3.猫耳は隠してる
里奈は何も言えずに途方にくれた。
少年が…消えた。
右目も、左目も視力は2.0。
最近寝不足だったかな。
…と目をこすってたら、いつの間にかさっきの猫耳少年が立っていた。
「ごめん、ミー助。この人だったのか。」
きれいな高い声。
少年なんだろうけど、女の子の声をしてる。
里奈がぼうぜんとしていたからか、少年は微笑んだ。
「先ほどは失礼しました。僕は天の使いのシルクと申します」
少年が帽子を外すと、中には二本の角。
「ひっ」
里奈がおびえていることに気がつき、少年は微笑むのをやめた。
「僕は、人間でも、猫でもありません。僕は、ペガサスです」
まあ、確かに角はきれいだけど、ドッキリは好きじゃない。
それに、かなり単純。
「信じてください」
少年はそのときすでに人間ではなかった。
大きな羽根を持った、ペガサスだった。
「ひぃやああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!」
里奈はそのまま気を失った。
「ミー助、この子を運べるかい?目覚めてからじゃ、ついてきてくれないと思うんだ。目を覚まさないうちに、早く王様のところまで行かなければ。」
ミー助はにゃあ、と鳴くとひょいと里奈を担ぎ上げた。
そして、ペガサス少年とともに、どこかへ消えていった。