EP.3-5 Days To Lives 5
「……あっ。どうしようかな、あんまり下手なことすると、
マユミとかナナがうるさそうだしなぁ。
あんまり言われると厄介だし……」
突然、彼女は何かつぶやきながら考え込んでしまった。
「どうかしたんですか?」
「苗字ですよ、苗字!」
「……苗字?」
そういえば、僕は「縁」という名前の部分しか貰っていない。
緑さんに「菅谷」という苗字があったように、
人間として生きるのなら、僕にも苗字が無いといけないだろう。
でも、そんなに悩むことだろうか?
「それが、何か問題でも?」
彼女は困った顔をしながら、振り向いた。
「勢いで一緒に住みましょうって言っちゃったんですけど、
単純に考えて、男女が一緒に住むって……
同棲じゃんって思って」
「同棲?……どういうことですか?」
「簡単に言うと、恋人同士が一緒の部屋に住むってことです」
「!?こ、ここここ、恋人!?!?」
ただのたとえ話なのに、その言葉は僕の心に鋭く
突き刺さってきた。
顔が赤くなるのが、自分でもわかる。