あしかのらいぶらりぃ
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執筆者: テーリィ/投稿日時: 2017/10/01(日) 10:49:20
投稿者コメント:
今回けもフレ側の設定のミスリードっぽくとられる部分あるかも知れません。でもいいとこなので。
あと総閲覧数600突破ありがとうございます!
第30話:けっせん
《BGM:回歴する追憶の数え唄》
“それ”は、純真な瞳をしていた。まるで善悪の判断が、つかないかのように。
「星の夢の正体って...ギャラクティック・ノヴァ...」
願いを叶える、究極のマシン。それこそがハルトマンの作ろうとしたものであり、星の夢の正体だった。
星の夢は禍々しい空間をつくり上げる。
ふたつの眼が光り、何かをうつし出す。
[デッド・エンド・コード>]
数字の5が浮かび上がる。
「5...!?」
直後、ワームホールから巨大な風見鶏が召喚された。
風見鶏は矢を放ち、ロボボアーマーを狙う。カービィは動き回るそれを、落ち着いて破壊した。
プラネットバスターを命中させると、今度は「4」が浮かぶ。
「これ...数字がへってきてる!0になったら...」
「急ごう!カービィ!」
コンパス、懐中時計、電球...一見接点がないイメージが具現化し、襲いかかる。カービィとサーバルはそのひとつひとつを打ち砕いていく。
しかし、その合間にも...数字は迫ってくる。
「...っ......」
数字が減るにつれ、カービィは焦りを見せ、操作のミスが増えていく。
「......っ...っ!!」
カービィと星の夢。互いの全てを懸けた、死に物狂いの戦い。
皆の思いは――届かなかった。
カービィがプラネットバスターで星の夢を打ち倒すより早く、浮かび上がったのは“GO!!”だった。
直後...カービィは絶望の淵へ立たされる。


“FATAL ERROR”


「ぇ...」
血のように紅い巨大な長方形が、幾度となくロボボアーマーへと迫ってくる。二人と1機はなす術もなく、相手の執念の攻撃を全て食らった。


「深刻なダメージ...シンクロ率から逆算した致死率...97%...」
地上。ケイン所長が、絞り出すような声で伝える。
「そんな...まさか...」「もう私たちは終わりってわけ!?」「こんなの嫌だ...カンパニーに全て捧げてきたってのに...」
敵からも味方からも、絶望の声が上がる。
(サーバルちゃん...カービィさんを助けるために...でも、こんなの嫌だよ!どうすれば...)
ふと、かばんの目に、火口から天へ昇るサンドスターが留まった。
(奇跡を...僕たちの願いを...!)
「あの、皆さん!一つ...試したいことが...」



「いっ...た...」
ロボボアーマーは少しずつ高度を下げる。このまま墜落、星の夢はネガイを叶え、全ての生命体は抹消される――。
と思われた、その刹那。
(カービィさん!大丈夫ですか?)
声が聞こえた。
『かばんちゃん!?』
(サーバルちゃんも、聞こえる?今、サンドスターの流れに乗せて...皆の思いを託します!お願い、星の夢を...)
虹色の粒子が、ロボボアーマーの内部、カービィとサーバルの全身へと流れ込んでいく。
(ふはは!情けないぞピンクの!ライオンと共に私と戦った、あの時のガッツはどうした!)
(踏ん張れー、カービィ、サーバル!)
(負けないよね、星のカービィ...!)
(サーバル、よく聞きなさい。その子をいま助けられるのは、貴方しかいないのよ...力になってあげるんですのよ)
(ワタシも信じるぞォォ!ストレンジャーよ、奇跡を起こしてくれたまえェェ!)
(われわれも力を貸すのです。パークを滅ぼすキカイを、とっとと止めるのですよ)
(カービィ、あなたの歌、今でも覚えてるわ。またいつか、一緒に...)
(一発かませぇ、カービィ!)(私たちのこの幸せ...)(守ってください...!)(だからー)(こんなとこで負けてるんじゃないわよ!)
(カービィさん頑張るのだー!さあ秘書どのもなのだ!)
(......せいぜい...頑張りなさい!)
思いはカービィの秘める無限の可能性に増幅され、悪を粉砕する力となった。
「ありがとう、みんな...ぼく、しゃきっとした!」

《BGM:この一撃に桃球レボリューション》
――生命体、生存ヲ確認...ワタシの勝率、96%ニ低下...
ロボボアーマーは再び、雲の上に浮上する。
「ふんっ!」
ブースターの出力をぐんぐん上げ、勢いをつけた。
「星の夢!これが...みんなの力だぁぁっ!ファイナル...スクリュー...モードッッ!!」
カービィがそう叫ぶと、ロボボアーマーの右腕はけものの爪を模した巨大なドリル...いや、プラスドライバーに変形した。
――勝率...93%...
星の夢は勝利を確信している。カービィはそのまま、星の夢の頂点へと向かった。
バリアが張られる。カービィはドライバーを回し、いとも簡単にそれを粉砕した。
――戦闘能力シエンマシン、“インベードアーマー”に計算外のパワーヲ確認。ワタシがコノ脅威ヲハイジョ...デキル...カクリツ...は?
計4枚のバリアをぶち破り、星の夢の本体にドライバーを突き立てる。
「星の夢を無理やりねじ込んで、心臓を...くだくよ!くらえぇっ!!」
――作戦ヲ察知。勝率40%...
カービィは星の夢を、ひたすら回しはじめた。アクシスアークスとの結合部分に、罅が入り始める。
――35%... 30%...
星の夢の装飾が輝き、レーザーでカービィを狙う。
「邪魔するな〜っ!」
サーバルが持てる力を全て出し、レーザー砲を全て破壊した。
――20%... 12%...
巨大なキカイ仕掛けの星は、ぐらぐらと揺れて最期の悪足掻きをする。それでもカービィは――自分、そして自分を信じる全てをこの一撃に懸けて――ドライバーをひたすら回した。
――8%... 4%... 2%...... 1%
...
星の夢が最後に見た数字。
それは、3つとも“0%”であった。

心臓のようなコアに、星の夢の本体が深く突き刺さり、二つは同時に粉々になる。
「はあぁぁぁぁっっ!!!」
カービィはドライバーを回し続け、ついに穴が貫通した。
星の夢の中枢機関は完全に破壊され、その無垢な顔に縦に罅が入っていく。
大きな青い眼が再び大きく見開かれた、次の瞬間。
星の偶像、悪夢の化身は、凄まじい断末魔と光と共に大爆発した。
「きゃあぁ!?」
地上の面々は、眩しい光と衝撃の風に驚いた。
「願い...届いたのかな...」



「ぅ...」
カービィはこれ以上ないほど疲れきっていた。
体が動かない。サーバルも、さっきの衝撃で気絶している。
「ほしだ...」
小さな輝きが、漆黒の空に見える。二人を乗せたロボボアーマーは、爆風によって宇宙に限りなく近い場所を漂っていたのだ。
このまま、星の彼方までずっと漂っていってしまいそうなカービィたちだったが――。

それは、サンドスターの奇跡だったのだろうか。それとも...カービィの影響だったのだろうか。

――大丈夫だよ。
無機質な、しかし暖かみのある声。
「...?」
――ワープスターが助けてくれる。サーバルを、しっかりつかまえていてね。
何も操作していないのに、ロボボアーマーの腕が動き出す。
「え...」カービィはようやく、声の主を察した。
「いやだ...ロボボもいっしょに...!」
――ぼくはもう、戦えない。でも...
ロボボの右腕が、共に戦い抜いた戦友を、そっと青い星へと押し出した。
「ロボボ...!」
――ありがとう、カービィ、みんな...楽しかった...よ......
ロボボのカメラアイに、きらめく何かが。それは冷却液だったが、別れを惜しむ、切ない涙のようにも見えた。
――......
やがて桃色のマシンは全機能を停止し、スペースデブリとなって星の彼方へと旅立っていった。

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