3話「3組目の勇者」
「じゃ、軽く私たちのこと紹介しとくわね」
そう言うと、来太に「六花さん」と呼ばれた少女が一歩前に進み出た。
「木六花です。宜しく」
「「「……………。」」」
その凛とした立ち振る舞いに多くの者がたじろぐ中、諏訪子だけは動じなかった。
「洩矢諏訪子ケロ。宜しくケロ!」
流石は土着神と言ったところか。
この挨拶を皮切りに、皆が自己紹介をし始めた。
「ぼくは、キービィ!」
「マルスです。宜しくお願いします」
「…ブラックピットだ」
「ロゼッタと申します。宜しくお願い致します」
「初音ミクでーす♪よろしくー♪」
「ナチュレと申す。宜しく頼むぞ」
「……僕は…メフィレス」
六花はその全員を、目の色一つ変えず見遣る。
「宜しく」
続いて、六花の左後ろにいた男が前に進み出た。スケッチブック様の本と、煌びやかな装飾が為された万年筆を持っている。
「岐部昌幸といいます。宜しくお願い致します」
勢揃いのファイターたちに向け、深々と頭を下げた。
「あ、あの……岐部さん。どうしたんですか?なんだか、顔色が悪いような…」
顔を上げた岐部に対し、ロゼッタが声を掛ける。
「え?あぁ…いや、時空間移動に慣れてなくて、着いたときの…重力変動?あれがちょっと…」
「重力変動は慣れないと大変ですよ。今後、数回は行う事になりそうですから…くれぐれも気を付けてください」
マルスの輝かしい王子スマイル。それを見た諏訪子が後ろではしゃいでいる。
(やっぱりマルス素敵ケロ〜)
「そうですね……流石に『コレ』は、まずいですもんね」
そう言うと、岐部は隣の男を手で差した。
ふらふらとして足元がおぼつかない。ついにその場に倒れ込んでしまった。
「え…!?大丈夫ですか!?」
マルスが驚くのも無理はない。その男の「症状」は、彼が見た中で最も酷いものであったのだ。
「うう……」
「ほら、起きてください。肩を貸しますよ」
岐部の肩を借り、男はようやく起き上がった。
「うー…頭痛いよ……」
未だ目が虚ろな彼に対し、六花が側に歩み寄る。
「一敬さん……少し痛いかもしれませんが、我慢してください」
そう言うと、六花はいきなり掌から白い波動を放った!
「掌波!!」
ドスン、という鈍い音がした。
「うっ?!」
低い呻き声のあと、彼は何事もなかったかのようにシャキッと立ち上がった。
「痛った……ふう。六花ちゃん、ありがとう」
呆然とするファイター達を後目に、男は尚も語り続ける。
「…あ。自己紹介しないとね。俺ね、小沢一敬っていうの。気軽に『スペードのエース』って呼んでくれれば」
「……スペードのエース、くん?」
「エース……?」
困惑する様子のキービィ以下数人を見て、小沢ははにかみ笑いで訂正した。
「冗談だよ。小沢でもオザでも、何でもいいよ」
「さて…人数って、これで全員なのかな?いち、にー、さん……」
キービィはすっかり気を取り戻したようだ。
「否、まだだよ。勇者は4組いるって書いてある」
ルイージがロゼッタの手元にあった本を取り上げ、開いて見せる。
「本当だ!」
「そう言えば六花さん、僕らで言うこの本のようなもの、持ってるんですか?」
「本ではないけど…これなら」
来太の呼びかけに応じ、六花はセーラー服のポケットから、白い羊皮紙を取り出した。
「『世界を救う者の記録』…間違いなく、僕らのものと一緒ですね!」
「タイトル以外何も書かれていないから、何かの悪ふざけかと思ってたわ」
「僕らの本もそうだったんですよ」
「ふうん……」
一呼吸置いて、マルスが語り出す。
「勇者が4組ってことは、僕たち・来太くんたち・六花さんたち…あと1組ってことか」
「多分もうすぐ来るケロ」
「どうして分かるの?」
「諏訪子は土着神ケロ。神に知らないものは無いケロ」
「……流石は神ね。見て」
六花が指差した先で、新たな電車がこちらに向けて走って来ていた。
4組目の勇者たちの到来を告げる警笛が、ホームいっぱいに鳴り響いた―――――――――――――
【あとがき】
アタフタ((ヽ(;´Д`)ノ))アタフタ
長すぎましたかね、次回は気をつけます。
つぎに繋ぎやすいように書いたつもりです。
最速カービィさん宜しくお願いします!