戦闘! メタナイツ!
(さて、見つかる前にさっさとお宝かっさらっておさらばと行きたいんだけど……)
(――碌な物が無いんだよね。ガラクタばっかり)
立派な戦艦だと思って潜入したは良いが、内部には大した品が置いてなかった。
物置には武器が置いてあったが、持っていくにはかさばる。
そこまでして持ち出したくなるような質でもなかった。
あとはよく分からない玩具の類。見立て以上に成果がなく、少しばかり落胆していた。
(まぁ、お宝はそう簡単には見つからないってことかな)
メタナイツのかなり近くに陣取っているが、見つかる気配はない。
まだ探索を続行するのは容易そうであった。
「みんなして酷いダス……」
メイスナイトは落ち込んでいた。
「ひとまず、メタナイト様に報告だ」
艦長はそれを無視して話を進める。
「そうした方が良さそうか」と、アックスナイト。
「ああ、俺も賛成」トライデントナイトも同意する。
「意義ハありませン」ジャベリンナイトもそれに続く。
「うん、メタナイト様に言いに行こう〜」ワドルディも賛成。
「ならば司令室に戻るぞ」艦長はそう言って、司令室へと向かった。賛成した4人もそれに続く。
「えっ、待つダス! ワシはまだ何も言ってないダス〜!」
無視されたメイスナイトは4人の後を追いかけていった。
* * * *
「来たか」
部下たちが戻ってきたので、私は彼らを迎える。
彼らにとっては、命令した時から私がずっとここにいるように感じているだろう。実際は違うが。
「メタナイト様、申し訳ありません。現在の所、侵入者はまだ見つかっておりません」
「――そうか」
私は艦長からの報告を冷静に受け止めた。
こういう報告になることは予想していた。相手もかなり巧妙に身を隠しているようだからだ。
「我々は、どうすれば良いでしょうか?」アックスナイトが尋ねる。
「どうすればいいダス!」
「このまま探し続けるしかなさそうじゃない?」と、ワドルディ。
部下に問いかけられた私は腕を組み、少し目を伏せた。
「うむ……」
その時、私の鋭敏な感覚は、艦内に侵入した敵を逃さなかった。
「そこか!」私は一瞬で剣を抜き、衝撃波を放つ。狙いはただ一点。
「うわっと!」
驚いた敵はようやく姿を表した。
黒い頭巾で目元以外を隠し、唐草模様の風呂敷を背負っている。
「――タック、だな」私は彼の名を告げた。
「あれれ〜、なんでバレちゃったのかな?」
「普段は感じられない不穏な気配があっただけのこと」
「やるねえ、アンタ」
私とその敵の間には殺気が漂っていた。
「ワシら抜きで話が進んでるダス!」
メイスナイトは、またもや無視された状況に我慢できなくなる。
「今、無理に主張する必要もないんじゃ?」と、ワドルディ。
「――確かに」アックスナイトもワドルディの意見を支持する。
「そうだぜ、大事なのは……こいつをここで叩きのめす。そうだろ?」
トライデントナイトは三叉の槍を構えた。
「そういうことになるな」と、艦長。
「迎撃準備、迎撃準備」ジャベリンナイトも戦闘態勢に移行していた。
侵入者――タックは、それを見てもあまり慌てた様子はなかった。
「へえ、良い部下をお持ちで」
「――メタナイツ、かかれ!」
私は剣を振り下ろし、指示を出す。
メタナイツ達はそれに応じ、一斉に飛びかかった。その槍が、斧が、鉄球が、真っ直ぐに敵を捉える――
「残念♪」
不意にタックの姿が消失した。
目標を失った攻撃は全て空振りに終わる。
「それじゃあ、さようなら〜」
再び姿を表した彼は、司令室の扉から出ようとする。
「……ばッ!」
が、扉にしたたかに顔をぶつける結果となってしまった。
「当然、扉は既にロックしている」私は状況を説明する。
「あちゃ〜……これは大失敗だねえ」
タックは自嘲気味に笑っていた。やはり、取り乱した様子はない。
「今だ、やれ!」
そこに艦長が号令をかける。
「うおおおー!」
メイスナイトは鉄球を振り回し、彼に向かって投げつけた。鉄球は勢い良く相手に向かう。
しかし、ひらりと身をかわす。
「キャットマグナム!」
かわした彼は素早く反撃に転じた。光弾がメイスナイトを直撃した。
メイスナイトは大きく吹き飛ばされ、戦艦の壁に激突する。
タックの余裕は自分の実力に自信を持っていたからだ。私は合点がいった。
「やられた、ダス……」
「メイスー! よくもやってくれたなぁ!」
怒ったアックスナイトは大斧を振りかぶり、袈裟懸けに振り下ろした。
「おっと、なかなかイイ攻撃だー。……でも、それじゃ倒せないよ」
彼が飛ばした手が、アックスナイトに当たる。
「うわっ!」
致命傷とはならなかったが、大きなダメージを受けてしまった。
「はぁ!」私は攻撃後の隙を突き、剣で攻撃を加える。
一撃、二撃、三撃、勢いに乗った私はさらに攻撃をし続ける。
しかし、一撃はかわされ、攻撃が当たってもガードされてしまった。
「無駄な足掻きはやめろ!」
そこにトライデントナイトが槍を振り下ろして追撃を加えた。ジャベリンナイトも光槍を飛ばし、同時に攻撃する。
二人の攻撃は侵入者を捉えた。過たず彼にダメージを与える。
冷静な私は、そのチャンスを逃さなかった。
「終わりだ!」
すぐさま垂直に跳躍し、剣を真下に突き立てると勢い良く落下した。
剣は侵入者の脳天を貫いた。
「ぐわーー!!」
戦艦内に断末魔が響いた。私達の勝利だ。
「やったね!」
ワドルディは喜んでいた。そういえば、艦長はともかく、彼は戦闘に不参加だったな。
日頃の行いに免じて、今日は大目に見るとしよう。
「どうだ……これが、我らの力だ!」満身創痍の中、アックスナイトは声を振り絞る。
「そうだ、俺たちを誰だと思ってやがる!」トライデントナイトがそれに続く。
「我らは」「俺たちは」「ボクたちは」「私たちハ」「…ワシたちは」
「戦艦ハルバードの戦士、メタナイツ!」
堂々たる彼らの姿を見て、私は満足していた。