あしかのらいぶらりぃ
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執筆者: 2Y/投稿日時: 2021/01/10(日) 22:37:20
投稿者コメント:
あけましておめでとうございます。(遅い?)
初めましての人は初めまして。 『七彩の暴食』と言う作品をここで書かせていただいているディンと申します。
この企画に初めて参加させていただきました。

近年は色々あってもカービィたちの世界の正月はこんな感じで騒いでるのかなって感じで書いてみました。 楽しんでいただけたら幸いです。
他のテーマも期間が間に合えば挑戦しようと思います。
テーマ1:正月の喜劇?おせち消失事件
 プププランドの元旦も我々の世界と変わらない。 新年の挨拶をしたり、初詣をしたり人々は新しい年の節目を色々と楽しんでいる。
しかし、彼らにはそんな楽しみとは裏腹に一つの『災害』に苦心しなければいけなかった。

『新年会 カービィお断り』

そこらの店にはこんな張り紙が至る所にこれでもかとぐらいには貼られていた。 桃色の一頭身の生命体はそんな光景を見るや否や一つため息を吐いた。
「くそう、ここもダメか」
彼の名はカービィ、言わずと知れた世界を幾度も救った英雄である。 ただそれは彼の一つの顔に過ぎず、世間では大食漢のイメージが定着してしまっているのだ。 特に彼の近所では。

「ラーメン屋もダメ、焼き鳥屋もダメでカワサキの店も追い出された。 しゃーない、残るはあそこしかないか」
そう呟いてカービィは目の前にある大きな城の門を叩いた。 彼の暇つぶしはいつもデデデ城で行われる。


「デデデーあけおめー」
なんの尊敬も謙遜もしないような口調で開いてる窓から侵入する。 そこにはすぐにいぶし顔の赤いガウンを着た青い男がテーブルの上にある重箱を前にしていた。
「貴様少しは礼儀というのを知ったらどうだ」
「食い物を略奪するような奴に礼儀を正されるいわれはないね」
カービィはそう言うと机の前に飛び乗っておせちの重箱を舌なめずりしては手にした。
「さーて、この国の王様の豪華お節はどんなのかなあ」
蓋を開けた途端にカービィの顔色は色褪せる。 そこにあったのは豪華な紅白かまぼこや甘い黒豆、栗きんとんといった定番の料理は無い。
「怪盗ドロッチェ団参上…、大王これは一体」
「見ての通りだ、まあこれはお前が来るのを見越して仕掛けた罠でな。 その前に先客が勘違いしてかっぱらっていったワケだが」
デデデはそう言いながらテーブルの下からもう一つの重箱を取り出した。 空の重箱と瓜二つのそれを見せびらかすようにデデデは自慢げに口を開く。
「まあ一気に吸い込むようなマナー知らずをせんかったらお前にも分けてやらん事も……」
デデデのその雄弁を聞く前に、カービィはとっくに部屋を飛び出していた。 聞く耳持たずに彼はドロッチェ団を追いかけて行ったわけだ。
「…少しは人の話聞けよ」

「ひぃ! カービィがおっかないッチュ!!」
デデデ城廊下、そこにはデデデが仕掛けた罠とは知らずにすり替えた重箱を抱えて逃げるドロッチェ団と、ウィップをコピーしたカービィの追いかけっこが始まっていた。
「貴様ァ! おせちを返せ!!」
カービィの鬼気迫るその言葉に、赤いマントとシルクハットを被った大ネズミ『ドロッチェ』は笑みを浮かべて切り返す。
「バカヤロウ、こんなでかい城のおせちとか絶対豪華に決まってらぁ!! 手放すかよぉ」
「ストロン、カービィを塞ぐのじゃ」
「オッケードク!!」
ユーフォーに乗った老ネズミ、ドクの指示通り大柄なネズミストロンは廊下に仁王立ちしてカービィと対峙する。
「おせち、絶対食べる」
「こっちのセリフじゃ泥棒ネズミがあ!!」
ウィップに巻き付かれたストロンの身体は大きく宙に浮き、カービィの振るったそれは一気にストロンをドロッチェ団の頭上へと降り注いだ。
「な、何ぃ!!」
ドロッチェのその感嘆も虚しく、彼らは飛んできたストロンの下敷きにあえなくなってしまう。 ドロッチェの手からはデデデ曰く罠の重箱がこぼれて、カービィが手にした。
「くっくっく、泥棒ネズミめ。 無様だな」
「お前も押しかけて食おうとしてたんだろうが!!」
ドロッチェの悔しそうな顔を見下して、カービィは重箱を廊下にそっと置く。
「くっくっく、さあて大王の食うおせちってどんな豪勢なものだろうなあ、高級魚の刺身かなあ、マツタケとかあるのかなあ」
ニヤニヤしながら、カービィは重箱の蓋をそっと開ける。 山のようになってるドロッチェ団も、その中身が気になるのかゴクリと喉を鳴らした。
「……分けてもらえないかのぉ」
「あいつ一人全部食うぞ多分」
「そんなぁ」
「そりゃねえっチュ」
身勝手なドロッチェ団のそんな言葉をよそに、カービィは重箱を開けーーそして。


 デデデ城の一角で小さな爆音と振動がした。 デデデ大王はおせちを一人堪能しながら、してやったりの顔を浮かべていた。
「今年はゆっくり過ごせそうじゃ」

一方、爆風に吹き飛ばされたカービィとドロッチェ団はデデデにいっぱい食わされた格好だった。 悔しそうに叫んでいた。
「新年早々爆発オチかーい!!」

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