第45話 今までの自分にサヨナラ
「何故だ…!」
「それはお前がそう思い切ってるだけだ」
「ッ…誰だ!?」
メタナイトが辺りを見渡す。彼の上に、誰かが現れていた。それは…瞳が赤く、全体が闇のように黒い、あの闇のメタナイトの姿とそっくりだった……。
「ドッペルゲンガーか…!?」
「いや、私はお前の闇の姿だ」
「……私に何の用だ」
メタナイトが警戒をする。闇は「そう急かすな」と軽い気持ちで笑う。
「私は、警告をしに来た」
「警告だと…?」
「お前は、兄がいなくなってから不調でいる…違うか?」
「それはッ……」
メタナイトは呟くように「…そうだ」と認める。
「フッ、そう思うかもしれないが、違うんだな」
「なに…?」
「あのロリ○ンと戦う時…お前が、私の姿になった時からだ」
「…………………………」
メタナイトはダークマターと戦った時のことを咄嗟に思い出そうとする。「確かにあの時は…」と心当たりがあるかのように言う。ダークマターを倒していつもの姿に戻った時に少し疲労していたのが関わっているのかと思う彼だった。
「まあ、その時に少し疲労しただろ?」
「…あぁ」
「それから不調しているのだ。少しずつ」
「…気付けなかった」
自分が情けないと思うメタナイトは「このままだと確実にやられると」思っていた…。闇が「方法は無くもないが」と何か手段があるようだ。
「なっ…!? そのことについて教えてくれっ!」
彼がぐいぐいと反応をする。闇は心の中で「フッ」と笑う。そして、彼にその手段を教える。
「単純に言えば、私の姿になりつつ、ラグナロクの能力を発動し、ギャラクシアダークネスのような強力な技を使用すればいける」
「なるほどな…。それより、ギャラクシアダークネスより強力な技とは…?」
ダメタから闇のチカラを多少貰い、習得したギャラクシアダークネスを超える技が存在したことに興味深くなるメタナイト。闇がそのことについて明かす。
「その技は『暗焉斬』だ」
「…悍ましい技名だな」
名前的に恐ろしそうだが闇曰く「暗闇で斬り裂いてほぼの確実で倒せる強力な技」だということ。
「それを使用すれば…敵を瞬殺出来るかもしれないな……」
「ああ。それに、倒せば倒す程強力になるぞ」
「…なんて強力な技だ」
「やってみる価値はあるか?」
メタナイトは悩むことなく「ある」と答える。彼は「みんなに迷惑を掛けたくない」そんな思いを胸に、決意をした。
「あ、それと毎回使用しないと威力が落ちるからな」
「そうなのか、ならこれからは闇の姿で戦ってみるとしよう」
決意した彼は急いで、カービィ達がいる現在へと目覚めようとし去って行くこうとする。
「…私は…暗焉斬を習得し…平和を取り戻してみせる」
そう呟き、精神世界から消え去った。
「クッ…ククククク………フハハハハハハハハハハハッ!!!!!!!」
闇がいきなり笑い始めた。その笑い方はまるで導化師そのものだった……。
「馬鹿な奴だ。あの技は、漆黒のような暗闇で切り裂きまくり、相手が死ぬまで殺り続けるという技だ」
「しかも、人を殺せば殺す程、強力になっていく」
「副作用として、使用した者は正気を失い、目に写るもの全てを破壊しようとする。」
「それか、死を迎えるだけだ…」
そんな恐ろしいものを何故、闇のメタナイトは教えたのだろう。一体、彼は何の目的で、こんなことを望んだのだろうか……。