EP.5-5 Sorrowful 5
「……僕は、友達?」
何故だろう。緑さんにそう言われた時は、畏れ多いぐらいに嬉しかった。
嬉しかったのに、今は何と無く、その言葉に物足りなさを感じている。
「…………嫌」
人間として9ヶ月過ごして、その暮らしにもう十分慣れたはずなのに、
まだ知らないことがあった。
「嫌だ……嫌だよ…………」
自然と目から溢れてくる、何か。
誰か……この感情の名前を、教えてほしい―――――――――――
―――――――もやもやと考え込んでいるうちに、
外が暗くなっていた。
「……ああ!晩ごはん!!」
緑さんが帰ってきてしまう。それまでに晩ごはんを作らなければ。
「しまった。買い物行かなきゃ」
緑さんが置いておいてくれた、お金の入った財布を持って、
急いで部屋を飛び出した。
彼女が教えてくれた、スーパーに向かうために。