EP.4-4 Unrequited 4
「縁くん!パスタ焦げるよ!」
「えっ!?あっ!」
しまった。パスタのことを忘れて、つい考え込んでしまった。
急いでフライパンの中身を掻き混ぜる。
「……大丈夫?」
「ええ……大丈夫、うん」
「そろそろ出来そう?こっちも準備できてるよ!」
ちらっと後ろを振り返ると、綺麗なテーブルクロスに
4つの白いお皿が並べられていた。
あれも緑さんの趣味なのだろう……
「あ。今、持って……行くよ」
一瞬、言葉に詰まった。緑さんの友達――――麻由美さんと奈々さんは、
僕のことを緑さんの“お兄さん”だと思っているのだ。
兄が妹に敬語を使うのは、可笑しい話だろう……
「どうぞ」
テーブルの真ん中に、フライパンを置く。漂うクリームの香り。
「わあぁ!美味しそう!」
「奈々!今取り分けてるから!」
緑さんがパスタを取り分けてくれていた。綺麗に、4人分。
「「いただきまーす!」」