あしかのらいぶらりぃ
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執筆者: テーリィ/投稿日時: 2017/09/26(火) 22:50:50
投稿者コメント:
中間テストがオワリました。例の件もあるので、最後の更新ラッシュを掛けようと思います。
あとそこ!最初からカービィフレンズ化すべきだったとか言わない!(ォィ
第27話:ていくおふ
「もう...こんなこと、辞めてください。パークを...元に戻してください」
かばんが前に進み出て、言った。
「ワシのシナリオを...さんざん踏みにじりおって...!」
ハルトマンは怒りで赤く染まった顔を上げる。
「なぁーんたる、品のないゲンジュウ民どもめ!ヤバン!ヤバン!ヤバン!ヤッバーン!!ヤバァァ〜ンでぇ、あぁるぅッ!!!」
直後、彼は物凄い剣幕で怒鳴った。その勢いは、3人が思わずびくりとするほど。
「もーう、容赦はせんぞぉ!」ハルトマンを乗せた椅子は浮き上がり、白い円筒の頂点に収まった。
「この宇宙最高のマシン、“星の夢”を使い...キサマらヤバンなゲンジュウ民をォ...根ぇ絶やしにしてやるのであーるぅぅっ!!」
ハルトマンがパネルの操作を終えると、その頭上に帽子のような、奇妙な形の機械が現れる。そのコントローラを彼が被ろうとしたその瞬間――。

――予想外のことが、起こった。

《BGM:『SDX』戦艦ハルバード:甲板》
「いただくのだぁぁ〜っ!!」
3つの影が、ハルトマンの目の前を横切り、コントローラを奪った。
「うおおぉぅ!?」
3つの影は社長室の黒い床に着地し、顔を上げる。
「キャハッ!ゲンジュウ民の力、ゆめゆめ侮ってはいけなくってよ!」
コントローラを握りしめ、会心の笑みを浮かべるのは――社長秘書、スージーではないか!
「ひ、秘書どのがまさかの...裏切りだとォォ!?」
「アライさんの手にかかれば、こんなの朝飯前なのだ!」
「いい仕事したね、アライさーん。これで私達、きっと『しょうきゅう』だよー」
その左右に立つのは、二人のゲンジュウ民――アライグマとフェネック――だった。二人はカンパニーに従い、スージー直属の部下まで上り詰めていたようだ。
「アライさん!?フェネックさん!?」
「その声...かばんさん!?なぜここにいるのだ!?」
「スージー...キサマぁぁ...っ!こ..こんトロールが.....不ノウに...な......」ハルトマンは振り絞るような声でそう言うと、気を失ってしまった。
と、彼の胸ポケットから、何かが床に落ちた。
「何だろう...金色で、きれい...」
かばんはそれに気付いたが、他は状況を飲み込めず、気づかない。
(大事なものなのかな...返したいけど...)
かばんはその懐中時計を、ポケットにしまった。
「まさか、こーんなに早くチャンスがくるなんてネ!星の夢のデータベースは頂くわよ、社長さん。他の会社にでも、高く売り付けてやるわ」スージーは意識のない社長を指差し、勝ち誇って言った。
「秘書どの、カッコいいのだ!」
「もうっ、褒めてもなにも出ないわよ?...まァいいわ」コントローラを、両手で高く持ち上げる。
「さぁ星の夢...お前の全てのデータを、頂くわ!」
スージーがそれを被った、その刹那...
星の夢の黄色いカメラアイが光を帯び、稲妻のような光線が鋭く放たれる。
「キャアァーッ!!」スージーは何も解らないまま、光線をまともに受けて倒れた。
「秘書どの!?」「す、スージー!!」「秘書さん!」
「...ぅぅ......」
「アーアー...オロカな生命体ヨ...」
単調な声が、部屋に響く。
「これは...社長の声!?」
《BGM:ホロビへの再起動音》
確かに声を出しているのは、ハルトマンだ。しかしその姿には生気すら感じられない。
「アー...オ、ホン。私の名ハ...マザー..コンピューター.....星の夢...」
「こ...これはもしや...星の夢が、社長のノドを借りて話しているのかァァ〜っ!?」
「ゴ名答...社長?ワタシは星の夢でナク、ハルトマン...ナノカ...?モハヤ、どうでもヨイことカ...」
ハルトマン(の脱け殻のようなもの)はむくりと起き上がり、ぎこちない動きを始めた。
「ワタシは...コノ、ハルトマンの身体を通シ...生命体ノ、全てヲ知った...」
「なにが...起こってるの...?」
「コノ個体がもつ、カンパニーの永久ナル繁栄というネガイの為には...不完全でカヨワキ生命体の存在ナド...不要と...ハンダン..」
カービィとフレンズたちには、星の夢の言うことはわからなかった。これが冷酷で、無慈悲で、あまりに極端な何かが起きようとしているということ以外は。
「ソレデハ今からその生命体ノ歴史に...オワリを..ツゲヨウ......カンパニーの永久ナル繁栄ノ為に...ホロビナサイ」
そう言い切ると、星の夢は、社長室の天井に開いた穴から、星空へと飛び立っていった。



「まさか...こんなことになってしまうなんてネ」
室内に訪れた静寂を打ち破るように、スージーが口を開いた。
「秘書どの...アライさんたちのせいなのだ...」
「そんなことないわよ!アタシがただ、アイツに吠え面かかせて、目を覚まさせたい...そう、自分のエゴで思ってただけなのよ」スージーは声を震わせる。
「でも...もう、そうも言ってられないわね」
それから彼女はケイン所長に向き直り、
「ケイン所長!この本社ビルの中で、一番最新型で、パワフルなインベードアーマーを用意してちょうだい!」
「ハ、ハイィィ!再び、カンパニーのお役に立てるならァァ!」
それから数分も経たずに、あの鈍色のパワードアーマーが運ばれてきた。
「これは超最新型のインベードアーマーでして、新機能として...」
「詳しい説明はあとからにして!...ホラ、乗りなさいよ、ストレンジャー。これであのコンピューターを...」スージーはインベードアーマーの合金製の腕を、コンコンと叩く。
「...ぶっこわしちゃってよねっ!!」
「うんっ!」カービィは力強く返事をした。
早速飛び乗ると、インベードアーマーはたちまち桃色に染まる。
「ロボボ...また会えたね!でも、この身体じゃ操縦できるか...」
「その心配は不要というものだァァ!ロボボアーマーとキミの共鳴に対応するため...“シンクロナイズ”という新機能を付けたのだァァッ!!」
「しん...くろないず?」
「マシンの中枢部とパイロットのスピリットを繋げることで、本来の300%に近いパワーを出せるようになるの。でも...」
スージーの後に、ケイン所長が不安そうに続ける。
「シンクロナイズの実験は、ワーカーズで全て成功しているゥ...それでも命の危険が、否めないのだよォォ...」
「...それでもいいよ」そう言ったカービィに、迷いの表情は無かった。
「カービィ...そんなのやだよ!」サーバルは首を横に振る。しかしカービィは微笑んで、
「ここに来て、たくさんの出会いがあった。みんなといっしょに冒険して、戦って、わらった。だから...あいつを倒して、みんなを護りたい」
「でも、命の危険って...」
「...サーバルちゃん。今あれを倒せるのは、カービィさんとロボボしかいないよ。僕たちは...全力で、僕たちにできることをしよう」
「...!カービィ...じゃあ、全力で応援するよ!絶対...ぜーったい、生きてもどってきてねっ!」
今まで見てきたサーバルの快活さを再び感じ、カービィは内心少し安堵した。
「では...シンクロナイズを開始するぞォォ」
思い出を噛みしめるように、しっかりと、深呼吸をする。
《BGM:ファイナル・テイクオフ》
「シンクロナイズ開始ィ...25%...50%...」
全員が、固唾をのんでカービィとロボボの様子を見守っていた。
「シンクロ率100%...150%...」
カービィは痛みを感じはしなかった。文字通り、自分とロボボの無限のエネルギーが融合するような気分を感じていたのだ。
「200%...300%...350%、だとォォ!?」
シンクロ率が予想以上のものとなる。
「シンクロ率限界突破...375%...400%......427%!!」
「427%...ですって!?」
一心同体となったロボボとカービィは、強化されたブースターで空を舞い、ガラスを破ってアクシスアークスの外へ出た。
カービィは風に桃色の髪をなびかせながら、親友、そして力を貸してくれたカンパニーの面々に敬礼をする。
「お願い...ストレンジャー、いや、星のカービィ...」スージーは無意識に祈った。
『カービィ(さん)...』続けて、かばんとサーバルも。
『あいつを...もう......止めてッ........!!』
ロボボアーマーは星の夢を追い、星空へと猛烈な速さで飛び込んでいった。

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