あしかのらいぶらりぃ
はじめにお読み下さいこの小説を修正する最近のコメント・評価キーワード検索
設定メインページに戻るサイトトップに戻る
大 中 小
執筆者: 麻疹騙り/投稿日時: 2015/08/07(金) 19:54:36
投稿者コメント:
うーん、こういう表現って難しい。
今の私にはこの程度の描写が限界です。
EP.5-9 Sorrowful 9
「でも……お兄ちゃん、1年前の今日に…………」


緑さんの話がまた、止まった。

ただ静かに、泣きじゃくっている。


「お兄ちゃん……うう…………」


こんな時、どうしていいかすぐに分かるほど、
僕は人間として成長しきれていなかった。


彼女の涙を、止めてあげる術は無いのだろうか?


「お兄ちゃん…………お兄ちゃん……」




しばらく泣き続けた後、また、緑さんが口を開いた。


「…………縁くん、お兄ちゃんに、そっくりだったから」

「え……?」


確かに、あの写真に写る「お兄さん」は、心なしか僕に似ていたが……


「初めて会ったときにね、なんか、お兄ちゃんが、そこに立ってる
ような、気がして……」


だから彼女は、見ず知らずの僕を、躊躇なく部屋に住まわせたのか。

僕が彼女の「お兄さん」という設定を、作ったのか。

彼女の謎が少しずつ、解けていく。


ひしひしと彼女の語る言葉を、聞いていた。


いや、「聞く」というより「感じる」という方が、今はぴったりだろう。



「お兄ちゃんも、縁、って名前なの」

「えっ!?」

「縁くんが、あまりにも、お兄ちゃんに似てたから……ごめんね」


緑さんの中で、お兄さんの存在は、きっと、とてつもなく大きいの
だろう。


その大きな存在に、僕なんかが、近いだなんて。

この作品についてのコメント/評価 (0)
 前の話へ  次の話へ 
(c) 2010, CGI Script by Karakara