というと彼を睨み付けた。
「最低…。乙女心を踏みにじって、それで楽しいわけ?」
「京ちゃん、もういいよ…。」
「良くない!!ライナはね、本当にあんたを好きでいたの!今だって無理に笑顔作ってんの!!」
と言って拳を固めて彼の頬を殴った。
「本当だったら殺したい所だけど…それじゃあライナが喜ばない…。」
地面に座り込む形になった彼を思いっきり睨み付けてとどめの一言を放った。
「あんたはあとで絶対後悔する!!」
というと私の手を引いてその場を去った。
誰もいない駐車場に私を連れてきた。
すると押さえ込んでいたものが取れたように急に涙が流れた。
それも一滴二滴ではない。
膝をついて座り込むことしか出来なかった。
そんな時、京ちゃんは私を包み込んでくれた。
「もう大丈夫だよ。ライナはよく頑張った。」
その日の授業は全くやる気が起きなかった。
放課後は久しぶりに京ちゃんと一緒に帰った。
「まだやる気出ない?」
「…うん…。」
朝に流した涙ですっかすかになってしまった。
「じゃあ、カラオケいこっか。今日は私のおごりで。」
「えっ?」
「ほら、ライナと言えば歌じゃん。だから歌でやる気を出してもらおうってね。」
カラオケ店に着き個室に入る。
「歌う前に、もう一気に吐き出したらいいんじゃない?」
「吐き出す?」
「うん、思いっきり叫べば一気に吹っ飛ぶよ。大丈夫、ここ防音だし。」
一気に息を吸い込みなんて叫んだかは忘れたけど一気に叫んだ。
それからやる気が出て、2時間2人は歌い潰した。

私たちが2年になったある日の京ちゃんの部屋。
「ごめんね〜。部屋の片付け手伝ってもらっちゃって。」
片付けと言っても押入れの中とか普段使わない場所である。
「大丈夫だよ!それより京ちゃん、この箱何?」
「ん?あぁ、それ結構前に貰ったもの。何入ってたっけ…。」
箱を開けると中から薄ピンク色のヘッドホンが出てきた。
「うわっなにこれ、可愛い!」
「良かったら上げるよ。それ。」
「えっ?いいの?」
「うん、それ一回も開けてないから新品に近い状態だし私根っからのピンク髪だから。」
そのヘッドホンには大きな三角のパーツがついており、色はピンクと赤を基調としていた。
付けてみると圧迫感はそこまで無く、外の音も普通に聞こえる。
大きな三角のパーツを後ろに動かすことで周りの音はほとんど聞こえなくなった。外の音がちゃんと聞こえるように戻した。
「凄い!!これ凄い機能良いよ!!」
「それは良かった!!しかもライナのオレンジ色の髪にピンクはピッタリだしね。」
それからの私はこのヘッドホンを毎日つけている。

「ねぇ、ライナは将来の夢とか決まってる?」
「うん、歌手。」
「だよねぇ〜。私はどうしよう…。」
「あ〜でもカフェの接客業も良いかも。」
「2つもあるの?」
「う〜ん…。どっちも捨てがたいなぁ…。あっ、そういえば歌手ってどうなるんだろう…。」
「う〜ん…。とりあえずパソコンに歌でも投稿してみれば。」
「投稿?」
「動画サイトに貼るんだよ。歌ってみたっていう動画は今とっても多いよ。」
「そうなんだ。じゃあ後でやってみるね。」
それから投稿をしていくにつれ応援のコメントが増えていった。
「やっぱり歌は良いね!批判があるとそこを変えていけばもっと良くなるってことだからやる気が出るね!」
「批判にも負けないとは…。」

他の日の放課後。
「ねぇライナ、なんかこの前街歩いてたら名刺貰ったんだけど。」
「名刺?」
「うん、これ。」
「あら、ホントだ。」
「調べてみたらモデルの会社みたい。」
「えっ…ってことはスカウト!?」
「まぁそうみたい…。」
「やったじゃん!!!おめでとう京ちゃん!!」
「こういうの初めてだからどう答えて良いか分からないわね。」
「んでどうすんの?モデル。」
「まぁ実際興味あったしやってみようかな!」

京ちゃんは都会に出てモデルの仕事を
私はカフェにステージがあるCalm-cafeというカフェがあるカーム村へという別の方向へ向かった。

------

「ありがとうございました!!!」
ライブが終わった。
私は京ちゃんみたいに、誰かの光になれたかな。と私は心の中で言うと。
「…もうライナは私なんかとっくに超えてるよ…。」
客席にいた親友は小声でそういった。

END

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