第25話 秋桜の過去
「それは…私が眠る前の出来事でした…」
「私は、いつものように神社でご神木を眺めに行っていました……。」
*
『きれい…………………』
秋桜はご神木を目を輝かせるように眺めていた。そして、ご神木に毎日のように祈りを捧げていた。彼女は1日でも平和が続いてほしいと願っていた。
「尊敬します! 秋桜さんって努力家ですね!」
「そ、そうですか…?」
彼女は頬をかき照れていた。
「あっ、それより続けますね」
「私はある日…イシスの願いが叶ってほしいと思いました。」
『お願いします…イシスの願いを…叶えてあげて下さい………』
彼女は気付いていなかったが、ペンダントが輝いていた。
*
神社で祈りを捧げて帰って来ると、突然…人込みがあった。
『えっ……。一体何が起こって……!?』
彼女は慌てて走って家へと帰って行く。彼女が走る姿を光景した人々は彼女を見つめていた。
(なんで、私を見つめてるの……)
彼女はそんなことを気にしながら走っていた。
『お母さんっ! 一体何g『来たらダメよ!』ッ!?』
慌てて帰って来て、現状で何が起こっているか母に訪ねようとしたとき、止められる。しかし、気付くのに手遅れだった。彼女の後ろに人影があった。
『……っ!!』
彼女が後ろを振り向くと、誰かが彼女を突き飛ばした。見るからに彼女よりも何cmも背が高い男性だった。彼女が尻餅をついたとき、男性が彼女の付けていたペンダントを奪う。
『あっ………! ペンダントが!!』
『へぇー、これが願いを叶えてくれるペンダントなのか』
(え……? 願いを叶えるペンダント…? それじゃあ、イシスの願いは叶ったんだ!! だけど…それって……私が…平和より…イシスの願いを叶えたせいで……こんなことに…)
彼女はイシスの願いを叶えられる嬉しさと、平和よりイシスの願いにした罰でなったという不安の2つが複雑な気持ちになっていた。
(それが、あっちに渡ったら…そんなのダメっ!!)
彼女は男性からペンダントを返すために、男性の足へとしがみつく。しかし、大きさは全く違く、無力に近かった。
『くっ、このガキッ!』
『かはっ………!!』
『秋桜っ!!』
男性が足を振り払う。秋桜は背中から壁にぶつかり、一瞬、息が出来なかった。それを心配し、秋桜の所へと駆け込む母ではあったが………
バンッ!!
『え……』
ドサッ
『お母……さん…?』
男性が秋桜の母を銃殺した。母の胸からは出血をしていた。もう、手遅れだった……。母は亡くなってしまったのだ。
『いっ…いやあああああぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!!!』
秋桜の叫びと願いでペンダントが輝き、共鳴する。
『やめて、ペンダントで悪いことに使わないで!』
『ぐわっ!!』
男性はペンダントの輝きに目を瞑った。男性が目を見開くと、そこには秋桜がさっきの雰囲気とは違う感じになっていた…。
『なんだあれは………』
『悪有る者に裁きの雷を!』
秋桜が叫ぶと男性からは裁きの雷が振り注いでいた。
『ぐっ…ぐあああぁぁぁぁっ!!!!!!』
雷が振り注がれ終えると、男性の姿はなかった。そして、秋桜はいつもの感じになるが、意識を失っていた。
*
「…すまなかった。まさか、家族を失ってしまった過去があったとは思いもしなかった…」
「ムリもないですよ…。ずっと隠してきましたから…」
秋桜は笑顔で呟いていた。だけど、涙がこぼれていた。
「私が…っ…あんなことをしなかったら…ひっぐ…お母さんも…うっ…こんなことにも…ならなかったのに……っ!!」
メタナイトが秋桜の頭をそっと撫でた。
「メタナイト…様……?」
「私も、家族を失ったことがあった……。だが…私は1人ではない…。カービィ達がいたおかげで騒がしいこともあるが、毎日が楽しいのだ。それに、兄さんともこうして会えたことも嬉しかった。」
メタナイトは秋桜をなぐさめようとしていた。
「メタは、秋桜は1人ではないと言いたいみたいだ。私も、そうだった。メタが気付いてくれたことが今でも嬉しいと思っている」
「そうだよ、だから秋桜は1人じゃないよ!」
「うん!」
「ワシらがいるゾイ!」
「お互い、支え合っていきましょう!」
みんなが秋桜をなぐさめる。彼女は嬉し涙を流しながら「ありがとう…」と微笑んだ。
「あっ、今タメ口になったね!」
「…まぁ、たまにこうなりますが…基本的…敬語ですよ;」
いきなりのメタ(ナイト)発言に秋桜は呆れ顔だった。