あしかのらいぶらりぃ
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執筆者: 麻疹騙り/投稿日時: 2015/05/23(土) 20:23:42
投稿者コメント:
なかなか最近忙しくて、全然更新できてませんでしたね。
だいぶひと段落したので、これからしっかり更新していこうと思います。
10月ぐらいまでの完結を目指していきます。

第3章の終わりです。
緑ちゃんかわいいんじゃ^〜
EP.3-10 DaysTo Lives 10
「そうだ、ちょっと外に出てみませんか?」

僕をまじまじと見つめる緑さんが、
キラキラと澄んだ瞳で言う。


「え?」

「折角お洒落したんですから!ほら、行きましょう。
今日はいい天気ですよ!」

彼女が僕の手を引いた。身体が傾く。


彼女の手によってドアが開けられた。
外からの真っ白な光が部屋に差し込む。

まぶしい光。

思えば、畑にいた頃は、こんな光をよく浴びていたものだ。


「じゃあ、今日は、これから縁さんが住む街の
探検といきましょうか!」


彼女は家を出たときからずっと、僕の手を離さなかった。

僕の右手と、彼女の左手、無邪気に揺られる。


「ここは私がよく行くスーパーです。他の街に比べて、
ちょっと値段が安くて……1人暮らしには嬉しいです」

「ここは私の学校。家から5分のところに大学があるって、
便利ですよね!かなりレベルが高かったんですが、
頑張って勉強したんです」

「あ、あの右手に見えるのが……」


彼女は僕の手を引いたまま、次々と街の案内をしてくれた。

しかし、その殆どが耳に入る訳もなく、
彼女の活き活きとした顔ばかり見てしまっていた。


「……縁さん?聞いてますか?」

「はっ!あ、ああ……すみません」

つい、会話の返答も忘れてしまっていた。


「……そっか、流石に疲れてますよね、今日来たばっかりですし。
ごめんなさい」


彼女の顔が曇る。折角僕のためにここまでしてくれたのに……
何だか申し訳なくなった。


「いえ、いいんです。また追々、案内してください」

「そうですね。もう少し、人間の生活に慣れてからにしましょうか。」


道端にあった時計台の時刻は、もう5時を指していた。

僕らは来た道を、引き返す。

最後まで僕らの手が離れることは、なかった。

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