絶望の鏡とある者たち。
…いつからだろう。いつもそばにいたあの方がおかしくなってしまったのは。
いつも元気で明るくて、あの方に近づく憎いやつも、
今の私と同じ気持ちみたい。あの方がおかしくなってしまったのが、アイツと私の何かのキッカケ。
いつもどおり私は紅茶を用意してた。でも今日の紅茶は特別な紅茶。甘くて蜂蜜がとろりと入ったおいしい紅茶を私は、いつもどおりあの方の部屋に持ってきた。
いつもどうり…ね
私は、あの方の部屋に入ると先に目にしたのは、奥にぽつん…と置いてある小さなガラスの小箱。あの方はいつもそれを見つめている。ガラスの小箱の中には白くて、さらさらしたものが入っている。私はそれの中身を知っている。
あの方はあの小箱の中身を誰にも教えない。
だけど私は知っている
あの小箱の中身の真実について…。
あの方は私を見ると困った顔をし、ため息をついた。わかっている…。あの方は表には冷静に、裏では悲しき者になっていることを。だから私はいつも元気づける。
あの方がおかしくならないように
私は紅茶をあの方の手元にあるティーカップに注ぐ。蜂蜜が入っているから、注ぐのが遅い。でもあの方はじっと紅茶を見つめている。輝き…という物がない目で、注ぐ紅茶を見ている。
光…という物が消えてしまった
目でね…
いつもの事が終わると、いつもどおりに部屋に戻る。…でも今日は違った。あの方がぽつりと呟いた。「私と逆…」と悲しく言いながら…。私はわかっている。あの方は…あの方は、「手」が悲しき色に染まっている。でも、誰にも教えない。そう…誰にもね。
でも私だけ…知っている
あの方の悲しき過去を…
今朝の朝は寒かった。何かが…災いが起きるぐらいの寒さだった。私は手を見つめた。何かを言うように。そしていつもの時間に紅茶を用意した。今日は寒いから、甘くてとろけそうなチョコレートをとかしたココア…っぽい紅茶をいつもどおりに用意した。
そこからだった、あの方の異変が起きたのは…
その日は雪が悲しそうだった。
「イリウ様〜?お紅茶を持ってきました〜。」
…?おかしい。イリウ様がおかしくなっている。まるで何かに取り付かれたようだった。寂しい手じゃなくて…悲しい手でもない…紅の手だった。…イリウ様は寝ている。
寝ている?
いつもならイリウ様は起きているはず…。でもなんで今日は寝ているの?どこかが痛い?でもそうしたら寝る…はないはずよ…。なんでイリウ様は寝ているの…。
!?イリウ様…?手が広がっている!紅の色が広がっている!?どうして!どうしてなのですか!?
イリウ…様?…切っている。切っている…わ。
自分の名前と体を切っている!?
やばい!このままだとイリウ様が!!
`自分を失ってしまう!!`
イリウ様を助けないと!!早く!早く!イリウ様はどこ?
…絶望の鏡の中?……………うそ…もうそこまでいってしまったの…?どうしよう…どうしよう…イリウ様が、完全にでられなくなってしまう!!どうしよう!!だれかぁ…助けてください…
「誰か…お願い…。」
その言葉を言った瞬間、目の前にとんでもないことが起こった。…扉がでた。歯車の扉がでたのだ。私がおどろいでいると中から、者が出てきたのだ。
その者の姿は一瞬見た時兵士かと思ったが、全然違うようだ。仮面をつけてて、緑色の体で紫色の瞳。そして青色のマント。
「貴方は誰なの…。」
「私の名前?知らなくてもいい。」
「そう…なんで来たの?」
「呼ばれたんだ。だから時空を使った」
「誰に呼ばれたの…?」
「お前の隣にいるそいつだ」
「イリウ…様ですか?」
「そうイリウが私を呼んだのだ」
「お願い…イリウ様を助けて…。」
「…最初からそうするつもりだ。そうしないとあいつが消えるからな」
「あいつ?イリウ様と関係あるの?」
「まぁ、そこまでは言えないな」
「そう…ねぇ、イリウ様は助かるの?」
「わからない。だが、やってみないと始まらない」
「そうね…貴方の言うとおりね…どうすればいいの?」
「私がお前を絶望の鏡に入れる。それでお前はイリウを
見つければいい。」
「え…?私が絶望の鏡に入るの?そんなことができるの?」
「できる。だが条件がある。」
「条件?いったい何なの?」
「一つ目は人数を二人以上にする。二つ目は手を持つものだけ入れる。三つめは…イリウの正体を…だ」
「え?え?私…わからないよ?」
「お前は大丈夫だ。あともう一人手を持つものがいればいいのだが…」
「いるわ…。多分あいつも手を持っている…。」
「そうか、だったらそいつを呼んできてくれ。そうしたらいつでもできる」
「わかった…。」
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「ふ〜んそうゆうわけか…それで俺が手を持つもの…なんだな?」
「えぇそうよ。だったら、イリウ様をさっさと助けにいくわよ」
「わかった!イリウを早く助けないとな!」
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「連れて来たわよ。じゃあさっさと絶望の鏡に連れて行って。」
「わかった。じゃあいくぞ」
そうしたら、鏡が表れた。暗い…暗い鏡。
「じゃあ手を使って入ってくれ」
「手…ね。わかった」
「手…よし!やるか!!」
私たちは手を使ってその鏡に入った。その同時に光が消えていくのを感じた。
「…お前ら…生きて返ってこいよ。」
私たちの絶望はここから始まった…。