第32話 長き戦いの別れと…
「次元が…歪み始めてる………! 急いで逃げないと閉じ込められたままになっちゃう!!!」
カービィは次元が歪みつつも脱出する為のスキマを探す。
「あっ、あった…! みんなごめん、先に脱出させてもらうよ!」
カービィはみんなを置いて行き、スキマへと入って脱出をしていった。一方、その頃メタナイト達は…
「歪みが生じている…急がないと閉じ込められる……」
「「「えぇっ!?」」」
「早く脱出するスキマを探しましょう…。きっと、あるはずです……」
「だと…いいですけど、酔いは大丈夫なんですか?」
「あ、お陰様ですっかり治りました」
「それはよかったけど言ってる場合じゃないよ!!!!」
このままだと、みんなが次元でさ迷い続けることになってしまう…。なんとか、しようと急ぐ一同。秋桜はあの時にやれなかった分をなんとかしようとペンダントに脱出する為の導きを聞く。
「…見つけました!」
「どこなのだ!」
「近いとここから100m先です!…ですが、急いでもギリギリ入れません…。今、こうしてる内に少しずつ狭くなっていってます…………」
「…そんなっ!」
「どうすればいいんゾイ!」
デデデは絶対に何らかの方法があるはずと、秋桜に聞いてみるが、彼女は暗い顔をして首を振る。もう、脱出する手口はないのだと……。
「そんなはずないゾイ…!」
「秋桜、何かあるはずだろう!!」
「そんなこと分かっていたらこんなことなんてしてませんよっ!」
「…!!」
彼女があんまり言わなさそうな叫びでメタナイトにぶつける。それ程、希望はほぼないのかもしれない…。
「くっ…ここまで…なのか……っ」
「このまま…ボク達は…さ迷い続けないと…いけないのですか……」
「そうみたいゾイ…」
「どうやら…そうみたいだよ」
一同はネガティブな気持ちに包まれていく……。秋桜は何とかしたいと一心だが、どうすることもできないと心の中で藻掻いていた…。
「なら、私が一定時間…スキマを広げればいいだろう」
「…! そんなことをしたら!!」
メタナイトはギャラが命を賭ける為に言ってるようにしか思えず、咄嗟に止めようとするが、彼は止めない…。本当にやろうとしていた。
「そんなことしたら…兄さんは……」
「私なら大丈夫だ。お前とは違うからな」
「そんなこと言って…今度、倒れたら……兄さんはもう、生き返れないんですよ!」
「…覚悟は決めている」
「!!」
彼の瞳からはほんきという気持ちが伝わってくる。だが、メタナイトは諦めようとしない…。
「絶対にそんなことをさせない…。兄さんがいなくなったら…私は…ボクは……どうすれば!」
『ボク、大きくなったら…立派な剣士になるんだ!』
『いつかなれる。お前なら…』
『うんっ! ボク頑張ってお父さんを…ううん…お兄ちゃんを超える剣士になる!』
「ボクにとっての目標がいなくなったら!! ボクは何ができるの!!!」
ギャラとは別れたくない…死んでほしくない……一言一言からそんな気持ちが伝わる。ギャラは昔の時みたいに彼の頭を撫でる。
「もう、なっている…。メタ、お前は立派な剣士になっている…」
「……!」
ギャラの一言が本当にさよならにしようとしているようにしか思えなくなってきた…。
「さあ…さっさと済ませよう……」
「ダメっ……」
「急がないと私たちはずっとさ迷うことになるぞ」
「それでもいやだ…」
「なら…どっちを選ぶ」
「何も失いたくないんだよ! だけど、どうしたらいいの! 分かんないよ! 誰か教えてよ!」
「メタナイト様…………」
ここまでやり遂げてきたことを失いたくない…。そう、みんなで無事に帰ることが、彼の願いだった……。それなのに、ギャラはそんなことを……破ろうとしていたのだ…。
「いつかは…失う…。それを覚えておくがいい」
「ッ…!」
ギャラの一言が彼の心に影響を及ぼす。エリーが消えてしまったあの日々を…忘れていなかった…。
「そうこうしてる暇はない。やるぞ」
「あぁっ…!!」
スキマが小さくなるスピードを出来る限りの力を振り絞って行う。さっきの星の夢の影響のせいかそこまで発揮が出来ていないが、これが彼にとっての本気だった…。そして、みんなでスキマへと入って行き…
「何とか…やり遂げられたな…良かっ…た………」
「兄…さんっ……!?」
彼はもう瞳を開けることをしなかった…。もう、彼と話せないのだろうか……。メタナイトはそんな気持ちでいっぱいだった…。そして、一粒の涙を溢す。
「兄さあああああぁぁぁぁんっ!!!!!!」