エピローグ(10/13加筆修正)
その後、カンパニーは「せめてもの罪滅ぼし」として、侵略の過程でパークを破壊した部分を全て元通りに直した。
「スージー...いやスザンナよ、今後のタイムテーブルは?」
「まずミルキーロード系のメックアイに向かいます。そこで資材や技術を確保し、企業としての立て直しを図りましょう」
「企業として?ワシはもうカンパニーなんぞつくり直したりしないぞ。ただ、いち発明家として、銀河に名を轟かせたいのである」
「そこは大いに承知してますわ。でも...」
「ワタクシどもはココロからあなた様を尊敬していますゥゥ!社長と秘書どのだけで出来ないことも、全面的に協力させていただきますゥゥッ!!」
「ハッハッハ、ワシはもう社長ではない。発明家、“ゲインズ・インカム・ハルトマン”であーるっ!さぁ同志よついて来い!共に銀河に名を轟かせようではないか!!」『おおーっ!!』
「...父さん。少し、席を外すわね」
スージーは盛り上がる元カンパニーの面々から離れ、フレンズたちのもとに。
「本当に迷惑をかけたわね、ゲンジュウ民のみんな...これからはまた好きに生きなさい」
「それはもういいってば!スージーこそ、元気でね!」
「スージーさん...また、会えますか?」
「さぁ...なにぶん宇宙は広いわ。それに...あなた達にしたことも......ま、でも、もしかしたら新米社員による調査ぐらいは送れるかもね!じゃあね、サーバル、かばん!」
ハルトマン、スージー、ケイン所長、そして社員たちは、唯一残ったスージーの専用機に乗り込む。
「ちょ、ちょっと!定員オーバーよ!」
「こここのままだと、大気圏を脱出できるかァ...!」
「まあまあ、そう騒ぐでないぞ!我々は奇跡を信じるのである!」
ワイワイと騒ぎながら、ショッキングピンクの宇宙艇は雲の彼方へ消えていった。
「...行っちゃったね、カンパニーのみんなも」
暫くして、フレンズたちはかばんとサーバルを取り囲んだ。
「かばん!パークを救った、あのピンクのをモデルにした漫画を描きたいんだ、取材に協力してくれるかな?」
「冒険のお話聞かせてー!」
「ま、待ってください、そんないっぺんに言われても...」
それぞれの用が済み、フレンズたちは各々の生きる場所へと戻っていく。
「はー、城がもとに戻ってよかったー!」
「遺跡も元通りか...復元されたのか?複雑な気分だな...」
「結局フレンズで吸い込まれたのは拙者だけでござるか...とほほ...」
二人きりになったサーバルとかばんは、広い広いサバンナに寝転んだ。
青い空には、ふわふわの雲がいくつか浮かんでいる。まるで何も起こらず、ずっと平和だったかのように。
「カービィさん...もうあっちに着いたのかな」
「ほんとうにまた会えないのかなぁ...また会えたらいいな!」
「強く祈ってたら、ほんとにまた会えちゃうかもね!」
二人は声を上げて笑った。
強い絆で結ばれたジャパリパークの二人は、そしてまたゆるりと歩き出した。
さてさてこちらは数日後のプププランド、デデデ城。
「でね、ぼくがそのマシンにのったら、灰色からかわいいピンクになったんだよ!」
「そーんな話があるか?」
「ほんとだよ!さいごにはココロが通じたのかな、ロボボの声まで聞こえたんだから!」
ごちそうを囲み、デデデ大王、メタナイト、ワドルディ、マホロアはカービィの冒険譚に耳を傾けていた。
「...でさでさ!ヘラジカがカンパニーに改造されちゃって、えーと...プリンボーグ、だったかな...になって攻撃してきたんだよ!」
「...カービィ、これは私の憶測だが“ムースボーグ”の間違いではないか?」
「そうそう、それ!どうしてわかったの!?それがミサイルをたくさんとばしてきて、ちゅどーんってなって...“ハンマー”の能力でも倒せなかったの!」
「オレ様直伝のハンマー術が...通用しなかっただと!?」
「大王サマの毎回カービィに負けてル、アレ〜?」
「だぁーもう!うるさいなお前っ!...カービィ、なんでこいつもここに...」
「だって...マホロアのおかげで、ぼくはこんな楽しい冒険ができたんだよ!」
「さっすがカービィ、わかってるネェ〜っ!ボクとキミは、大大大親友だからネッ!」
「それでね、コピーもなくって、そんなときに忍者みたいな子がきたから、力をかしてもらった!」
「カービィ...君はそこの住人も、迷いなく吸い込んだのか?」
「だってピンチだったんだもん!」
そう言ってカービィは、山盛りのホットケーキを頬張る。
「それで、カービィ...あー、それ飲み込んでからでいいけど...一緒に冒険した仲間、ってどういう人たちだったか、もっと教えてくれる?」ワドルディが聞く。
「ごくん...いいよ!えっとね、まずサーバルは、すごく高くジャンプしたり、木登りしたりできるんだよ!一緒にかりごっこしたり、星をながめたの...楽しかったなぁ!」
それからカービィはピザと大盛りのカレーライスをぱくつき、また口を開く。
「かばんちゃんはね、頭がいいんだよ!あ、でもメタナイトとは違うかな...ぼくたちが困ったとき、いつもなにか思いついて、たすけてくれたんだ!」
「いい人たちなんだろうなぁ...ボクも会ってみたいや...」
「そうそう!これみて!」
カービィは小さな何かを掲げて見せた。
「それは...ネジか?...ああ、成る程な」
桃色にきらめく、一つのネジ。その穴はプラスでもマイナスでもなく、五芒星だ。
「ロボボのネジだよ!サーバルがお別れのときにくれたの!ぼくのたびと戦いの、たーいせつなおもいでがつまっているんだ!ねっ、大王もこれで信じてくれるでしょっ?」
「わーったわーった、信じるって!」
「......しかし妙な話だな。カービィ、君はたしかヒトの少女の姿になったと言ったな?」
「うん!いっしょにスターロッドまで出てきたから、びっくりしちゃった!」
「疑似転生...その者を象徴する武器...どれも私は聞いたことがない。それで異空間ロードでは通常繋がらないとなると......カービィは異なる宇宙に飛んでいたのか...?」
「おいおいメタナイト、おめーもンな辛気臭い顔すんなって!ほーら、お前の好きなパフェにアフォガートも...」
「ぅ...ああ、頂くとする」
「さーぁ!オレ様達のヒーローの大活躍と帰還を祝って...パーっとやろうぜ!」
『いぇーい!』
「うぇうかむとぅよーこそプーププランド、あきれかっえるほど平和なくにさっ!デデデもーメタナーイトもーワドもぼっくっもーとーもーだーちーだーよ♪」
「カービィ、お前は歌わんでいい!やめろ!」
のどかな国の草原に、大笑いが響いていった。
* * * *
[ゴコクエリアだね。キョウシュウエリアとは最も近いエリアだよ]
海上でも動けるよう修理されたジャパリバス。それに乗り、かばんは一人新たな地へと向かう。
(ほんとうに、ヒトはいなくなったのかな...いや、そんな筈ないよね)
大冒険の思い出をぎゅっと詰めこみ、水平線にぽっかりと浮かぶ島へ。その時だった。
[ア...アワワ...]
ラッキービーストがエラーを起こす。
「ラッキーさん!?いったい何が...」
その目の前、波の上に――星形の、空間の虫食い穴が。
「あれって......」
To be continued...?