幽霊
「何を考えついたのか分からないけど、通用しないよ!」
コウちゃんに取りついたモノがそういいます。
しかし私は気にしなかった。
集中したいため、私は彼女の言葉に耳を傾けたりしませんでした。
「あともう少し…!」
もう少し!10,9,8…
「来ないならこっちから…」
0!今です!えい!
「いかせてもらう…」
ドーン!!
もくもく…
「お、ニョライヅキのやつ。中々やるじゃねぇか。」
イゲツ…少し黙ってください。
煙が無くなったときそこに見えたのはコウちゃんでした。
「ほーら!何も通用しないって言った
でしょ!波動を使っても無駄!」
コウちゃんでは無いものは無傷でした。
そして次の瞬間。彼女はこう言いました。
「結局貴女も、元の私を否定する。」
それは怒りか悲しみか…それともどちらもなのか……そんな気持ちのこもった声でした。
「普通じゃなければ駄目な訳?私はずっとコウという存在でなくちゃ駄目な訳!?私は…好きでこんな事してない!!」
いつしか彼女の目には涙が浮かんでいました。
「可笑しいよ!幽霊だから生きてない?存在しない?幽霊だって生きてる!存在だってしてる!存在を否定されることは誰だって辛い。幽霊だって同じだって事分かってほしい。」
「だからコウとしてここに居るのか?そしてこうして人を襲うのか?分かってもらいたいからって…」
イゲツが怒っている。
今私のすぐそばでイゲツが怒っている。
「そんなことしても何も変わらない。襲う事しか考えられないのか?人と同じなら人と同じ方法でふれあう事だって可能のはずだ。」
そしてイゲツは大きな声でこう言いました。
「お前は人と幽霊は同じと主張するチャンスを自らのがしていることが分からないのか!」
イゲツはそう言いました。すると彼女は口を開いていいました。
「…私はこの洋館に生前住んでいた。」
その洋館には奇妙な噂が数多くあった。
真夜中に食器や家具からうごいたり
女の人の霊が見えるとか、心霊的な噂があった。
私は父に連れられてこの洋館に訪れた。
父は心霊現象についての研究をしていたのでいい研究になるとでも思っていたのだろう。
しかし私は何か胸騒ぎがしたのだ。
あの洋館には入るなと私の中の何かが言っていた。
もし最悪の事になってしまったら…
予想は的中してしまった。
しばらくその洋館に住んでいたある日のこと。
私はいつも通りに父の部屋に差し入れを運びに行った。そこで見たのは…
変わり果てた姿の父であった。
私はパニックを起こした。昨日まで普通に話していた父が…そんな…
私の中は早くここから出なきゃという事だけだった…
焦げ臭い匂いがした。匂いのした方向を向くとそこには紅い紅い炎の壁があった。
に、にげなきゃ…。しかし私はもうすでに炎の中そこで私の意識は途絶えた。
気がつくと私は浮いていた。
何事とおもい私は自分の体を見た体に以上はない。ただ一つあるとすれば…
体の透明度が薄くなっていたことである。