僕の反応を気にも留めず、彼女はどんどん話を続けていく。

「縁さんのフルネームは、スガヤユカリ。
苗字は私と同じです。つまり、私のお兄ちゃん！」

「…………はあ……。」


紙に書かれた『縁』という名前のすぐ上に、
『菅谷』という苗字が付け加えられた。

「僕が、緑さんの、お兄さん……菅谷縁、ですか」

「そう！これで、お家には困らないでしょう？
一緒に住んでても、おかしくないし！」


一緒に住む、ということがなぜおかしいのかが、
僕にはよく分からないのだが……

「……えっと」
「これでマユミやナナにも文句言われない！
縁さんはお家に困らない！うん。完璧！！」


……言いたいことは色々あったが、
緑さんがあまりにも嬉しそうだったので、
心の中にしまっておくことにした。


「……分かりました」