いつものカオス
「……暇なのサ」
マルソがお菓子の山に埋もれながら言った。
どうやらお菓子を食べすぎた挙句ゴミの山に埋もれ動けず、暇になってしまったようだ。
「マジ暑い……エアコン付いてたはずなんだけど…」
ギャラクティックナイトは冷蔵庫に顔を突っ込んでいる。
「何を四天王」
ワムバムジュエルが冷静にツッコむ。
「あれ、ていうかさ…よく考えたら暑いかも……」
…そう。暑いのはアイツのせい。
「マスクドデデデ」
なんと、エアコンの効きが悪いからとハンマーで叩いたものの、エアコンが壊れて発火してしまったのだ。(当たり前ですw)
「エアコン?壊しちゃいました!代わりの暖房ですよ☆」
「いや何が暖房だよ!!今夏なんだからさ!このエアコン、えっと…、1、10、100、1000、10000……えっと、1億円したのにさぁッ…。俺の頭についてる宝石一個を売って買ったのに…」
ワムバムジュエルが泣きながら言う。
「別にまだあるしよくない?☆」
相変わらず陽気なマスクドデデデ。
カチッ……
何かの音がした。
ギャラクティックナイトが言った。
「あれ、ブレーカー落ちたくない?」
「マジ?」
ワムバムジュエルが泣くのをやめ、言った。
(その間にマルソはどんどんお菓子の山に埋もれていった…)
「ブレーカー……?ってなんですか?」
マスクドデデデはやらかしたことを誤魔化すようにわざとボケているようだ。
しかしそれより重要な事が…
マルソがいない。
数分前から発言もしていないし、気配すらない。
どこかにかくれているのか、消えてしまったのか。
(お読みいただいているみなさまはお分かりでしょうか…)
「あれ?マルソは?」
全員が声を揃えて言った。
「まずは手がかりを探そう。」
ワムバムジュエルが言った。
「いやなんでそこだけ真面目なんだよw」
そんなわけで、ギャラクティックナイトはマルソの部屋と押し入れを、ワムバムジュエルは、玄関や他の仲間の部屋、お風呂やトイレを探した。
そしてマスクドデデデは…
なんと以前壊されたドアの隙間を探していたのだ。
「マルソがもしかしたら液体状になって隙間に溶け込んでいるかも…あ、あとは…無理やり入ってる可能性も…あと、シャドーアッパーでドアに隠れているかも…ZOY☆」
どうでもいい事に熱心になるマスクドデデデのもとへ、ギャラクティックナイトがやってきた。
「ZOYつけるの珍しいね。それより、熱心に探していてなにより、助かるよ!気がきくね!感心かんし……… え?」
思わず、
「何を四天王?」
と呟いた。
それもそのはずだろう。
マルソは屋内でシャドーアッパーを使うと物を壊すかつ天井に穴が空き、以前膨大な修理代がかかったため、メンバーから説教を受けるはずだ。
かつ、屋内で液体化する技を使うと部屋が汚れると苦情が来ることも多い。
そしてそもそも、入りづらいドアの隙間なんかにわざわざ溶け込むはずがない。
「そんなとこ探しても意味ないよ…他のとこ探しな」
これ以上ツッコミを入れても無意味だと思ったため、ギャラクティックナイトは、そう言って去っていった。
そしてそのまま、1日が経過した。
「マルソどこにいるんだよ…」
「もしかして家出!?」
「マルソ…一生のお願い、お願いだから、帰ってきて…ZOY☆」
それぞれが消えたマルソのことを思い、涙を流した。
泣きじゃくった。
本当はそんなに大事でない四天王のリーダーなのに。
脱水になるくらい泣いていた。
しかし、何かを思いついたワムバムジュエルがその静けさを壊すように言った。
「え……お菓子の山目の前にあんじゃん」
ギャラクティックナイトも続く。
「え、てことは」
マスクドデデデも。
「そこにマルソがいるってことだZOY!?!?」
しばらくの沈黙。
突然、
「っ、じゃあなんで早く言わなかったんだよ!!他のとこ探せっていったの誰だよ!!」
ワムバムジュエルがムキになった。
「はぁ!?それはお前だろ!」
ギャラクティックナイトが反論する。
「あぁぁぁぁぁ!!なんで自分、気づかなかったんだよ!!」
なぜかマスクドデデデは自分自身に怒っている。
「あぁーもう!!じゃあ俺が一番に探してやる!!」
ギャラクティックナイトがお菓子の山に向かってきた。
一方、埋もれたマルソは……
「え!?なんなのサ!?誰!?誰!?もしかして怒られる!?!?」
ギャラクティックナイトがお菓子の山に飛び掛かる瞬間だった。
「やばい、逃げなきゃなのサ!?しゃ、シャドーアッパー!!!」
運が悪かった。マルソは、ギャラクティックナイトの顔面に正面衝突してしまった。
ゴンッ…
響き渡るような音がした。ワムバムジュエルとマスクドデデデは咄嗟に目を閉じた。
「痛いのサ……」
「は!?マルソ、おまえ……」
パキッ。
その瞬間、ギャラクティックナイトの仮面にヒビが入った。
「あ、仮面にヒビ入ってるのサ」
マルソが指差した。
「えっ…??え??え?え?うぇあえっ??いややややや…いや、見間違えだよね?」
相当恥ずかしがって、ぎこちない口調でギャラクティックナイトは言うが…
手遅れだった。
ワムバムジュエルとマスクドデデデは目を見開いた。
バキバキッ…カチャッ……
仮面は真っ二つに割れて落ち、ギャラクティックナイトは絶望へ。
そして3人の視線はギャラクティックナイトへ…。
「え、どうしよ…まて、、うっ……見ないでぇぇぇぇぇぇっ(泣)」
顔を真っ赤にして逃げ回り、泣きじゃくるギャラクティックナイトへ、ワムバムジュエルが言った。
「え…、意外と可愛いじゃんw」
マルソも意外に可愛い素顔に目を奪われていた。
「何があってもこのギャラクティックナイトちゃんを推すのサ…!!」
「星のギャラクティックナイトたん放送だZOY☆」
次々と3人が言葉を重ねていった。
ワムバムジュエルはギャラクティックナイトファンサイトを開設、マルソは写真集を作り、マスクドデデデはグッズを作り始めた。
「熱心なのはいいが…」
ギャラクティックナイトは、だんだんと先ほどの照れはどこにいったのか、冷静になった。
でもどこか様子がおかしい。
下を見て、手を握りしめて、…。
「気持ち悪いっ!!!今すぐやめろぉぉぉぉぉぉぉぉッッ!!!!」
その一声で、ギャラクティックナイトファンクラブは壊滅した。
めでたし(?)