EP.5-1 Sorrowful 1
その日、僕は、眩しい朝日と鳥の鳴き声で、目を覚ました。
いつもと変わらない朝。
それももうすぐ終わりを迎えるということも、僕は分かっている。
緑さんが貸してくれた、僕の部屋。
その片隅にあるカレンダーに、小さく×印を打っていた。
僕がはじめてここに来た日から、もう9ヶ月くらい経っているのだろうか。
暑すぎるくらいに暖かかった空気も、少しずつ冷たくなって、
ゆっくりと……「あの日」が近づいているのを感じる。
「それじゃあ、ライブ行ってくるね」
「はい。行ってらっしゃい」
「あ、今日、ライブの後用事があって……帰り、遅くなるね」
「そうですか」
「多分冷蔵庫の中身少ないから、適当に買って来ていいよ!
ここにお金置いておくから」
「分かりました」
今日は、緑さんがいない。
僕が料理を覚えたのは、全部緑さんのためなのに。
彼女がいないのに、料理を作っても意味がない。