入れかわっちゃう話4
…数十分ほど前のこと…
「 ん〜…誰か来ないかな〜… 」
カービィはデテデ城からそう遠くない草原の木の木陰に座っていた。
誰かがきたら何か面白いことをしてやろうと待っていたカービィだが、驚いたことに人一人来ない。 それはそうと、今のカービィの姿はマントしか着ていないメタナイト。 元々装備していたものは全てここに来る前に隠したのだ。
そんな待ちくたびれているカービィにメタナイトが忍び寄る。
ここに来るまでに乗っていたワープスターは着地に失敗し、またその辺に突き刺さっている。
そんなことよりもカービィが今、自分の姿で何をやっているのかのほうがとても気になったのでそのままにしていってしまった。
やっと自分の体を見つけたかと思えば、マントを翼に変えただけで何も装備していないではないか。
「 ……っ!! 」
そんな自分の無防備な状態をただイライラしながら見ていることしかできなかった。
ここで無駄足を出してしまえば後でどんなに厄介なことになるであろうか。
メタナイトは草むらに身を隠し、ほかの手段を考えていた。
その時、どこからか誰かがこちらに来る音がした。
その音を素早く察知したメタナイトはその辺にあった石を手に取り、構えをとった。
草むらから顔を覗かせ、それが誰なのかを確認した。
それは運悪くブンであった。 その少し後ろにフームもいる。
すると、メタナイトは持っていた石をカービィに投げつけ気絶させた。
仲が良い以前に家族のような存在の二人に何をするかわからないのでとりあえず、申し訳ないがこれでいくことにした。
メタナイトはデデデ城へ走っていく2人の背中を見るなり、 自分はカービィ、自分はカービィと自分に言い聞かせてから草むらを後にした。
「 ん… 」
自分の視線の先にあるライトの眩しさにカービィは目を覚ました。
「 あ、起きた? 」
「 …ここは… 」
「 ここはデデデ城っていうお城よ 大丈夫、恐いところではないわ。」
聞き慣れた声のするほうに顔を向ければ、そこには心配そうな顔をしたフームがいた。
「 あなた草むらで頭から血流して倒れていたの。
それを私とあそこにいるブンが運んできたのよ。
それはそうと、あなた何て名前? 私はフーム、ここのお城の王様に使えている大臣の娘よ。ブンは私の弟なの。 」
カービィは始めはぼーっとしていたが、意識がはっきりしてくるにつれ、自分の目的を思い出した。 自分の目的はこの体で新しい生活を送り、今までに感じたことのないことを感じること。ただのお遊びにしかすぎないがやってみたいとは思っていたのだ。
「 ……名前… 」
カービィはメタナイトが冗談で言ってたことを思い浮かべた。もし自分の素顔がばれても違う名前を名乗ればごまかすことができると。それが『 メグ 』だ。MetakinghtのMeとgをとったものである。ほかに思い付かないのでそれにすることにした。
「 ……メグ 」
「 メグっていうの? 可愛い名前ね 」
フームはメグに微笑むとメグもフームに控えめに微笑み返した。
( 今は無理にあの子のこと聞き出すことはないわ、落ち着いてからにしましょう )
フームが使い終わった救急箱を戻しにいくのを見てカービィは静かにため息をついた。
( ば、ばれてないよね… )
性格や態度はメタのような控えめなのを意識すればいいよね…とりあえずこれからどうしようかな…
カービィは胸のところまでかけられていた毛布を一気に顔まであげた。
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メグって誰だよwww友達のニックネームだよwww
まさにアリエンティな展開です…