住民との出会い
カービィの家を探し、プププランドへと踏み出したかばん。だが、もう一つ問題があった。
「はぁ...プププランドって、こんなに広いんだ...」
平地に広がるその国は、サバンナと同じくらい――いや、その数倍の広さをもっていた。
それに、見知らぬものが幾つもある。例えばこの、石碑のような形の物体。触ると石ともコンクリートとも違う、それでいて人工物のようにも思えない。
旅人は一人、異郷の地に取り残されてしまった。
「誰かいないかな...」
彼女からしてみれば小さな家は、この周辺にはない。とりあえず、かばんは近くの集落へと歩くことにした。
...しかし。
「誰か助けてくれー!」
不意に、誰かの助けを求める声が。
声の主を探すと、そこには一輪車にも似た、バイクのような生き物が横たわっている。
「横転して立ち上がれない...助けてくれ、頼む!」
バイクのような生き物はかばんの姿を捉えると、必死に訴えた。
「はっ、はい!」
かばんはしゃがみこみ、彼を起き上がらせた。
「ふうっ...助かったぜ...あ、いや、助かりました。まさかあそこの石につまずいちまうなんて...」
「あの...あなたは?」
「あ、オレ、ウィリーって言います。よろしく」
「僕は、かばん、っていいます」
タイヤの両側についた大きな目。生き物なのか機械なのか、区別のつかない出で立ち。ウィリーの風貌は、かばんに奇妙な印象をもたらした。
「あの、お礼としてはなんッスけど、かばんさんの行きたい場所まで連れていきましょうか?」
ウィリーがない口をまた開く。
「え...いいんですか?」
「うす。オレ、他人を乗せるのは慣れてるんで」
「(乗せる?)じゃあ...カービィさんのお家まで、お願いできますか?」
「了解ッス。じゃ、オレにまたがって下さい」
かばんは恐る恐るウィリーにまたがった。
「あの...重く、ないですか?」
「んなことないッスよ。まぁ...カービィはもっと軽いけど。さっ、しっかり掴まってて下さいよ!」
ウィリーはそう言うとエンジンをふかし、スピードを出して走っていった。
そよ風を切って、家々の立つ通りを過ぎていく。
「カービィの家は、ここの外れ、丘の近くにあるんスよ」
「ウィリーさんは、カービィさんのことをご存じなんですか?」
「そりゃあ、カービィはオレ達のヒーローですからね。オレ自身、あいつとはよくツーリングに出掛ける仲ッスね」
かばんはまだ知らない。カービィは幾度となく、この星、ひいては全宇宙を救った存在であるということを。
「あ、ほら、あれがカービィの家ッスよ」
ぽつりと建っている、ドームのような白い、可愛らしい家。
「じゃ、オレはこれで。カービィに宜しく言って下さい」
ウィリーは丘を下り、走り去って行った。
「カービィさんの、お家...」
オブジェのような家の窓をそっと覗いてみると...そこには懐かしいピンクのヒーローが、寝息を立てていた。
(起こしちゃうの、かわいそうかな...)
かがみこみ、木製のドアをそっとノックする。
「むにゃ...どなたー?」間延びした、寝起きの声が聞こえたかと思うと、ドアが開いた。
「ふわぁ〜っ...」小さなピンク玉は欠伸をしながら、訪ねてきた者を見上げる。
「...カービィさん!!」
目と目が合った、その時。
カービィは目を大きく見開き、頬っぺたを強く引っ張った。ピンクの肌がまるで大福のようにみにょーんと伸び、それから赤く腫れ出す。
「いたっ..!てことは...」
カービィは、思い切りかばんに抱き付いた。
ヲマケ テーリィ流プププキャラファイル No.01:カービィ
ご存知、我らが銀河のヒーロー。
しかしその実績とは裏腹に精神的にはとても幼く、言葉もひらがな混じり、舌足らず。漢字は読めない。
困っている人を放っておけず、助けるためなら自分は傷ついて構わない、というのが信条。しかし食欲に駆られることも...食欲>皆>自分、といった感じ。
意外に器用で、料理とかもできる。
また彼の価値観に「性別」は特にない。64のグッドエンドは...急にああされたらだれでもああならないかな...(ぇ
グーイと一緒にいると、誰かにイタズラをすることもしばしば。だが基本はとても思いやりがあり、いざという時には全力で助けてくれるため、味方は多い。
因みにこの小説では、カービィの二つ名としては大抵「春風の旅人」を使うが、これはひらがな混じりの言葉も含め、某所のスマブラ小説の作者さまのリスペクト。