幼き頃の記憶
ある所に小さな村があった。そこには機械とかそういうわけが分からないものはない。そのかわりに畑とか川とか森とかとにかく、自然がたくさん場所なのだ。そこで俺たちは住んでいる。そんなある日のことだ。
「なぁーなぁー!これみてくれよ!!…凄いだろ?白い服を着たおっさんがくれたんだ!」
フィン「おぉー!すげぇ…」
ライジ「キラキラしてるなー?なんか黒っぽいけど」
「でもかっこいいから問題ない!」
ライジ「いいなーカンガー!ちょっとよこせよ〜!」
カンガ「だめだ〜!これは俺がもらったんだ!それに他の奴らにはあげるなって言ってたんだぞ!」
フィン「そうなんだ〜…じゃあ諦めよう。」
ライジ「ちぇっ…」
しばしの沈黙。誰も喋ろうとはしない。だが一つの音で空気は変わった。
ゴーン…ゴーン…
夕暮れの鐘の音が村全体に響き渡っていた。
カンガ「あ、時間だ。」
ライジ「ん〜。よし今日はこの辺にするか!」
フィン「じゃあ家に帰ろうか?」
そういって3人とも自分の家の道に沿って帰っていった。俺は見えなくなるまで見送ったら自分も家に帰る。道のりは結構近いほうだ。走れば10分は掛からない。少し早歩きで家に帰っている時だった。突然空が曇ってきたのだ。
カンガ「…やべ!もうすぐ降ってくる!!早く帰らないと!!」
足を走らせ必死に家に向かっていた。走っている間にも雲は少しずつ暗くなって紫色になっている。するとそこの乾麺から雷の音が聞こえた。
カンガ「家はあともう少しなのに…!しょうがねぇ…!どこかに入れる場所は…?」
きょろきょろと辺りを見回してなにか入れる建物がないかと探した。2回目の雷が鳴った。これは警告の雷。
カンガ「くそっ!2回目…!どこか…どこか入れる場所はないのか!?」
その時目に入ったものは薄暗い白い建物であった。以前その建物は妖怪にのっとられて立ち入り禁止となった場所だ。
カンガ「あと10秒…!もうあそこしかない!!」
10秒、緑色のフェンスを乗り越えてコンクリートの地面に着地した。9秒、少しよろめきながらも体制を立て直して入り口に向かって走った。8秒、長いコンクリートの地面を蹴ってドアに手を伸ばした。7秒、ギリギリの所で手が届かず地面に顔面をぶつけた。6秒、すぐに立ち上がってドアに手を付けた。5秒、思いっきり引くがなぜか開かなかった。4秒、何回も開けようとしたがどうしても開かない。3秒、無理やりこじ開けようとした。2秒、頑張ってこじ開けたおかげがドアが開いた。
1秒、スライディングで建物の中へと入った。0秒、雷が鳴り、どしゃぶりの雨が降った。
カンガ「…ハァッハァッ…カハ!…ハァハァ…。」
まともに息ができない状態がしばらく続いたが1分ぐらい経つとだんだんと治まってきた。そして背中を壁につけた。そこである、違和感を感じた。
カンガ「…え?…壁?」
後ろを振り向いたらドアが閉まっていたのだ。無理やりこじ開けたから壊れたはずなのだがしっかりと外の空気を入れないようにしている。
カンガ「…なんでだ?なんで勝手にしまったんだ!?」
ドアをバンバン叩いたり、こじ開けたりしたがビクともしない。そこで俺は絶望した。こんな薄暗い部屋に閉じ込められてしまったからだ。しかも立ち入り禁止の場所。急に体がぞわぞわってきてとっさに木箱の後ろの陰に隠れた。がくがくと震える足。それを必死に抑えようとするが全然収まらなかった。何もかもが不安の状態でどうすることもできない状態であった。すると奥のほうからなにかの音がした。震えているが耳を頑張って済ましてみた。小さい音がこちらに向かってくるのがわかった。
コツ……コツ……コツ
これはまぎれもなく足音であった。その足音と同時に聞こえてきたものもある。聞いたこともない身がぞっとするほどの音であった。
ブルルルッ………ゥイイイイイーン
なにかに切られるようなおぞましい音だった。
カンガ「(どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうしよう)」
頭の中がどうしようで埋め尽くされて何も考えられなかった。足音は近くなってきた。おぞましい音も大きくなってきた。自分がいる木箱の前の辺りに足音は止まった。頭を抱えながら目を思いっきりつむった。
「………………。」
時間が経つとここから離れる音がした。音を確認した俺は片目をそっと開けてみた。もう音はない、少し顔をのぞかして辺りを見回した。もう誰もいない状態だった。
安心して木箱の表側に出た瞬間目の前が暗くなった。だからと言って体には異常はなかった。
カンガ「…マジかよ。なんで暗くなるんだよ…!」
そう言いながらうつむいた。すると背負っているかばんが薄く光っていた。かばんに手を突っ込んでがさごそと光っている物質を探した。しばらくして変な感触のものが手に当たった。それをとりだすと辺りは少し明るくなり目が見えるようになった。
カンガ「これは…あのビン?」
光っているのは夕暮れの時、友達に見せていたビンだった。持っていると少し暖かくなにかに見守られている幹事がした。
カンガ「…なんだ?この変な感じは…」
そう呟いた時、目の前に何かが起こった。一瞬の出来事で分からなかったが確かに映ったものがあった。
それはー…