ノート20前編
キャメルは、遠くに人が倒れているのに気がついた。
「ちょっと待って!」
キャメルは急いで駆けつける。が、その者は息をしていない上に、馴染みのある顔付きだった。
「……エガ…?」
急な事に、キャメルは絶句して仕舞う。
「あー、なんか御免ね?ソイツもレイに近付くし邪魔でさー。直ぐ動かなくなっちゃったよ」
メイは何食わぬ顔で言う。
「さいっ…てーー………」
キャメルはゆらり、と立ち上がると、強靭な、刃物を魔法で造り出す。
「あははっ、要約本気出してくれたのね?」
遡る事数時間前。
「くっ……!!!!!」
「あれれ、もう終わりぃ?つまんない!」
エガとメイは激しい戦闘を繰り広げていた。夢限の世界の空中で。
「これで…!」
メイは、殺気を帯び、エガの手を鎖で拘束した。
「貴方男だけど、戸々で…」
「あ……ぁ…あぁ……っ」
エガは恐怖で声もなく涙を流す。
「死んでもらうね?」
「………………………………………………………………………………………………」
静寂が舞い降りる。
「酷い……」
キャメルは、メイに近付くと、いきなり切りつける。
「キャッ!」
メイは避け、次の行動に出る。
「…[キュピイイィィィインンンンッッッ]…」
呪文は効果音でかき消される。
「……え」
キャメルは遥か遠い南極の薄い氷の上に立っている。一歩歩いたら間違いなく割れるだろう。
「(この子結構しぶとい…まだまだ遊びたいな♪)」 メイは空間を瞬時に変える。
そこは、何色とも言えない空間が広がっていく。
「さあ、キャメル…」
「……」
キャメルは落ち着き、身構える。
「決戦としましょう!」
「ええ!」
史上最悪の闘いが、今、始まろうとしている。