始まりの話
プププランドに降り立った夢幻はノヴァから教えられた、最初に向かった方がいいと鬱陶しいほど言われた場所へと向かった。
なんでも、「私の感がソウ言っテいル!」らしい。
地図上で現在位置と、目的地の点が隣合った時、
草原は命で溢れかえっていた。
風は野原を駆け、草木は風がくすぐったいらしく、緑の葉をよじって、水は光を受けて輝いていた。
小鳥は祝福を歌い、虫は命の輝きを受けて、地を歩いていた。
これほど命でいっぱいのものは、プププランドでもあまり多くない。
ましてや、こんなにも慈愛に満ちた空間はだ。
一歩、一歩進むごとに草木は命の芽吹きを伝える。
中心部に着くと、さっきとはうってかわって、静かだった。
ただ、中心部に一体のポケモンが佇んでいた。
そのポケモンは何も語ろうとせず、かといって、邪険に扱う様子もなく、夢幻を、自分の前に現れた人間を見つめていた。
一方で夢幻は少々困っていた。
目の前に佇んでいるポケモンを知っているからこそ対応に困るものもあるし、ノヴァの言うとおり、確かにこれからのことを考えると会っておいた方がいいポケモンでもあるからでもある。
正直言うと、この沈黙を破るために自分から話しかけるのも...という感じだった。
でも、話しかけないと事は始まらないと思い、話しかけてみることにした。
夢幻:...初めまして。
か細い声になったが、一応挨拶をしておく。
ーー初めまして、こんにちはーー
返事が帰って来た。
夢幻:こ、こんにちは。わ、私の名前は夢幻と言います。えっと、あなたの名前は...。