愚かなる者
暗い個室。一人にしちゃとっても広い個室。真っ暗で何も見えない。入り口が何処にあるかもわからなくなってしまった。
「…なんてこった。これは罠なのか?」
絶望感が沸いてくるし顔は青ざめていく。オマケに寒気までしてきた。
ここに来るまでは体が蒸発してしまいそうなぐらい暑くて死にそうだった。
が、ここに来たら涼しくなった所ではなくなり:寒い:という所までエスカレートしていったのだ。
「………俺、もう、死ぬ。」
まともに喋れない位寒くなって床に倒れこんだ。倒れこんだ瞬間に寒さも効いてきた。
「ファあぁあっああぁあぁ!?」
とてつもなく大きな声で叫んでしまった。叫んでしまったせいで体力もだいぶ減ってしまった。このまま続くとただの氷塊になってしまい永遠に暖かさを感じない体で死んでしまうのだ。あれやこれやと考えているうちに瞼が重くなってきた。何か考えようとするけれどすぐ頭が真っ白になってしまう。いわゆるこれを眠いということなのだろうか。段々と視界がぼやけてきてとうとう目をつむってしまったのだ。
「な…んで…俺だ…け…がこ…んな目に……」
最後に言った言葉は暗闇に飲み込まれて音もなく消え去ってしまった。
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「俺なー!大きくなったら、でずしゃだあくだあに入って、そこにあるすっごいお宝を手に入れるんだ!!」
それを聞いた赤い人が少し驚いた表情をした。
赤い人「まぁまぁ、なんてことを?そんなことしたらそこに住んでいるこわーい人に捕まるわよ?」
赤い人が小さく笑いながら料理を作っている。
「そんなやつ、俺の魔法でやっつけてやるから大丈夫だ!」
赤い人「フフッ、だったら魔法の練習をちゃんとやらないといけないわね?そのためにはしっかりとご飯を食べないとね!」
そう言いながら俺の目の前に料理を置く。俺はそれをガッツリと食い付く。赤い人が作ったご飯はとっても美味しくて、とっても甘くて、とっても暖かかった。
「うん!ぜ〜ったいにお宝を手に入れてやる!!」
その赤い人は俺を見て微笑んでた。ご飯は元気になれるからとっても好きだった。なによりも赤い人と一緒にいられるから好きだった。
いつまでもこうであって欲しかった。
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最後に見た思いではとっても、とっても暖かかった。