第48話 新たなる技と副作用
メタナイトは例の鏡を出し、準備は万全でいた。そして、いつものように鏡に向かって叫ぶ。
「鏡よ、私の闇を映し出したまえ!」
いつものようにメタナイトの周りに闇がまとわりつく。そして、暴風が起こり、ギャラは吹き飛ばされないように体勢をとる。
「…さあ、始めようか」
いつものように彼は闇の姿に変化した。ギャラはその姿を目にした瞬間「少しは楽しませてくれ」と言い、彼に接近してくる。
「…そこだ!」
キイィィィン……!
彼はギャラの動きを見切り、剣で対抗する。兄みたいな存在だから分かっているのか、今の姿だからなのか分からないが、彼はギャラの動きが遅く感じていた。
「なかなかやるな…流石、弟みたいな存在であるな……」
「今の私は違う。私は、新たなるチカラに目覚めたのだ」
「ほう。それはどんなものなのか拝見させてもらおう…」
ギャラが羽を羽ばたかせ、どこに行こうかと一瞬悩むが、次元を切り裂こうとしていた光景を目にした途端、上空のはじっこに寄ることにした彼だった。
「【時界大斬閃】!!!」
「やはり…そのようだったか」
来ることが分かっていたかのように平気でいた彼だが、ギャラの攻撃は終わってはいなかった。今の時界大斬閃はメタナイトを狙う為に行った訳ではなかった。
「…油断大敵だな」
「なっ……………!?」
「【トゥエルブエナジーシャワー】」
「くっ………!」
さっきのは狙う為ではなく、お引き寄せの為だった。それに気付けなかったメタナイトはかわすことが出来ず、急所に直撃した。
「ぐあああああぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!!!」
「流石にかわしきれないだろうな。」
急降下で落下していくメタナイトは地面に着いた時、その勢いで体全身が叩き付けられたような感覚になり、起き上がれなかった。
「かはっ……! くっ……私としたことが…油断してしまった………」
「メタ、お前は確かに強くなった。だが、今のお前では平和にすることは不可能だ」
「…………!」
「自分は強くなったはず!」と、心の奥底からそう強く思い続けるが、ギャラが言うからには説得力がある感じで、そうじゃないかと多少思っていた。「だが、そんな考えをしては絶対に強くなれない」思いながら立ち上がり、闇のメタナイトが言っていた技に賭けてみることにしてみた。
「今の私に、この技が成功出来るかは分からないが……」
彼が一旦…瞳を閉じる。そして…全神経を集中させ、タイミングを計る。
「何をしてくるが分からないが…来い!」
「…今だッ!」
彼はギャラの行動を把握し、華麗にかわしていく。
「くっ…」
「そこだッ!」
そして、隙が出来る。彼はギャラのもと近付き、ディメンジョンマントでギャラを包み込むようにマントを振る。
「これが、私の新たなる…技だ!」
ギャラクシアダークネスのように暗闇ではあるが、それとは多少異なることがあった。それは、相手の動きを数秒間封じることが可能だ。
「うぐっ……! 体の身動きが出来ない…!!」
「…数秒間を利用し、一気に蹴りを着ける!」
彼はスカイナイトソードの時のように剣を掲げ、チカラを溜める。そして、解除される時間と共に斬り付ける。
「はああああっ!」
ザシュッ!
「まだだっ!」
急所に当てたが、決して攻撃をやめることをしない…。暗闇の中で急所ばかりを狙って斬り付けまくっていた。ギャラは一撃一撃が、彼という心を正気を失わせているように感じていた…。
「…闇と共に葬り去れ」
彼がそう呟くと、ギャラの全身から激しい痛みが起こり始める。
「【暗焉斬】ッ!」
ズキンッ………!!
「ぐっ、ぐああああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」
全身の激しい痛みに耐え切れず、苦しむギャラを見た彼には心配という気持ちはなかった。思い出の人と戦うだけであって、所詮は実物ではないと思っているからなのか、正気の沙汰ではないからなのか、そんなことなど気にしていなかった。
「強くなった…な……。だが…正気だけは……失わ…ないでくれ……」
メタナイトの思い出のギャラは光のように少しずつ消えて行った。ギャラが消えた途端、彼はいつもの姿に戻った。
「何とか…なったが…何故…ここまで疲労が……」
無事に習得することに成功はしたが、副作用のせいか疲労が酷かった。「これくらい大丈夫だろう」と軽い気持ちで思っていたが、彼は気付きもしない…。鏡がほんのり闇のように黒くなっていたことを…。
「さて、カービィ達のとこへと帰るとするか」
彼は鏡の中へと入って行った。