命あるモノ
「??私の部屋で何をしているの?」
女の子は私達に聞いてきました。
突然の出来事だったので直ぐに答えることが出来ませんでした。
「もしかして…何か用があってここに来たの?」
女の子が首をかしげて言いました。
「はい。雨宿りをしたかったのですが誰もいないかと思って…勝手に入ってすみませんでした!」
と私は頭を下げました。イゲツにゲンコツを喰らわして頭を下げさせたのはまた別の話です…。
「雨宿り?この森は雨が突然降ってくるから?とりあえずゆっくりしてね!」
と言うと女の子は無邪気な笑顔でこっちだよ。と洋館の案内をしてくれました。
「ところで、貴方の名前は何て言うのですか?」
洋館案内の途中、私は女の子に名前を聞きました。
「私の名前はコウだよ。お姉さん達の名前は??」
そういえばまだ名乗っていなかった事をすっかり忘れてました。我ながら礼儀がなってませんね…。
「私はニョライヅキです。そっちの黄色いのがイゲツです。」
「黄色いのっておい!何だよそれ!」
イゲツが何か喚いてますが気にしないでいきましょう。
「そういえばコウちゃんの両親はお出掛けしているのですか?」
私が両親の事について訪ねました…が気づいてないのか返事が返ってきません。何かいけない事をいってしまったかなと思い謝ろうとしたその時。
コウちゃんはこう言いました。
「いないよ」
「…え?」
「お父さんも、お母さんもいないよ」
「コウちゃん一人でここに住んでいるのですか?」
「うん。私一人でもないけど…。」
私一人でもない…?それは一体…?
そのことを聞こうとしたら、とても可愛らしい声がしました。
「私の友達のぬいぐるみさん。」
「動くぬいぐるみですか?」
「うん!皆そうだよ!私達だけに命があるわけじゃないんだよ。皆持っているものなんだよ。あそこのお皿にもぬいぐるみさんにも、動かないけど命はこもってるの。」
ガタッ!ガタガタ!
急に大きな音がしたと思うと周囲の物が宙に浮かび上がりました。
何事!?と思った時、凛とした声が響きました。
「そう…。全ての物に命はあるけど心はない。この洋館にも命はあるけど心は無い。」
後ろを見るとコウちゃんだけどコウちゃんじゃない何かがいました。
その何かはこちらを見ると気味の悪い笑みを浮かべてこう言いました。
「 一番怖いのは悪いという事が分からないということ…。この洋館も、この洋館にある全ての物は善悪が分からない。いつのまにか命の危機になってるかもしれない…こんな風にね!」
と言う言葉と同時にお皿が飛んできました。
とっさにかわしコウちゃんでは無い何かの懐に潜り込み攻撃しようとしたその時!
「ニョライヅキ!それはコウの体でもあるぞ!!」
そう。コウちゃんを傷つけてしまう…
「一体どうすれば…!」
うかつに近づいたらやられる…
どうすればいいのか…
なら…方法は1つ。使えるかわからないけど…
「さて、楽しい宴の始まり…」
戦いの行方は…